五葉山 (檜山・あすなろ山荘コース、赤坂コース)
岩手県大船渡市・釜石市・住田町
標高1341.3m
JR釜石線上有住駅,三陸鉄道吉浜駅
【写真】檜山コースから五葉山
バス時刻
住田交運バス 上有住→八日町
705,825,1405,△1627,1800 △は土日祝運休

2003年10月20日
 616 JR水沢
 643〜654 JR花巻
 844 JR上有住
 921 大祝
 939 土倉
 948 檜山入口
1013 檜山から林道に入る橋
1032 サビ沢(黒岩コース分岐点)
1047 ロープ車止め
1059 五葉山森林浴道0.7km地点
1107 黒森沢(五葉山森林公園入口)
1127〜1135 あすなろ荘
1207 水場
1227 黒岩コース分岐点
1242 神社(大松コース分岐点)
1249 日枝神社
1254〜1320 山頂
1329 日枝神社
1334 石楠花山荘
1351 七合目
1356 六合目
1403 五合目
1407 畳石
1418 賽の河原
1425 二合目
1436 赤坂峠登山カード
1513 東屋(もりの学舎1.2km,0.2km地点)
1520 丁字路
1539 吉浜まで8km地点
1650 大野公民館前
1655 国道45号
1712〜1748 三陸鉄道吉浜
1818〜1858 JR盛
2135〜2211 JR一ノ関
2235 JR水沢

 先週,焼石連峰の経塚山に登ったとき東の方向雲海の上に五葉山が顔を出していて大変目立っていた。&そこで次の目標は五葉山に決めた。五葉山へは赤坂峠コースがポピュラーで容易に登れ&るようだが,公共交通機関を使用するとなると簡単ではない。いろいろ検討した結果,JR釜石線上有住から住田町檜山を経て山頂を目指すことにした。下山は赤坂峠から吉浜に下る予定を立てた。
 東北本線下り始発電車に乗車し花巻で釜石線に乗換。釜石線の車両はキハ100の4両編成。遠野まで通学ラッシュとなる。遠野から車内はがら空きとなる。上有住で下車。下車したのは小生のみ。車掌に切符を渡す。駅の階段を下りたところにバス停があったが列車に接続するバスはない。気仙川に架かる橋を渡り右折する。ここで左に行くと滝観洞である。橋のたもとに東北自然歩道「滝観洞のみち」トイレがある。いつかはこの自然歩道を散策しようと思いながら実現していない。一帯は仙人峠道路・滝観洞トンネルの工事中。県道167釜石−住田線を気仙川に沿って南下する。列車(上有住駅)で標高を稼いだのに下り坂なので少しもったいない。大祝集落付近の東面は急斜面のため雪崩除けの金網が張ってあるが金網の奥でガサガサと音がするので見ると,野生の鹿(たぶん)がこちらの様子をじっとうかがっていた。下山時にもたくさんの鹿に遭遇したが五葉山一帯がホンシュウジカの北限だそうだ。
 土倉集落から歩道付きの立派な道路になり民家が連続し商店もある。その先の中沢集落は道路拡幅の工事中。そろそろ檜山集落に入る道があるはずで左手を注意しながら進む。入口に登山コースの案内板があった。ここから森林公園まで6kmとある。この道は車一台分の道幅しかないので随所に待避所がある。右手を流れる檜山川は渓流と紅葉が美しい。漁協の立て札があったので釣り客が訪れるのだろう。檜山集落に入ると正面に五葉山が見える。家の前の水路で洗い物をしながら世間話をしているおばあさん方にあいさつをする。「キノコ採りか。今から山に入ったら昼になるぞ。」と言われる。
 集落の末端に檜山川に架かる橋がありその先は未舗装の林道になる。森林公園と言うくらいだからファミリー向けの整備された道が続くと思っていたが狭く薄暗い林道で非常に心細い。道が左にカーブするところに道標があり現在地はサビ沢でここが黒岩コースへの分岐点であることを知る。黒岩コースは正面の斜面を登る道のようだ。小生は森林公園を目指すのでそのまま林道を進む。ここからS字カーブで尾根を回り込みながら登り坂となる。登りきると間伐で明るく気持ちよい樹林帯になり道幅も広くなる。森林公園らしくなってきた。それもつかの間で林道にロープが横断していてこの先は一般車は通行禁止である。この場所は平坦で充分な駐車スペースがある。この場所を起点にすると黒岩コース→山頂→檜山コース→あすなろ荘と一周可能でおもしろそうだがあまりメジャーではなさそうだ。あすなろ荘にあった来訪者名簿を見るとほとんど林業関係者だったからである。
