安比高原(ブナ二次林)

岩手県八幡平市
標高888m(白いブナ林入口)
JR花輪線安比高原駅、夏季は盛岡駅前からホテル安比グランドまで路線バス(県北バス)あり

【写真】白いブナ林

2009年8月23日
 808 JR水沢
1050 JR安比高原
1137 ウォーキングステーション出発
1215 林業センター
1255 Y字路
1304 安比高原ブナの駅(スタートから4.5km)
1315 白いブナ林入口
1342 散策路分岐点(スタートから6km)
1354 ブナのモニュメント
1403 Y字路
1413 牧草地入口(スタートから9km)
1448 橋(黒沢川)
1455 ウォーキングステーション到着
1532〜1541 JR安比高原
1810 JR水沢

 今年から文献※1記載の里山を一つ一つ巡り歩いている。今回の安比高原(ブナ二次林)は最寄りのJRの駅から里山歩きの起点となるブナの駅まで車道歩きが長そうでなかなか気が進まない場所だった。八幡平の茶臼岳から安比高原に下山ついでに寄るにしても文献※1記載の地図は大雑把でどうにも頼りにならない。ブナの駅から別の方向に向かう二つのコース(白いブナ林コース・ブナ二次林コース)がありコース自体の距離は短くても二つのコースを往復すると結構時間がかかるのも気が進まないもう一つの理由だった。
 一方、以前安比高原のペンションに泊まったとき文献※2を入手したのを思い出した。早速探し出して中を見るとウォーキングコースが紹介されているのを発見した。ホテル安比グランドからブナの駅・ブナ林を経由し再びホテル安比グランドに戻る周回コースである。これなら車道歩きは半減するし上述の二つのコースは行き止まりではなく周回コースの中に包含されていて効率よく歩けそうだ。これで俄然興味が湧き計画立案、実行となった。文献※2はイラストマップで実際のウォーキングには適さないが詳細なコースマップ(文献※3)は現地で販売されているようなので現地で調達しようと思う。
 安比高原駅で下車。駅前にホテル送迎車が待機していて列車を降りた女性が乗車した。小生はホテルの客でもないし送迎の予約もしていないので便乗するわけにはいかず当初の予定通り徒歩で安比高原に向かう。駅から国道282号交差点までの道は近くのゴルフ場の入口と共用しているせいか路側に広い芝生が広がりシダレカツラなどの街路樹が植裁されている。国道を横断し緩やかな坂を上っていく。歩道がないので対向車に注意しながら進む。全国的に有名な観光地だけあって車両の往来は多い。車道の両側に牧草地やソバ畑が広がる。ペンションビレッジを過ぎると左手が大駐車場、右手が安比高原牧場である。
 牧場入口の門をくぐるとロックガーデンと呼ばれる花壇の中に入る。その先にグラウンドゴルフ場、動物コーナー、売店などの多彩な施設があり全体を把握しきれない。文献※2を頼りにウォーキングの受付場所を探す。それによると安比高原自然学校校舎または安比高原ウォーキング基地らしいがそのような建物は見当たらない。場所的にはパークゴルフクラブハウスなのだがゴルフプレーヤーの年輩の方々が出入りしているのを見てこれは完全に違うと思って通過した。乗馬体験の広場の周りを一周してからもう一度パークゴルフクラブハウスに近寄りクラブハウスの案内板を見ると2行目にウォーキングステーションと記してあった。この表示は目立たないので最初は見過ごしてしまった。
 受付で住所、氏名などを記入後料金を支払い文献※3を入手した。表面が地図で裏面が各要所の補足説明となっている。総歩行距離12km。この地図がないと完歩するのは難しいと思う。
 スタート/ゴール地点のウォーキングステーションを出発しティールーム前を通りホテル安比グランド方面に進む。車道を横断したらホテルに上る坂には上らずに右折し遊歩道に入る。遊具が幾つかある小公園を過ぎ池の脇で道が左右に分岐する。左は「安比高原の自然にふれる里山のみち」、右は「安比の草原とブナの森を巡るみち」である。道標に従い右折する。エゾユズリハの大株、サラシナショウマの群落、頭上のトチノキの実を見ながら林の中の道を進む。他にもいくつもの散策路があるがウォーキングコースの道標が随所にあるので迷うことはなかった。ミズナラ、シラカバ、シナノキ、イタヤカエデ、カラマツ、レンゲツツジ、サラサドウダン、ヨツバヒヨドリ、ヤマハギ、ゲンノショウコなど。林業センター付近に来るとヒノキアスナロ、ツノハシバミ、ツリバナ、ハクウンボク、ツタウルシ、ブナ、ナンブアザミが観察できた。
