蓬莱山
岩手県江刺市・大東町
標高787.8m
水沢駅通りから岩手県交通バス大平行終点下車
江刺バスセンターから江刺市営バス根木町行終点下車

バス時刻
根木町発江刺バスセンター行き720,920,1250,1620(日祝830,1250,1620)
大平発水沢行き730,950,1450

2002年9月15日
 845 自宅発(自転車)
 945 大平(JA太田代出張所前)
1116 田原峠
1217 大岩直下の公園
1245〜1300 山頂
1411 根木町バス停
1444 大平

 水沢市内の自宅から東の山並を眺めると屏風のように連なる長い稜線が蓬莱山である。標高約750mのほぼ水平な尾根が南北に4km続き,北端に立岩,中央に大岩,南端に主峰の蓬莱山を配する。
 20年程前に根木町に自転車で行ったとき蓬莱山登山口の石柱を見つけた。以来,地図を眺めながらいつかは登ろうと思っていたのだが実現せず。一昨年から今年の夏にかけて阿原山,根木町周辺を訪れる機会がありそれを契機に蓬莱山に再び興味をひかれたため登る計画を立てた。コースは大平を起点とし田原峠から蓬莱山まで尾根を縦走,帰路は山頂から根木町に下山し大平に戻るという三角形一周コースである。
 大平のJA出張所の前に自転車を置く。国道456号に入る水沢方面からのアクセス道は工事中のため江刺と沖田(田原峠)方面に行くには南の根木町方面から大きく迂回しなければならない。幸い歩行者は工事中の道路脇をすり抜けることができるので,456号の高架下をくぐり田原峠に向かう。
 田原峠は十字路の交差点となっていて,直進すると大東町沖田,左折で阿原山,右折で蓬莱山に向かう。蓬莱山に向かう道は未舗装で最初は白樺の中を抜ける。しばらく進むと左右に牧草地が開け展望が良くなる。特に右手の胆沢平野・水沢方面を眺めるには絶好の場所であろう。一旦鞍部に下ると牧場の建物が点在しこの辺が牧場の中心となっているようだ。丁字路があるが直進し斜面を上ってゆく。傾斜はきつくなり車道はつづら折りを繰り返す。雨水の浸食で深い溝ができ一般車両では通行困難と思われる。登り切ったところが立岩のあたりであるが特に道標はない。この先,道は平坦な直線道となり歩きやすくなるが,主尾根の東側の一段低い所を通るので展望はない。
 遂に車道の終点に着く。周囲は小公園となっていてトイレやベンチがある。案内板によれば現在地は大岩の近くである。立岩・大岩・蓬莱山の稜線は早池峰に次ぐ蛇紋岩地帯として県の自然保護地域に指定されているとのこと。ベンチに座って昼食を摂ったあと周囲を散策する。蛇紋岩が積み重なってできたピークが点在し,山岳信仰の跡らしい石碑もある。蓬莱山に向かう山道を探すが縦横に道がありしばらく迷う。おそらく山菜採りの道であろう。大岩に登るつもりで上に向かう西側斜面の細い道を進むと,尾根筋に出た。「ゴミを捨てるな」と書かれた鉄板が立っている。ここで右(北)側の尾根を登ると大岩の頂点に達するのだろうが道はない。道のある左(南)に進む。尾根の延長上に電波塔の立つ蓬莱山が見えるのでコースに間違いはない。
 再び車道に出る。一直線に砂利道を登り電波塔の立つ山頂に到着した。三角点は電波塔の敷地内にあった。三角点を示す白ペンキの標柱と標石,その近くの電柱に蓬莱山と記されたプレートが掲げてあった。展望は眼下に沖田地区の集落,遠くに気仙方面の山並みがよい。
 山頂直下の石地蔵にお参りし帰路につく。そのまま車道を下り根木町に向かう。鳥の鳴き声と時々蝶が舞う静かなコース。しかし,みちのく池田記念墓地公園から2車線の立派な舗装道路となる。墓地公園は最近オープンしたので見学者の車が後を絶たない。国道456号との合流点に根木町バス停がある。
 国道を北上し大平集落へ。20年前,この道は市町境界の峠までカーブが連続する細道で車がほとんど通らなかったが,現在は拡幅整備され大型車両が猛スピードで通過する。大平で自転車を回収し自宅に向かった。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行

