氷上山(ひかみさん)中央コース、山馬越コース
氷上山から陸前高田市街を望む 陸前高田市・大船渡市
標高874.7m
JR一ノ関駅前から大船渡行き特急バス高田駅口または大船渡駅前下車
【写真】氷上山から陸前高田市街を望む

氷上神社前はまなす号バス時刻 月水金と5の市日運行
鳴石まわり837,1107小泉まわり1157,1427

2003年10月29日
 826 JR水沢
 851 JR一ノ関
 900 一ノ関駅前発(バス¥1600)
1048 高田駅口着
1112 氷上神社前
1124 ひかみの園
1144 太郎次郎杉,林道終点
1158 林道横断,赤鳥居(中央コースの登山口)
1206 かけの松,林道終点
1214 六合目515m
1229 八合目700m
1233 トイレ,裏に水場
1234 九合目760m,祈寿ヶ原
1250〜1310 山頂
1329 盛,山馬越分岐
1341 三角点?
1401 山馬越登山口,林道に合流
1431 黄金橋
1440 猿跳橋,不動明王,売り地
1449 一の渡橋
1454 山の神神社
1507 明神前住宅地
1521 JR大船渡
1525 大船渡駅前発(バス¥1780)
1735 一ノ関駅前着
1807 JR一ノ関
1832 JR水沢

 一ノ関駅で大船渡行き特急バスに乗り換える。ビジネス客が多い。ローカルバスの客層としては珍しい。競合するJR大船渡線よりも安くて早いし便が多いから当然だろうか。初めて乗車したので車窓の景色を楽しむ。気仙沼を過ぎると太平洋が望めいい観光にもなった。
 高田駅口で下車。JR陸前高田駅から200mくらい北側にある。参考文献を頼りに高田市街地の中を歩く。アーケードのある駅前通を北へ進み突き当たりで右折(東へ)。大町商店街に入りしばらく進むと左手に氷上神社と刻まれた石柱がある。ここで左折(北へ)し坂道を上る。小学校前を通過し氷上神社前に着く。神社の入口を少し過ぎたところに登山道の標識があった。氷上神社を過ぎると住宅街から抜ける。丁字路で右折するとすぐに交差点があるが直進する。「ひかみの園(養護施設)」の標識を目印に進むと良い。山中の道の割に車の通行があるがほとんどひかみの園への来訪者であった。
 ひかみの園で登山道の標識に従いY字路を右に入ると未舗装の林道となる。先日買った地元特産の南部鉄器製熊除け鈴をつける。音色は風鈴そのもの。念のため通常の熊除け鈴とダブルで使用した。林道終点に太郎次郎杉という2本の杉が2m位の間隔で立っている。昔の登山者はこの2本の杉を鳥居に見立て杉の間を通り抜けたとのこと。
 登山道に入るが別の林道が開通したためこの道はあまり人が入っていないようだ。程なく舗装された立派な林道を横断する。ここが中央コースの登山口で赤鳥居がある。近くに温泉があるようで霊泉玉の湯6kmという看板が立っている。
 赤鳥居をくぐる。足下は大きな石がごろごろしている。少し進むと「かけの松」と記された道標がある。すぐに再び林道を横断。このあたりは杉と赤松が多い。つづら折りを繰り返しながら高度を上げる。トイレ(裏に水場あり)を過ぎると祈寿ヶ原に着く。とても広い台地で360度の展望がある。特に陸前高田の市街地・広田湾の展望がよい。また,避難小屋もある。山頂は狭いので休憩場所は祈寿ヶ原が最適であろう。
 祈寿ヶ原の中央に立つ地図入り案内板でコースを確認したあと山頂に向かう。背丈が低く密集した林をくぐり抜ける細道となる。道は所々で枝分かれ・合流していて西の御殿・東の御殿・中の御殿にそれぞれ通じるらしい。各御殿はオレンジ一色のペンキで塗られた金属製の覆堂の中にあり分厚い扉は冬に備えてか鍵で閉ざされた状態であった。参考文献によると小生は中の御殿経由で東の御殿(=山頂)に到達したようだ。山頂は360度の展望があるが周囲が低木で囲まれているので身長がないとつらい。広さは3人も座ればいっぱいであろう。室根山ははっきりと見え五葉山の上半分は雲の中。風が強く雲の流れが速い。小雨がひょうに変わり雷が鳴る。冬が間近に迫っていることを実感する。
 下山は盛コース。山頂に盛方面を示す道標がある。下るとすぐに背の低い笹で道が覆われる。赤ペンキ・赤リボンの目印が唯一の頼りとなるので見失わないように注意する。広葉樹が疎らなので見通しはよい。笹原の絨毯の上を歩いているようないい気分になる。
 途中に道標があり「左盛」とある。その下にあった板を裏返すと「右山馬越」と書いてあった。山馬越は語感から言って険しそうなので左に進み下っていくが笹で道が分からなくなった。しばらく笹原の中を右旋回し尾根を目指すと目印を発見。助かったと思ったがこのコースは山馬越に向かう道であった。山馬越がどんなところか知らないが道標はしっかりしているのでそのまま下っていく。このコースは須崎川の源流に出会うところが紅葉のポイントと思う。林道に出る。左に畑が広がっているが山馬越集落はまだまだ先である。
 山馬越は民家が数件と畜産小屋が並んでいるがほとんど廃墟で人が住んでいる気配はない。幻の廃村のようだ。林道は何度も須崎川を橋で渡る。橋にはそれぞれユニークな名称がついていておもしろい。最初が黄金橋。この橋には「夏草や金堀りどもの夢のあと」と句が刻まれている。近くに玉山金山があるが,この辺りも金山だったのか。
 こんな僻地でも不動産屋が10区画ほどの土地を売り出し中。買い手はいるのだろうか。途中の山の神神社(正確な名称は不明だが鳥居には山の神と記されてあったので)に参拝。東屋とテーブルがあり本コース最後の休憩場所である。ひかみの園からここまで道中誰にも会わず。この先の土砂採掘現場から道が良くなり大船渡市明神前の住宅地に入る。
 大船渡市内は全く未知なのでひたすら須崎川沿いの道を進む。大船渡線の踏切を渡るとき左を見たら近くにJR大船渡駅があった。駅舎に入り時刻を調べるとかなりの待ち時間がある。次に駅前の交差点を左折したところにあるバス停に行くとちゅうど一ノ関行き特急バスが近づいてきたので乗車した。尚,駅に寄らなければ明神前からは加茂神社前のバス停が近い。