 スキー場ゲレンデ作業道から舗装された車道に出てその後はしばらく車道歩きとなる。道沿いにヤマハハコ、ネジバナ、ブタナ、オトギリソウ、ヒメジョオン、ハンゴンソウ、オオハンゴンソウ、キンミズヒキ、ミヤコグサ。
 Y字路中央の花壇にナワシロイチゴの実がなっている。ここで左折。間もなく中のまきばとブナの駅に着いた。まきばの中央に池がある。安比高原牧場の混雑とは別世界の静けさである。ツリガネニンジンが咲く。涼しい風が気持ちよく、昼寝したいところだがまだコースの前半なので先に進むことにする。ここから未舗装の林道に変わる。
 アスナ沢に架かる橋を過ぎた地点に白いブナ林入口がある。中に入ると今までの雑多な樹木が混在する林からブナの純林に変わる。二次林なので直径が20cm前後のブナが密に立ち並ぶ。太陽光が樹幹に反射し白く見えるので白いブナ林と呼ぶのだろうか。地面まで太陽光は届かず。林床にササは少ないので林内どこでも自由に歩く事ができる。従って道標は10m間隔で過密に立っている。どこまでもブナ林が続くと思っていたが突然草原に出た。ススキ、ハンゴンソウ、ヨツバヒヨドリ、ヤマハハコとすっかり秋の高原の雰囲気だ。この場所ではヤナギランが人気らしいが今は綿毛の実に変わっている。草原を横断する散策路も幾つか延びている。遊歩道沿いにサクラの木がぽつりぽつりとあるので花見の時期に訪れるのも良いだろう。
 野芝が広がる散策路分岐点に着く。スタート地点から6kmでちょうど中間である。出発から約2時間経過しているがこのペースで行くとゴールの受付時刻に間に合うかどうか少々心配になる。ザックからラジオを取り出し高校野球中継を聞くと地元花巻東が初回1失点したところでなおもピンチが続く。分岐点では左折する(右折は中のまきばに戻る)。
 再びブナ林に入る。ひんやりと涼しい。こちらのブナ林は先ほど通った白いブナ林に対しブナ2次林と呼ばれる森である。白いブナ林よりも幹が太く木の間隔も空いている。中に巨木も混じる。ブナ以外ではハクウンボク、ハウチワカエデ、ナナカマド、ツルシキミなど。舗装道路に出た所にブナ林についての解説看板がある。ここはブナのモニュメントと呼ばれる場所である。車道を東に進むと再びY字路に到達し、ここで南に分岐する未舗装の作業道に入る。道の両側は雑木林が続くが右手の林が途切れた所で右折し牧草地に入る。ノコンギクが咲き、シナノキが点々と立つ。緩やかな斜面を上るにつれ視界がどんどん開けてくる。北に国道282号沿いの集落、やがて東にホテル安比グランドが見えてきた。
 花巻東は途中からエースが登板するも打ち込まれ大量失点、さらに追加点を取られ苦戦している。しかしまだ中盤、今大会の戦いぶりならまだまだ可能性はある。牧草地の緩やかな斜面を下っていくと未舗装の作業道と合流する。両側が林の道を進む。黒沢川に架かる橋を渡る。この付近にエゾリンドウが咲く。間もなく舗装道に変わり行楽客で賑わう安比高原牧場に着いた。
 スタート/ゴール地点のウォーキングステーションでIVV(国際市民スポーツ連盟)パスポートに安比高原の参加認定スタンプを押印してもらった(認定料\200、パスポート台紙\200)。小生にとって公認ウォーキングコースを歩くのは初めてであり安比高原が最初に受領したスタンプとなる。単なる山歩きには無かったスタンプ収集という面白さがあり今後も機会があったら参加しようと思う。
 JR安比高原駅のホームに着いたとき花巻東は敗れ去った。今年の短い夏が終わったと感じた。

参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行
※2「2007 APPI GREEN SEASON Information」安比高原の観光ガイドブック
※3「安比の草原とブナの森を巡るみち」JVA認定イヤーラウンドコースマップ


inserted by FC2 system