 ロープの場所には登山案内板はなく駐車車両もない。道を間違ったのではという不安が残るが先に進む。所々に営林署専用の道路標識が立っている。15分くらい進むとやっと森林公園の道標が現れほっとする。さらに進むと黒森沢と記された道標と五葉山森林公園の案内板がある。この場所は丁字路で左右に道が分岐するが左側が森林公園入口で広場になっている。案内板の地図を見るとあすなろ荘には道なりに進めば着くようだ。車止めの鉄パイプを越え公園内に入る。最初のうちはベンチがあり公園らしい雰囲気がしたがその先は登山道の様相である。左手に愛染山を望む。思ったよりあすなろ荘は遠く焦りを感じた。
 あすなろ荘でトイレ休憩。清潔で紙も常備してあった。あすなろ荘の中に入るとストーブがあり冬の準備がされているようだ。名簿に記入したあと出発する。登山口はあすなろ荘正面の五葉山神社道標である。ここから本格的な登山となる。道は苔むした岩の上を通り杉の間を抜ける。左右に踏み跡が広く分布し明瞭なコースではない。迷わないように周囲に気を配りながら登る。途中水場がある。高度が増すと植生が変わる。既に葉が落ちた広葉樹(ダケカンバ)が疎らにあり足下は背丈の低い笹原となる。そのため西面の見晴が良くなり愛染山,遠くに焼石連峰,麓の檜山集落が望めるようになる。笹原は次第に密度を増し足下が見えなくなる。赤布,赤ペンキが唯一の目印となる。黒岩コースと合流。ここから先は人が多く歩いているようで道が明瞭になる。
 山頂方面は広々とした笹原(風衝草原とも言うらしい)で初めて見る風景だ。それに大船渡湾などのリアス式海岸も見事である。写真を撮りながらゆっくりと進んでいくと小さな神社があり大松コースと合流する。その先の日枝神社に参拝。赤松峠コースと合流してから5分で山頂三角点に到達した。さらに進むと三角点よりも標高が高い有名な岩があるらしいが忘れてしまい行きそびれた。
 風が強く次第に寒くなってきたので東側の岩陰で休憩した。下山は赤松峠コース。檜山コースでは誰一人会わなかったのに比べこちらは人気がある。ただし日枝神社からすぐに樹林帯に入るので展望を楽しむ時間は短い。石楠花山荘で給水し随所にある小社にはすべて参拝。畳石から道幅が広くなり歩きやすくなる。賽の河原〜赤坂峠へ順調に下山した。峠にはトイレと広い駐車場がありこの日の駐車車両は7台であった。
 予定通り吉浜に下る。赤坂峠から釜石へ向かい50m進むと右手に未舗装道が分岐する。この道に入る。特に道標はないが地形図を信じて進む。林道であるが通行車両はほとんどない。原付で擦れ違ったおじさんは私に気づいて声を出して驚いていたほどだ。私の方は多くの鹿に遭い驚いた。林道を2頭の鹿が走り去って行く姿が一番印象に残っている。尚,近くの夏虫山に鹿を観察する施設があるようだ。
 峠からしばらくの間,道が曲がりくねっているため地図上の走行距離は思ったよりはかどらない。その上見知らぬ寂しい林道歩き。救われたのはこの辺りの紅葉がちょうど見頃だったことだ。峠から40分ほど進むと林道の右側に東屋があった。また,もりの学舎1.2km,0.2kmと刻まれた道標も立っている。東屋の裏に下る道がついているので近くに野外活動の施設があるようだ。林道は丁字路(舗装車道)に突き当たり終点。道標によると左は大窪山牧場・吉浜,右はもりの学舎である。地形図を信じ右折するとすぐにまた左に分岐する道がある。ここにも道標が立ち吉浜(悪路)と記してある。この悪路(未舗装)に入る。この道はすぐ右手の吉浜川の渓流と紅葉が堪能できて素晴らしい。
 悪路は丁字路(舗装車道)に突き当たり終了する。ここに吉浜8kmの道標が立つ。吉浜川はここから峡谷となり絶景となる。車を降りてこれを眺める家族や写真を撮る人がいた。