参考文献
※1「岩手の山やま」 昭和60年7月20日発行 熊谷印刷出版部 高橋喜平・高橋亭夫・中村正
氷上山(ひかみさん)中央コース、玉乃湯コース
玉乃湯 陸前高田市・大船渡市
標高874.7m
JR大船渡線BRT陸前高田駅下車
【写真】玉乃湯
2013年4月6日
 629 JR水沢
 653~719 JR一ノ関
 839~922 JR気仙沼(BRT乗換)
 955 BRT陸前高田
1044 林道から登山道に入る、太郎次郎杉
1107 赤鳥居、舗装林道横断
1123 林道
1131 六合目525m
1140 七合目
1151 八合目700m
1157 九合目祈寿ヶ原760m
1213~1305 山頂
1405 林道
1425~1605 玉乃湯
1630~1830 大隅つどいの丘商店街
1858 BRT陸前高田
1931~1957 JR気仙沼
2123~2214 JR一ノ関
2254 JR水沢
人数3名(小生含む)

 東日本大震災以来、初めて沿岸地区に出かけることになった。昨年は各所に仮設の商店街が開設され、今年になってJR大船渡線の不通区間の気仙沼~盛がBRTとして再開された、ということで沿岸地区にも気軽に出かけやすくなったと思ったからだ。地元の新聞によると大勢いたボランティアが一人もいなくなったとか、主だった建物が解体されたので物見遊山の観光客が来なくなったとか、やっと騒ぎが収まってこれからが復興の正念場になると思う。復興支援というような大それたものではないが小生の山歩きの場合、交通機関は鉄道・バス・タクシーなので確実に地元にお金を落とすことになる。今回は仮設店舗の飲食店に寄る計画とした。
 JR気仙沼駅で下車しBRTに乗り換える。乗換時間に間があるので駅前周辺を少し歩いてみた。駅から陸前高田方面の最初の踏切を渡ってみる。JR大船渡線は気仙沼駅から先は不通区間であるが踏切の線路は錆びていて震災以来不通になっていることを物語っている。BRTの乗車場所は駅前広場東側の観光案内所前にあり気仙沼線と大船渡線兼用である。我々はホリデーパス(JRのいわてフリーエリア内の普通車自由席が乗り降り自由、2400円)を使って移動しているがBRTも使用可能なためかなり重宝している。
 BRTは気仙沼駅を出発し市街地を通り抜ける。市役所前付近までは以前と変わらない街並みに見えた。BRTの次の停車駅は鹿折唐桑だが一体は見渡す限り更地である。車窓左手に大型の船が打ち上げられている。国道45号に入ると唐桑半島の根元を横断する。山間のトンネルが多い道をBRTは快調に飛ばす。宮城・岩手県境付近から国道は海岸沿いを進む。BRTの長部駅を過ぎると間もなく車窓右手に奇跡の一本松が見えてくる。気仙大橋を渡り信号機のある交差点で左折し国道340号に入るまでBRTは奇跡の一本松のまわりを90度時計回りに走る感じである。一体は広大な更地のため奇跡の一本松が際立って目立つ。
 BRT陸前高田駅で下車。待合室と隣接して小さな観光案内所がある。この場所は陸前高田市役所仮庁舎前である。庁舎の道路を隔てて反対側は山林を切り開いて宅地造成工事が行われている。そのため大型ダンプ車の往来が多い。民家や商店は無い。車道を南に進み国道340号に架かる氷上橋を渡る。ここから氷上山頂がよく見える。天気はもちそうだ。まずは大隅つどいの丘商店街を目指す。住宅地の中、緩い坂道を上っていくと2階建てプレハブが2棟並んでいる。これが大隅つどいの丘商店街の仮設店舗であった。下山時はここで慰労会を予定している。隣接してローソン、タクシー会社がある。震災の影響で商店や各施設が高台である山側に移転している。これは登山には便利だが単純に喜ぶこともできない複雑な心境である。とにかく大隅つどいの丘商店街は氷上山登山に絶好の位置にあると思う。コンビニ、喫茶店、居酒屋、タクシー会社が登山口近くにあるのは心強い。
