八幡平(茶臼岳−八幡平−大深温泉)
岩手県八幡平市・秋田県鹿角市
標高1613.3m
JR盛岡駅から県北バス八幡平頂上行
JR花輪線鹿角花輪駅から秋北バス八幡平頂上行
【写真】アオモリトドマツ(オオシラビソ)の球果
2007年8月19日
計画 実績
 
 
 
 
 
1210〜1230
1300
1320
1330
1420
1450
1520
 
 
 806 JR水沢
 911〜946 JR盛岡、IGR盛岡
1023 JR大更
1038 大更上町バス停
1127 茶臼口バス停
1210〜1230(1215-1225山頂) 茶臼岳
1308 黒谷地湿原
1340 安比岳分岐
1355 源太森入口
1424 八幡平山頂
1458 田代沼
1548 大深温泉バス停
1643〜1700 JR鹿角花輪
2019 JR水沢

 盛岡駅からIGRいわて銀河鉄道に乗車。厨川駅を過ぎたあたりから雨が降ってきた。天気予報では県の南部では雨、県北部の八幡平市は雨雲から外れた位置にあるので曇りの予報である。大更駅で下車。雨は降っていない。道路の路面は乾いている。とりあえず天気予報通りなのでほっとする。バスの時刻まで間があるので大更上町バス停まで市街地を歩き八幡平頂上行バスに乗車。八幡平に上る坂道の手前にさくら公園・ビジターセンターという新しい施設ができていてバスはその構内に乗り入れる。バスはゆっくりと坂道を上り次第に高度を上げる。道路沿いにはイタドリ、ノリウツギの花が目立つ。源太岩を過ぎるとアオモリトドマツの森が眼下に広がる。枯れているアオモリトドマツも多い。これは旧松尾鉱山の硫黄ガスの影響と車内案内のテープが流れた。
 茶臼口で下車。近くに駐車場があるが乗用車が3台ほど停められてありそれ以上のスペースは無さそうである。八幡平頂上方向に車道を少し進むと茶臼岳登り口の案内板が立っている。周囲にヤマハハコが咲く。ここから登山道に入る。道沿いにミヤマセンキュウ、ゴマナ、アキノキリンソウ、ウゴアザミ、エゾリンドウ、高木ではコメツガ、アオモリトドマツ、ダケカンバ、ナナカマドの樹林帯が続く。
 茶臼山荘前で左に分岐する道に入り(山荘前で右に入ると安比方面)茶臼岳山頂を目指す。山頂からは岩手山そしてそれに連なる裏岩手縦走コースの山並みが展望できる。特に畚岳のピークが目立つ。眼下には熊沼を望む。
 昼食休憩後、一旦山荘に引き返し八幡平方面に進む。勾配は緩くなり平坦なコースとなる。道沿いにモミジカラマツ、ヤマハハコが咲く。オオバタケシマラン、アカモノ、サンカヨウ、ハリブキ、アカミノイヌツゲ、ムシカリは実を付けている。アオモリトドマツの間にミネカエデ、ミネザクラ、オガラバナ、ツツジ類の中高木が混在する。
 道に岩が多くなりしばらく進むと樹林帯から抜け黒谷地湿原に入る。湿原内は木道となる。花が落ちたトウゲブキの群落の間にウメバチソウ、ミヤマアキノキリンソウ、タチギボウシが咲く。黒谷地バス停方面からくる道の合流点にベンチやテーブルが設置された休憩所がある。
 再び樹林帯に入る。ここから登り勾配がややきつくなる。道は溝状になり左右に壁ができる。壁の斜面にシラタマノキ、ツルリンドウが咲く。壁の上のダケカンバは次第に矮小化してきた。ベニバナイチゴは多量の実をつけている。安比岳方面の分岐点を過ぎると草原が広がる。ここではミヤマセンキュウ、ウメバチソウ、ダイモンジソウを見ることができた。