 車道をひたすら下り大野集落に出る。国道45号を横断したときは既に薄暗い。三陸鉄道吉浜駅に着いたらちょうど釜石行が発車した。列車の時刻に配慮していなかったのでしまったと思ったが時刻表を調べるとこの釜石行に乗車しても釜石での乗り継ぎが悪く次の列車でも帰宅時間は変わらない。次の盛行の時刻まで観光案内図や駅に備え付けのパンフレットなどを見て過ごす。吉浜駅は無人駅で切符の自動販売機も無し。大船渡市の出張所と図書館が併設されている。17時48分発の盛行の車両はJRのキハ100型2両編成ワンマンカーであるが乗車できるのは1両目だけである。2両目は照明がついていない。車内は空いていてボックス席に座る。車窓から時々夜景が見えるのが良かった。
 終点の盛で運転手に料金を支払い下車する。三陸鉄道とJRの駅舎は隣り合っているが建物は別である。一旦外に出てJRの駅舎に入り窓口で切符を購入。18時58分発2両編成の一ノ関行は高校生で満員となった。しかし陸前高田で大半が下車。気仙沼で1両編成に切り離される。乗客も数えるほどしかいなくなった。一ノ関で東北本線下り最終電車に乗り継ぎ帰路についた。
五葉山 (楢ノ木平コース、大沢コース)
岩手県釜石市、大船渡市、住田町
標高1351m
JR釜石線松倉駅、JR大船渡線盛駅前から県交通バス五葉温泉または五葉山登山口バス停下車
2007年7月21日
 616 JR水沢
 856 JR松倉
 951 鍋倉峠
1151 楢ノ木平登山口
1212 鳩ヶ峰
1231 林道出会
1251 七不思木
1316 稜線
1346 日の出岩
1352 山頂
1455 畳石
1540 大沢小屋
1603 大沢登山口
1613〜1630 五葉温泉
1651〜1705 JR盛
1931〜2027 JR一ノ関
2055 JR水沢

 先週は大松コースから五葉山を目指すつもりであった。コース途中の林道入口には倒木のため通行できないと注意書きがあったが行けるところまで行ってみることにした。樋ヶ沢の登山口までは順調だったがその先で道に迷ったようで雨天でもあるし断念し引き返した。釜石線の洞泉駅まで戻る。しかし次の列車まで2時間以上の待ち時間がある。そこで快速列車が停車する小佐野までバスで戻るがわずかの差で乗り遅れてしまった。このバスに乗車中車窓の風景を何気なく眺めていると楢ノ木平登山口の標識が目に留まった。これが今回の登山の目標となった。もう一つの目標はハクサンシャクナゲである。花の季節は今週限りであろう。荒天でなければ決行で望むことにした。
 松倉駅で下車。国道283号を西に進む。甲子中学校前から250m程先の信号機のある交差点で左折(南に向かう)。この交差点角に楢ノ木平コース入口の標識がある。甲子川に架かる坪内橋を渡ると大畑団地に向かう登り坂となる。団地入口に登山口13.7kmと記された道標があった。徒歩では途方もない距離に思えるが大松コースと違って登山者が多いようなので迷う心配が無さそうなのが救いである。時間を掛けても目指すはハクサンシャクナゲである。
 歩き始めて1時間ほどで鍋倉峠。ここには登山口まで9.9km道標がある。鍋倉集落を過ぎると雨が強くなり合羽を着る。車道も狭くなり道の両側の木が車道まで張り出している。丁字路で道標に従い右折。ここから未舗装道となる。路面は荒れていて普通車の通行は難しそうだ。3kmほど進むと再び丁字路で今度は左折する。楢ノ木平の牧草地の中を通る。地名の通りコナラもあるが圧倒的にヤマハンノキが多い。単調な上りで疲労が増してきたところでやっと登山口に着いた。
 登山カードに記入した後登山道に入る。ダケカンバ林の中、踏み道は縦横にありどれが本道なのが見分けがつかない。目印となる赤ペンキが塗られた木もあちこちにある。それでも適当な道を捜して進んでいくうちに1本の道に収束した。鳩ヶ峰に着くが林の中で展望は全くない。今朝コンビニで買った野菜サラダを食べる。運動不足のせいか胸が苦しく足取りは重い。針葉樹が多くなりコメツガ、ヒノキアスナロ、ネズコの大木に時々遭遇する。ミヤマイボタは開花中だった。主立った木には樹木名が記されたプレートが貼ってあるので勉強になる。県立自然公園で自然観察教育林に指定されている地域だからだろう。
 体力的に苦しい中、林道出会・七不思木・稜線と計画通りの所要時間を刻んできた。稜線で給水休憩。ふと登山道の先を見るとシャクナゲの葉が茂っている。俄然元気が出てきて出発する。道は平坦になり岩場となる。風雨の中を進むとシャクナゲの群落があり所々で花が咲いている。苦労してきた甲斐があった。最高標高点の日の出岩付近は再び樹林帯に入る。この辺りはヒノキアスナロやコメツガの原生林として有名のようだ。
