2009年6月14日
808 JR水沢
913〜940 JR盛岡、バス乗換
1043 末崎バス停
1104 ゲート
1118 スノーシェッド
1140 早坂峠
1330 上明神山登山口
1341 上明神山
1347 上明神山登山口
1424 シナノキ
1510〜1530 早坂峠
1626〜1703 末崎バス停
1815〜1845 JR盛岡
2025 JR水沢
国道455号早坂トンネルが開通したため路線バスを含むほとんどの車両は早坂峠を越えずにトンネルを通過するようになった。そのためバスを利用して早坂高原に到達するにはトンネル手前の末崎バス停で下車し旧国道を歩くことになる。文献※1や地形図から予想すると早坂峠から上明神山まで平坦な牧草地内の車道歩きなので旧国道歩きを加えても時間的、体力的に余裕がありそうだ(後に安易な考えだったことが分かった)。
盛岡駅前から龍泉洞行きのJRバスに乗車。時刻表よりも5分遅れて末崎バス停に到着した。バス停は早坂トンネルに向かう新国道と早坂峠に向かう旧国道の分岐点手前にある。バス停から旧国道を進み約20分で末崎集落を通過する。その先にゲートがあり冬季は閉鎖するのであろう。沿道にはカンボク、ミズキ、ウツギ、カマツカ、ヤマオダマキ、シロバナニガナ、シャク、クルマバソウ、ノアザミが咲く。樹木はハルニレが多い。早坂峠駐車場少し手前から北に分岐する車道があるがこの場所にシナノキ、上明神山登山口と立派な道標が立っている。この状態なら道も整備されているのだろうと思い安心した。。
早坂峠に着くと駐車場、売店、芝生広場は大勢の人でごった返していた。今日は恐らく山開きであろう。いろいろなイベントが行われているようだ。地元の小中学生が峠の南側にある森林セラピーの森から続々と下山してくる。ちょうど昼なので仮設テントでは学生用の昼食の準備で大忙しである。静かな高原散歩と予想していた小生はこの状況に仰天した。その上レンゲツツジ、キレンゲツツジ、アズマギク、キンポウゲが満開状態で小生の目を惹く。集団から少し離れた場所で写真撮り。ふと気が付くとスズラン、ベニバナイチヤクソウも群落で咲いている。
駐車場の東端から車道を南に進む。カーブの連続する道を進んでいくと丁字路に突き当たる。丁字路で右折(北に向かう)。この付近はタニウツギが咲く。やや登り勾配となる。左右は草原で山菜採りの人が多い。遊歩道もあるが小生はそのまま車道を進んだ。途中シナノキ休憩所(管理棟だったかも知れない。地形図で標高948m地点)の建物がある。ここでは団体客が貸し切り状態で宴会をしていた。この付近では海岸に自生するハマナスが咲いているので驚いた。車道を離れこの休憩所から北に続く遊歩道に入ってみた。階段を上るとうっそうとしたドイツトウヒの林の中に入る。岩場にマルバシモツケが咲く。遊歩道は途中で右に折れ階段を下り車道に出る(車道に出たところがシナノキの巨木)が、このまま車道まで下ると距離的なロスが大きい。幸い北方向に分岐する道があったのでそちらを選択する。気持ちの良い平坦な草原の中を進むと車道に出た(地形図で標高1011m地点)。
牛が放牧されている牧草地を進む。雄大な景色だ。前方に電波塔が立つピークがあるが予想以上に距離がある。目指す上明神山はその電波塔のさらに先にある。文献※1記載のコースタイムでは到底到達できそうにない。それでもまだ帰りのバス時刻には余裕があるので牧柵沿いに咲くハマナスの甘い香りを楽しみながら歩く。
電波塔のピークの東側を車道が通る。その先は牧草地から林間の道に変わる。ダケカンバ、ブナ、シナノキ、ミズナラ、ナナカマド、ヤマハンノキ、トチノキ、ヤシャブシなど。道脇にツボスミレ、タチツボスミレ、カキドオシ、チゴユリが咲く。車道が上りから下りに転ずる峠の場所に車が1台停まり人が左の山に入っている。この方も上明神山を探しているのだろうか。登山口を示す道標が見当たらないので車道を先に進む。道はどんどん下っていく。不安になり地図と磁石で現在地を確認すると山頂は完全に通過したようだ。