 草花を観察をしながら進んできたせいか予定時刻をオーバーしているため源太森には寄らずに八幡沼に直行する。湿原の中、木道を進むうちに観光客が多くなってきた。立ち止まって写真を撮るのも困難になってくる。湿原にはシロバナトウウチソウ、ウメバチソウが目立つ。八幡沼・ガマ沼のほとり(西斜面)はニッコウキスゲの群落である。八幡平山頂までの遊歩道脇にはシロバナニガナ、ヤマブキショウマが咲く。
 山頂の展望台に到着。かなりの人で混雑している。三角点を捜そうと思ったがすぐにあきらめ、駐車場方面に下ろうとしたらツアーの団体客が添乗員を先頭にして小生と同じ方向に下ろうとしている。団体の後を歩くのはつらいので添乗員の脇を擦り抜けて先を急ぐことにした。5分も経たないうちに大深温泉方面の分岐点に着き、ここで右折(西の大深温泉に向かう)。今までのポピュラーなコースと比較すると道幅は狭く下草を払いながらの歩行となる。しかし喧噪から離れ再び静かな山歩きとなった。人があまり入らないせいか草木の実の付き方(特にオオバタケシマラン)が良い。アオモリトドマツの枝は道に張り出しその先に紫藍色の球果が付いていた。球果の実物を見るのは初めてなのでこのコースを選定して良かったと思う。
 田代沼に到着。車道が近いので車の往来する音が聞こえる。シロバナトウウチソウ、ミヤマアキノキリンソウ、アオモリアザミが咲く。この先道幅は一層狭くなり草木をかき分けながら進む。ノリウツギが開花中。そして雨が降り始めた。ガイドブックにある所要時間を過ぎても登山口に到達しない。帰りのバスの時刻に間に合いたいので駆け足で下る。先行の男性1名(このコースで会った唯一の人)を追い抜く。「道が良くないですねぇ」と言っていた。登山口付近の右下斜面下には温泉の噴気口があり硫黄の臭いがする。
 車道(アスピーテライン)に出る。左右どちらに行くか迷ったが右(下る方向)に走る。前方に駐車場、トイレ、バス停が見えてきてほっとした。手元の時計でバスの到着時刻の2分前である。トイレによる余裕は無かった。間もなく蒸ノ湯方面からバスが来た。終点の花輪鹿角駅前で下車、といっても本当の駅前ではなくバスの営業所で降ろされた。市街地はお祭りのため車両通行規制のようなのだがバスの車内でそのような案内は無かった(もしかしたら小生が聞きそびれたか)。と言うわけで全く勝手の分からないまま知らない町の知らない場所を駅を捜しながら歩く。とりあえず線路に出ると北方向に駅のホームが見えた。10分ほどで駅に到着。この日は花輪祭りと言う秋田県内では大きな祭の日でクライマックスは深夜から明け方のようだ。祭り見物はまたの機会にしたい。駅のホームに出ると上下線の列車が同時刻に到着。多くの見物客が下車した。空いたローカル線に揺られながらゆっくりと帰路についた。
八幡平(黒谷地−八幡平)
岩手県八幡平市・秋田県仙北市
標高1613.3m
JR盛岡駅から県北バス八幡平頂上行
JR田沢湖駅から秋北バス八幡平頂上行
【写真】源太森から八幡沼
2011年10月29日
 655 JR水沢(東北本線乗車)
 748〜802 JR盛岡(バス乗り換え)
 928 東八幡平交通センター(タクシー乗り換え)
1011 黒谷地入口
1028 黒谷地湿原
1055 安比岳分岐
1110 源太森
1130〜1220 稜雲荘西側のベンチ(昼食休憩)
1240 八幡平山頂
1300 八幡平頂上バス停(田沢湖行きバス乗車)
1354〜1640 玉川温泉(入浴休憩)
1757〜1805 JR田沢湖(秋田新幹線乗車)
1839〜1849 JR盛岡(東北本線乗り換え)
1945〜2250 JR北上(慰労会)
2305 JR水沢
参加者4名(小生含む)