 ローソンのある交差点は北進する。ここから先は以前歩いたルートだが記憶はあやふやだ。工事中の道路の掘割を越え希望ヶ丘病院の前を過ぎてから右折。しばらく病院を右手にして東に進む。病院の最奥の建物付近で林道が左に分岐しているのでこの道に入る。特に道標は見当たらない。うっかり直進しないように注意だ。林道右手に沢が流れる。沢沿いの林道を進む。以前歩いた印象では林道を進めばすぐに太郎次郎杉に着くと思っていたがなかなか到達しない。全体的に谷底を進むので薄暗いが沢の上流付近は木が伐採されていて日当たりが良い。市庁舎前から歩き始めて50分。やっと登山コースを示す道標が現れた。
 林道から右手に分かれるやや荒れた道に入る。間もなく太郎次郎杉に着く。ここから本格的な登山道が始まる。谷から尾根に登るので勾配はきつい。この尾根は狭く両側とも谷底に切れ落ちている。また両側ともに砂防ダムが造られていた。あいまいな記憶では10分程度で赤鳥居前の林道に出ると思っていたがなかなか到達しない。苦しく長い道のりに感じた。赤鳥居前で休憩とした。
 五合目のかけの松は枯れていた。ハシバミは開花中。それ以外の木々のつぼみは固く新緑の季節には早い。スギ・シナノキ・アカマツ・ブナの大木を観賞しながらつづら折りの道を登っていく。高度を上げるにつれガスに覆われ幻想的な雰囲気となる。今日は展望は望めそうにない。時折小雨がぱらつく。予報では夕方から荒れた天気になるようだが持ちこたえて欲しい。
 祈寿ヶ原を過ぎ、ツツジの潅木をすり抜け山頂に到達した。ガスで展望は無し。山頂直下の神社の前で昼食とした。体が冷えてきた頃に下山を開始する。下山は玉乃湯コース。小生にとっては初コースである。祈寿ヶ原まで戻り山荘の中を見学の後、下山する。尾根上の緩やかな下りで快適なコースだ。一本杉、氷玉の木(ブナ)と記された巨木も楽しめる。そしてつづら折の下り。これは五葉山の大沢コースに似ている。コースは明瞭で迷うことなく林道に出た。
 林道をそのまま下っていくと十字路があり傍らに玉乃湯500mを示す道標が倒れている。左折方向が道の状態が良いので進んでいく(しかしこれは間違いで直進が正解である)。右方向眼下に玉乃湯が見えてくるがかなり遠回りしていることに気がついた。玉乃湯まで道無き山の斜面を一直線に下ることにした。入場料は500円。冷えた体が温まって少々のぼせたがいい湯だった。施設内には結構人がいたように感じたのだが3時を過ぎると大広間の休憩所は我々しかいなくなった。芸能人の色紙が館内のいろいろな所に飾られている。最も眼についたのは我が奥州市水沢区出身プロ野球ドラフト一位でデビューしたばかりの大谷選手である。大谷選手もここの温泉に入りに来たのかと思うと親近感を一層感じる。
 玉乃湯からタクシーで大隅つどいの丘商店街に戻る(料金2250円)。まずは暖かい飲み物を求め「わいわい」さんに入りホットコーヒーを飲みくつろいだ。続いて「陸丸」さんに入り生ビールで乾杯。そして各種単品料理と酔仙。最終のBRTに間に合うようにと時間の制約がある中だったがおいしくいただいた。
 予定通り最終のBRTと最終の大船渡線と最終の東北本線を乗り継いで帰路についた。


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