 山頂には誰もいなかった(登山道でも誰にも会わなかった)。ガンコウランを観察しながら赤坂コースに下る。雨も小降りになったのでカメラを出してシャクナゲを撮影した。しゃくなげ荘前の水場で水を飲んだら冷たく甘みがあっておいしい水だった。畳石まで急いで下ったつもりだが先回の所要時間よりもかなり掛かってしまった。
 ベンチに座りおにぎりを食べながら初めて通る大沢コースに行くべきか早く下山できる赤坂コースに向かうべきかを考え、結局大沢コースとした。でもちょっと下山してみて悪路だったら引き返すつもりである。畳石の広場の南西方向が大沢コースの入口だが大きな水たまりができていて進行を妨げているような感じである。その次は根本から曲がり道に覆い被さるように伸びているダケカンバが5〜6本ありその下を通り抜ける。そこから先は登山道の細道となる。200〜300m程進むと道標があり道は左に折れる。道標がなければ危うく直進しそうだ。その先は赤布を目印にして進む。谷状の地形のため光が射し込まず既に薄暗い。林床は膝丈以下の草で覆われ緑の絨毯のようだ。幻想的で非常に雰囲気がよい。小木が無く見通しがよいので赤布を見つけやすい。沢に近くなると道は急斜面を九十九折りの連続となる。所々ショートカットしている踏み跡もあるが迷う可能性が高いので忠実に赤布に従って下山する。沢への降り口には鳥居が立っている。鳥居の下をくぐり沢の下流に進むと左手に大沢小屋がある。
 沢に架かる橋を渡ると黒岩コースと合流する。その先は樹林帯を抜け牧草地となる。まっすぐ進むと鹿除けの柵がある。柵には登山者は柵の扉を開けて柵の中を通行するようにと書かれている。柵の中に入ってみるが道はなく雑草が生い茂っている。どうやらこの中を通行するのでは無さそうだ。柵の外に出て柵の周りを反時計回りに進むと再び柵の扉がある。先ほどの扉は金具を外すと簡単に開けられたがこちらの扉はひもで固定されているのでひもをほどかなければならない。しかし幾重にも結び目があり途中で断念した。柵をよじ登り乗り越えた。その先は牧草地の中の緩やかな斜面を下る。出口にも扉がありこちらも厳重にひもが結ばれている。幸い扉の脇の金網に人がやっと通れるくらいの隙間があったのでそこから外に出た。この場所が大沢コースの登山口であった。
 県道193号を下る。2車線の立派な道路である。登山口向かい側に別荘のような建物がありその裏庭に鹿が一頭いて、最初はよくできた模型と思ってじっと見ながら通り過ぎていくと首から上だけ小生の方を向いて回転している。これは本物のホンシュウジカだ。お互い3分位見つめ合ってしまった。途中森林浴の遊歩道が右手から分岐する。五葉温泉の大きな看板があるのでここで左折(左折せずに直進するとダムの資料展示館と登山口バス停がある)。温泉前から路線バスに乗車。盛駅から大船渡線に乗り換え帰路に着いた。
五葉山 (楢ノ木平コース、大沢コース)
岩手県釜石市、大船渡市、住田町
標高1351m
JR釜石線小佐野駅、JR大船渡線盛駅前から県交通バス五葉温泉または五葉山登山口バス停下車
【写真】コメツガ原生林
2010年7月17日
 616 JR水沢
 845 JR小佐野
 940 楢ノ木平登山口
1000 鳩ヶ峰
1025 林道出会
1055 七不思木
1125 稜線
1210〜1255 山頂
1355 畳石
1455〜1515 大沢小屋
1550 大沢登山口
1600〜1630 五葉温泉
1651〜1849 JR盛
2135〜2216 JR一ノ関
2239 JR水沢
同行者 k氏、t氏

 今回のコースは前回と同一で楢ノ木平→山頂→畳石→大沢コース→五葉温泉で五葉山を北から南へ縦走するコースである。小生を含め3名のグループ登山である。前回は雨だったので今回は天候が良いことを期待した。JR釜石線の遠野付近は青空が広がっていたが釜石に近づくにつれ山々はガスで覆われ視界が悪くなる。釜石線小佐野駅で下車。駅前にいつもタクシーが数台常駐しているのでそれに乗り換える予定だったが今日は一台しかない。そのタクシーは我々よりも先に他の乗客を乗せ発車した。まず駅周辺の店で食料を調達したいというメンバーがいたので付近をうろうろするが近くの商店やスーパーはまだ開店していない。タクシーを手配するため再度駅前に引き返し公衆電話からタクシーを呼んだ。電話ボックス前にタクシー会社の電話番号が掲示されている(中山タクシー、楢ノ木平登山口まで\4,660)。