車道を引き返す。途中で木に付けられた赤布があったのでこれが目印と思い薄暗い樹林帯に突入する。笹藪が進行を阻む。ほとんど平坦な地形で何となく標高が高い方向を目指すが手がかりはない。闇雲に歩くと迷いそうだしそろそろ帰路につかなければならない時間だ。車道に戻ることにした。
車の通行する音で車道の方向が分かる。日射しが差し込んでいる所が車道であろう。もう少しで藪から脱出できそうだ。進んでいくと思いがけず刈払いがされている場所に出た。周囲の樹木には赤ペンキの目印が付いている。車道はこの場所から切り通し斜面の下を通っている。車道からの上り口にはポールが2本立っていて上りやすいようにステップが刻まれている。往路では全く気が付かなかった。ただし道標は見当たらない。フキの花の綿毛が風に舞っている。
少し休憩し体勢を立て直した後、赤ペンキに導かれる道に進む。すぐに窪地(旧道と思われる)を横断する。赤ペンキの目印を頼りに進む。明瞭ではないが踏み跡もある。どんどん進んでいくと道は鉄条網に突き当たりそこで途切れた。薄暗い樹林帯の中に鉄条網が張り巡らされている。赤ペンキの目印もこの先見当たらない。今日はこれ以上探索する時間がないのであきらめて帰路に着くことにした。
鉄条網から引き返し20m位の場所に標石らしいものがあることに気付く。三等三角点と刻まれている。この付近は樹木に赤ペンキの目印が多い。ここが上明神山だった。近くの樹木の地上高3m位の位置に山名を示すプレートが付けられていた。全方位樹木で囲まれ展望はない。平坦な樹林帯の中なので目印が無ければ山頂を探し出すのは困難だろう。
車道に戻る。登山口の道標は見当たらないので今後の参考のために登山口を見つけるためのポイントを挙げておく。
早坂峠方面から車道を上ってくると右手に休猟区の標識がある。ここから右に分岐する未舗装道があるがその先に広場=5台ほどの駐車スペースがある。広場の奥に早坂高原水源保全の森という大きな看板が立っている。登山口は休猟区の標識を過ぎ約10m進んだ車道左手にある。登山口にはポールが立っている。車道の切り通し斜面は登山口部分だけ緩斜面になるよう削られている。
帰路にシナノキの巨木(幹周り8.1m、樹高20m)を見学した。巨木の周囲は柵で囲まれその中にセリに似た白色の花が群落で咲く。その後、早坂峠まで往路では通らなかった遊歩道を進んだ。レンゲツツジ、ヤマツツジ、アマドコロ、アヤメ、シロスミレ、オキナグサ(実)などの花が続く。シナノキ〜早坂峠まで車道のほか遊歩道も通じていることがわかった。
早坂峠に戻るとイベントは終了したらしく閑散としていた。雲行きがにわかに怪しくなり小雨が降ってきたので早めに下山し末崎バス停に向かうことにした。
後日、文献※2に興味深い記載を見つけた。岩手県内は、分水界によって馬淵川等流域、北上川流域、三陸沿岸河川流域の3つの流域に区分できるが上明神山はこれら3つの分水界の境界にあるとのこと。地形図を見ると本当の分水界は上明神山から2km西にある末崎頭(岩泉町・盛岡市玉山区・葛巻町の境界)と思われる。岩手県の地理区分上、重要な山域のようだ。従って登山口駐車スペースにあった水源保全の森という看板には納得できる。
参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行
※2「地域における環境施策の展開」(http://www.pref.iwate.jp/~hp0315/ki/ki10922u.htm)
|