今出山

岩手県大船渡市
標高755m
三陸鉄道甫嶺駅,JR大船渡線盛駅

【写真】今出山山頂

2005年5月14日
 812 JR水沢
1121 三陸鉄道甫嶺
1205 浄水場 ここから未舗装 漁網置き場から先は左右に金山施設跡
1227 登山口(第一分岐点) 右に抗口あり
1301 沢,引き返す,ここにも金山施設跡
1329 第二分岐点
1411 坑道経由コースと合流
1426 盛方面コースと合流
1441〜1450 山頂
1527 林道終点
1602 椿公園
1632〜1644 盛駅
1945 JR水沢

 4月頃,県の広報誌を何気なく読んでいると三陸鉄道のイベントの一環で今出山登山の案内が掲載されていた。広報に載っているくらいの山なので楽に登れるだろうと思い地図を調べると標高は約750m。今年最初の山歩きの足慣らしには程良い高さである。
 花巻から釜石線を経由し三陸鉄道に乗り替え甫嶺で下車。駅前の桜は散りはじめている。駅前の通りをしばらく南下し右折(北西に向かう)。小学校の脇を通ったあとは単調な車道歩きとなる。東上甫嶺集落の入口にある建物の壁に「今出金山採鉱跡」と記された案内板があった。今出山が金山だったとは全く知らなかった。案内板によるとこの先は抗口が点在しているようで興味深い。東上甫嶺から西上甫嶺まで甫嶺川に沿って平地が開けており住宅が立ち並ぶ。製材所や漁網置き場があったりで農林漁業が中心の地区のようだ。
 民家が無くなりしばらく進むと上水道の施設がある。その先は未舗装で薄暗い杉林の中を進む。道の両側に石垣が並んでいるが廃屋の跡だろうと思った。しかしこれらはかつての金山の施設であった。事務所跡,映画館跡,精錬所跡と標柱が続く。こんな山中に映画館があったとは驚きである。一連の施設を写真に収める。
 甫嶺川に架かる橋を渡り右岸に移ると今出山登山コースの道標がある。ここで道は左右に分岐する。左は今出山山頂,右は今出山金山坑道跡経由今出山山頂とある。迷わずに坑道跡経由の道を進む。急に道幅が狭くなり踏み跡もはっきりしない。この道は上流にある砂防ダムの巡視路のようだ。5分ほど進むと左手にぽっかりと抗口が開いていた。中は暗くてよく見えない。さらに進むと道は幾手にも別れ不明瞭になる。山菜採りのせいであろう。それでも何とか見当をつけながら進むが斜面の勾配がきつくなり行く手を木に妨げられるようになってきた。これは広報誌に掲載するようなハイキングのレベルではない。
 右手は甫嶺川の渓谷,左手は山に連なる斜面であるが,左の斜面上に林道がありそうだ。木々にすがりながら強引に斜面を登る。もうちょっとで林道というあたりが最も急勾配で難渋した。
 この先は林道を進みながら抗口見学ができるのだろうと安心していたが30分ほどで林道は終点。右手に細い道が続いていて甫嶺川につづら折りに下っていく。沢を徒渉。石垣と平坦な台地状の地形があり金山施設の跡と思われる。沢の水を通すための土管が転がっている。登山コースを探すため沢の上流に向かうが見あたらない。下流もうろうろするが道標など目印は無し。本日はここで時間を費やす余裕がないので引き返す事にした。
 林道を戻ると「今出山山頂コース」と「金山坑道経由山頂コース」の合流点に出る。小生は「金山坑道経由山頂コース」から戻ってきたことになる。ここで解説を加えると「今出山山頂コース」と「金山坑道経由山頂コース」の分岐点は2カ所ある。最初の分岐点(ここでは第一分岐点と呼ぶことにする)で右に進むと坑道口がある。ただし道は不明瞭。左は林道で歩きやすく次の分岐点(第二分岐点)に至る。第二分岐点を右に進むと林道は2km位で終了。その先はいくつかの抗口を経由し山頂に至ると思われるが道は不明瞭,道標もない。小生は第一分岐点→坑道口→急斜面登坂→林道→沢→林道引き返す→第二分岐点,という経路をたどってしまった。
 結局「今出山山頂コース」を通ることにした。このコースはすべて林道なので歩きやすい。そのかわり登山の雰囲気としては物足りない。所々に道標があり安心する。高度を上げていくにつれガスが濃くなり笹原が目立つようになる。木々の若芽が早春を感じさせる。盛方面からの林道と合流したあとは大きなS字カーブで電波塔の施設群の間を通り山頂に至る。
 視界はガスのため無し。山頂を示す白ペンキ塗りの標柱がある。その脇に一株の水仙が咲いている。今出山はツツジの名所であるが咲いている花は見あたらない。時期は早いようである。帰りの列車の時刻を考えると長居はできないので早々に下山する。下山は盛コース。途中に小屋や野外活動施設があり地元のレクリエーション施設として結構利用されているようである。ただしこの日は誰もいない。また,千人抗殉難者の碑もあった。
 盛方面に下る林道はほぼ一直線の下りだが山頂から30分ほどでコンクリート舗装の立派な2車線の道路に出る。この道路は盛から山越えし三陸町へ抜ける道として整備されているようである。ただし今出山登山口から三陸町側は建設中であった。車道歩きは登山の感じはしないが列車の時刻まで余裕がないので時間短縮するには都合がよい。どんどん下っていくと今出山水飲場という施設がある。沢の水をパイプで引きタンクに貯めているものである。今出山登山の皆様,ここが最終の水場です。大切に使用しましょう。と案内板に記されていた。
 さらに下る。椿公園や銘菓鴎の卵で有名な工場の前を通り市街地の中に入る。盛川を越え岩手開発鉄道の線路を渡り盛駅に到達した。


inserted by FC2 system