 秋が深まり山岳地域の紅葉シーズンは終わってしまった。岩手山は既に冠雪。八幡平の山頂付近にある藤七温泉は先週末を最後に冬季休業に入り、八幡平アスピーテラインは凍結のため夜間通行止めになっている。こんな時期に八幡平に出かけることにした。元々、八幡平登山は7月に計画していたのだが台風のため中止となった。この台風は日本全国で大災害をもたらした。10月末になってグループでどこかに行こうということになり再度新たな計画を立てるよりも既に出来上がっている八幡平登山計画を流用するのが安易である。そして日没時刻や気象条件を考慮し登山行程を原案から大幅にカットした。その行程は黒谷地〜八幡沼〜八幡平頂上バス停で最もポピュラーなルートの一つである。このルートなら最悪な天候になっても避難できる場所や手段がある。最近衰弱気味の小生でも余裕で歩けるだろうと考えた。
 東北本線の快速列車で盛岡まで行き八幡平ロイヤルホテル行きのバスに乗り換える。バスは盛岡市街地はノロノロ運転だが一本木や大更のバイパスが完成したためほとんど渋滞が解消されたと思う。大更辺りまで来ると岩手山の北面が見えるが相当下の方まで積雪がある。バス停がある「(旧名)ゲンデルランド」は「おらほの温泉」に改装されていた。大更駅前でトイレ休憩があった。柏台付近の並木道はちょうど紅葉が見頃である。
 東八幡平交通センターでバスを降り事前に手配していたタクシーに乗り換える。ここでメンバーの一人が買って間もないデジタル一眼レフカメラをバスに置き忘れたことに気づいた。そこで先ずはタクシーでバスを追いかけることにした。幸いバスは各ホテルやペンション方面を巡り終点は近所のロイヤルホテルである。タクシーで近道を進みロイヤルホテル入口で待機する。間もなくバスがやって来た。そしてカメラが見つかった。忘れた当人の心情はいかほどだったのか。ショックで目の前が真っ暗だったに違いない。
 東八幡平交通センターまで引き返しアスピーテライン経由で黒谷地入口に向かう。その間、小生は過去の自身の忘れ物失敗談をして雰囲気を盛り上げた(つもり)だ。沿道のダケカンバは全て落葉している。やがて道路脇に積雪が現れた。黒谷地入口でタクシーを降りる(平舘タクシー\5860)。今度は忘れ物をしないように要注意だ。道路脇の駐車スペースには6台の車が停めてあった。そこそこの人出はあるようだ。
 車道から黒谷地湿原中心部まで木道が敷設されている。木道の上に2〜3cmの積雪がある。湿原の草紅葉もいいがやはり夏に訪れたかったと思う。熊の泉で一杯の水を頂く。黒谷地湿原の丁字路で左折し八幡沼方面に向かう。雪上の上り坂のため靴が滑る。道脇のシラタマノキの白色の実が目立つ。体が温まってきたのと気温が上昇したせいか暑くなってきたので途中で皆が薄着に着替えた。周囲の雪化粧を見ると寒く感じるので小生は上着一枚減らした程度だがシャツ一枚になった人もいる。
 安比岳分岐を過ぎると展望が開け勾配も緩くなり歩きやすくなる。忘れ物アクシデントで予定より遅れたタイムで歩いてきたが休憩時間を多めに取っているのでここまで来れば挽回できるだろう。そこで予定通り源太森に立ち寄った。南西方向に見下ろす八幡沼の展望が良い。北面は紅葉が完全に終わり寂しい風景だ。
 源太森から八幡沼まではシーズン最盛期なら観光客で木道上は渋滞するのだが本日は非常に閑散としている。周囲に気兼ねせずに時折立ち止まって風景を眺めたり写真を撮ったりできるのがよい。稜雲荘から少し西に登ったところが八幡沼のビューポイントでベンチが数台ある。そこで昼食休憩とした。予想外の好天に恵まれた。慣例により乾杯。この場所で飲んだワインは格別の味がした。