蓬莱山
岩手県奥州市・一関市
標高787.8m
水沢駅通りから岩手県交通バス大平行終点下車
江刺バスセンターから奥州市営バス根木町行終点下車
2010年5月4日
 838 大平(JA太田代出張所前)
1125 田原峠
1210 牧場丁字路
1245 立石
1315 林道終点・広場
1328 大岩
1348 蓬莱山
1632 大平

 前述のように蓬莱山は県の自然保護地域に指定されている。蓬莱山山頂に設置されている案内板によると標高は低いのに希少種や南限種があるとされている。いつか再訪しその一端でもかい間見ることができれば、と思っていた。今回は野鳥観察も兼ね双眼鏡を持参しのんびり歩くことにした。
 コースは先回と同じで大平→田原峠→蓬莱山→根木町→大平。自宅から大平までは自転車で移動・往復である。元田原農協の建物前に自転車を停め歩き始めた。道中は主に双眼鏡を覗きながら野鳥観察である。しかし最初に発見したのは野鳥ではなくリスだった。小生の自宅周辺は水田・空き地が多く見通しが良いため野鳥は容易に見つかるが、山中では声はするが姿を見つけることは難しいと感じる。大平〜田原峠間でよく見られたのはホオジロ(主に水田地帯)、ヤマガラ、アオジである。そしてコゲラ、メジロが少々。ウグイスもいたるところでさえずりが聞こえたが見つけることができなかった。沿道の花はキクザキイチリンソウ、ニリンソウ、エゾエンゴサク、ムラサキケマン、アズマイチゲなど。
 田原峠で右折し林道に入る。シラカバ林を抜け最初の牧草地で昼食休憩。林道上ではアカハラ、ホオジロ、アオジが餌を探し回っている。一箇所、残雪が林道を塞いでいた。林道は牧草地を抜けた後、立岩の東麓を巻いている。立岩は南北に細長くピークが続いているのでその北端から上り立岩の頂上を目指すことにした。岩場は西斜面に多く稜線上は少ない。小高木を払いながら進む。この辺りがピークと思われる場所に標石が埋められていた。山頂を示すプレートなどは見当たらない。ヒメイチゲがぽつりぽつりと咲いている。
 林道に戻り南進し次の目的地・大岩を目指す。林道終点に広場、その奥に小さな神社がある。ヒガラ、シジュウカラが小生の近くを飛び回る。ヒメイチゲ、ショウジョウバカマ、カタクリが咲く。西面は岩塊が積み重なってできた急峻な斜面でその頂点は地形図上で標高786mの大岩である。広場から大岩の頂点まで細道が続いていることは先回訪れたとき知っていたが広場からの上り口がはっきりしない。勘に頼って適当に岩を次々と乗り越え上に向かって進む。ほとんどの岩は分厚いコケで覆われている。尾根に出ると明瞭な道があった。その道を北にたどっていくと小祠に着く。着くやいなや数メートル下にいたカモシカが驚いて逃げていった。小生も同様に驚いた。すぐ北側の高さ1m位の岩峰が大岩の最高標高点である。岩峰の上は平坦なので容易に立つことができる。
 次は蓬莱山に向かう。大岩の頂点から細道を引き返し南に進む。前方に蓬莱山の電波塔が見える。林道に合流し緩い坂を上る。アカマツの倒木を避けながら進んでいくと蓬莱山の山頂に着く。三角点の周囲は草地が広がるが草は全て地面にへばりついていて気候の厳しさを物語る。
 帰路は根木町へ続く林道を下る。標高が高いところは林道を遮るようにアカマツの倒木が多い。これでは車は通行不可だ。現在この山域には容易に訪れることができないことが分かった。そもそも訪れる人は少ないのだろう。
 途中、大田代川源流・蓬莱水と記された水場がある。エナガ、コガラ、ヤマガラ、ヤマドリ、沿道に咲くカタクリを観察しながら下る。池田記念墓地を過ぎ国道456号に出る。交差点角に古い石柱が立っていて「天下の絶景 蓬莱山 登山口」と刻まれている。天下の絶景を本日見ることができたのだろうか。それとも既に失われてしまったのか。まだまだ修行不足の小生には答えが出せないでいる。

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