 タクシーに乗車後、途中のコンビニで食料を調達した。この間、タクシーの乗務員は携帯電話で楢ノ木平までの道を本社に確認している。結局タクシーは先回小生が徒歩で通った道と同じコース(大畑団地→鍋倉)をたどる。鍋倉には常連の客がいるとのことで山中のカーブが連続する道も難なくやり過ごした。鍋倉集落を過ぎると未舗装道の林道に変わる。幸い、小生にはコースの記憶があるし、道路の分岐点などの要所には楢ノ木平登山口を示す道標があるので迷うことなく進むことができた。楢ノ木平の牧草地に入ると展望が開け左手前方にどっしりと構えた五葉山、後方にはガスの中うっすらと海岸線が見える。タクシーの乗務員を含め全員が歓声を上げる。
 登山口に到着。駐車車両は無く本日は我々が最初の訪問者であることがわかる。このコースはあまり利用されていないのかも知れない。登山カードに記入していると後続の登山客の車が2台やってきた。準備を整え登山道に入る。道は明瞭だ。最初はダケカンバ林の緩やかな登りでマルバダケブキ(咲き始め)が目立つ。鳩ヶ峰を過ぎると鬱蒼としたヒノキアスナロ樹林帯に入る。林床にモミジガサ、コブシ。薄暗い、湿気が多い、展望が無い、ヒノキアスナロの臭い(香り?)の条件は快適なコースではない。唯一見かけた花はアリドオシラン。苔のマット上に咲いている。楢ノ木平コースでは至るところで見られた。これは来た甲斐があった。
 七不思木を過ぎると苦しい登りとなる。どこまでも続く鬱蒼としたヒノキアスナロとコメツガ樹林帯。蒸し暑さも加わる。大きな岩が点在する。やっと頭上が明るくなり稜線(8合目)に到着した。ここから平坦なコースに変わる。背丈ほどのダケカンバ、ハクサンシャクナゲを抜けると露岩帯に出る。岩の間にコメツツジが咲く。いきなり360度の展望が開ける。うっすらと海岸線も見えた。しかし背後に入道雲が迫っていて追われるように山頂を目指した。
 再びコメツガの樹林帯に入る。もうじき山頂なので原生林を味わいながらゆっくりと進んだ。日の出岩付近から枝道が分岐合流するが特に迷うことなく原生林を抜け三角点のある平坦で広々とした露岩帯に出た。登山客は10名弱で意外に少ない。既にツツジやシャクナゲの見頃は過ぎオトギリソウとセリ科の小花がポツポツと咲いている。コケモモには実が付いている。ガスで遠望がなく海岸線も見えない。山頂で昼食休憩しているうちに上空の青空の領域がガスで狭められてきた。
 下山は大船渡側に下る。ガンコウラン、キタゴヨウの道を下り日枝神社に参拝した後、石楠花荘で水を補給した。前後に登山グループがいるのでペースを合わせながら歩く。畳石で休憩。ベンチやテーブルがある。当メンバーは疲労が出始めてきた頃なのでこの休憩施設はうれしい。ここまでほぼ計画通りのコースタイムであった。大沢コースに入る。最初の数十メートルは草木が茂り道が不明瞭だがその後は明瞭であった。ただし小沢を徒渉する付近は沼地になっているので注意が必要だ。途中から左手が山、右手が谷のほぼ一直線の長い下りとなる。その後つづら折りの下りとなる。バイパス道も多いので樹幹の赤ペンキを目印として下る。やっと平坦な場所に出た。沢の音が間近に聞こえる。一下りして鳥居をくぐると大沢に出た。沢を渡る風がひんやりと涼しい。今まで蒸し暑い環境だったところに天然クーラーが突然現れた感じだ。ここでも休憩とする。
 大沢小屋、黒岩分岐を過ぎると牧場の柵があるので扉を開けて中に入る。牛が放牧されていた。そして鹿の親子が我々の100mほど前を走って横断する。鹿が侵入しないように鉄条網が張られているがお構いなしだ。最後も扉を開けて牧場の外(県道193号)に出る。ここが大沢登山口である。県道を下り五葉温泉へ向かう。その後、温泉内の食堂や盛駅前で慰労会を開き終電で帰宅した。


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