 八幡平山頂に向かう。山頂展望台の周囲は通常多くの人でごった返していて小生は脇を擦り抜けるだけだったが本日は誰もいなかった。小生は未だに山頂の三角点を見たことがないので今回は三角点を探す絶好の機会である。恐らく展望台の真下の笹藪の中にあるのではないかと思っていた。その笹藪の中に入ると幾つかの岩があるが三角点は見当たらない。今日も駄目だったかとあきらめて笹藪の外に出た。すると三角点は意外に簡単に見つかった。三角点は展望台の階段の登り口の右脇にあった。目立つ場所であるがゆえに盲点だったのたと思いたい。
 バスの時刻が迫ってきたので早歩きで八幡平頂上バス停に下山する。旧レストハウスは閉鎖されていた(以前はその前にバス停があったのだが)。現在のレストハウスに入り館内の案内図を見ると最下階の入口前がバスの発着場所となっている。急いで階段を下る。既に田沢湖駅行きのバスは待機していた。
 バスの車窓の風景を眺めているうちに気持ちよくなり昼寝をする。次の目的地は玉川温泉。こういう機会にしか訪れることはないだろうと思い立ち寄ることにした。玉川温泉バス停でバスを降りすぐ(20歩程度で)大浴場入口に着く。玄関左に下駄箱がある。右は長椅子とテレビがあって10数名くらいの休憩スペース。ここから旅館の各建家に続く幾つかの廊下や階段が通じている。休憩スペースの向かい側に番台と男女別の脱衣所の入口の引き戸がある。まず番台脇の券売機で入浴券を買う。休憩室付入浴(\1,000)などの各種のお得な券も販売しているのだが番台の女性から既に受け付け終了と言われた。よってもっともシンプルな入浴券(\600)を買う。この時小生はザックの脇に山歩き用の銀マットを細長い巻物にして差し込んでいた。この銀マットが番台の女性の目に留まったようで、旅館内に岩盤浴のござの持ち込みは駄目だとのことである。これは岩盤浴のござではないのだが後難を避けるために番台の指示に従って下駄箱の上の目立たない場所に置いた。
 さていよいよ浴室に入る。小生の前に入った人の真似をしてまず入口にある桶の湯を体に掛け流す。そうやって体を慣らすのがルールのようだ。国内最高の強酸性温泉にいきなり入るのは無謀らしい。小生はある程度予備知識があったので始めは源泉50%の浴槽に浸かる。そして次に恐る恐る100%源泉浴槽へ。最初は何ともなかったがしばらくするとチリチリヒリヒリと皮膚に微少な刺激を感じる。メンバーの方々はその湯で顔を洗ったとのことである。かなりの刺激があったそうだ。脱衣所の注意書きに顔を洗わないようにとあったのに気づいたのは後になってからだ。小生は寝湯で横になっているのが気持ち良かった。
 風呂上がりは売店で買い物をしたあと岩盤浴に行くつもりだった。人の後に付いていけば岩盤浴の適所に着くだろうと思い、ござを抱えた人々が沢沿いの道を下っていくのに付いていく。しかし行く手に見えるのは新玉川温泉の橋や道路だ。道を間違ったと知った。また遠くの駐車場から歩いてきた人が大勢いることがわかった。岩盤浴の場所は何のことはない、玉川温泉の売店手前のトイレ脇から入る小道の方向で、いくつもの噴煙や蒸気が上っている場所だ。誰が見ても温泉の核心部である。この小道を温泉の流れる沢に沿って進んでいくとテントが張ってある所がありそこが岩盤浴の場所だ。小生はその付近に銀マットを敷いて岩盤浴をするつもりで来たのだが他のメンバーはどうも乗り気がしないようだ。そこで少し高台の場所に移動し休憩した。携帯コンロで湯を沸かしカップシジミ汁を飲んだ。
 秋の夕暮れは早い。バスを待つ頃にはすっかり暗くなった。最終の田沢湖駅行きのバスは乗客が我々のみで貸切状態だった。バス〜秋田新幹線〜東北本線と順調に乗り継ぎ北上で慰労会を開催した。今回の山歩きの行程は長いが正味の体を動かしている時間は少ない。大半はバスや電車の移動時間が占めている。小生は車内で充分睡眠ができ日頃の睡眠不足の解消、疲労の回復となったのが良かった(温泉の効能もあるだろう)。余裕のある行程と適度な運動量が楽しい山歩きの秘訣と思う。



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