石上山

岩手県遠野市
標高1038.1m
JR釜石線綾織駅
JR遠野駅徒歩5分の中央通りバス停から早池峰バス綾織・達曽部方面行き蓬畑バス停下車

【写真】山頂三角点

2008年5月17日
 616 JR水沢
 746 JR綾織
 755 綾織十文字
 827 蓬畑
 858 登山口
 935 水場
 937 籠堂小屋
1008 刃納めの岩
1010 中之堂
1019 兜岩
1021 石上山山頂
1035〜1110 三角点
1126 石上山山頂
1155 不動岩
1204 籠堂小屋
1245 登山口
1311 蓬畑
1353〜1408 日影バス停
1420〜1509 JR遠野
1712 JR水沢

 石上山は遠野三山の一つで遠野物語にも出てくる山である。遠野三山のうち小生がまだ訪れたことのない山は石上山なのだが文献※1、※2を見ると岩場で(鎖や鉄梯子で登る)険しく山頂も狭いようで敬遠していた。しかし文献※1記載の山を制覇するという凡人の目標を立ててしまった以上重い腰を上げざるを得なくなった。
 釜石線綾織駅で下車。線路に並行して西に進み踏切を渡って北に向かう。これから目指す石上山は山頂付近に薄雲が懸かっているのが見える。国道396号交差点(綾織十文字)を横断し砂子沢沿いの道を進む。この道は蓬畑集落までバス路線となっている。途中、乳神という遠野物語関連らしい場所がある。車道の西側の崖を上から覆い隠すようにコメツガが伸び、その枝に運動会の玉入れで使うような紅白の玉が吊されている。玉の形状は乳に似せてあるようだ。
 道路脇にシャク、雑木林の中にラショウモンカズラが咲いている。蓬畑集落から先は民家が途絶え山中を通る。コナラ(盛んに花穂を垂らしている)、シロバナエンレイソウ、ミツバウツギ、チゴユリを見ながら進んでいくと登山口の赤鳥居に着く。鳥居脇にある登山カードに記入する。登山口付近は民家の畑の脇を通るが道沿いにベニシダレサクラが咲いている。クワ、カラマツ、スギの植林地を抜けると再び鳥居がある。ここから先はスギ林の中の一直線の道となる。道脇にスミレが咲く。途中、婆石と記された高さ1.5m程の円錐形状の岩がある。後で調べるとこの婆石は遠野物語拾遺第12話に出てくる石である。
 植林地を過ぎると小沢沿いの道となる。沿道はニリンソウで敷き詰められお花畑となっている。ラショウモンカズラ、クルマバソウも点在する。カタクリは既に実を付けている。お花畑の楽園は籠堂小屋まで続いた。小屋の手前に水場がある。
 籠堂小屋から勾配がきつくなる。ブナ、ミズナラ、ハウチワカエデの樹林帯に変わり低木ではムシカリが目立つ。マイヅルソウ、ツクバネソウの花は咲き始めである。標高が高くなるにつれコヨウラクツツジ、ムラサキヤシオツツジが多くなりツツジの花の観賞にはちょうど良い時期である。刃納めの岩から鎖にすがって急斜面を上ると中之堂に着いた。堂の左脇は崖になっている。この崖を鎖はしごで上る。鎖の上に靴をしっかりと引っ掛けるように乗せないと体重をかけたとき滑るので慎重に上る。コース中の最大の難所である。ただし鎖はしごが連続する状況を想定していたのだがこの1箇所のみだった。
 兜岩を過ぎるとあっけなく山頂についた。山頂は大きな1枚岩でやや東側に傾斜している。周囲はムラサキヤシオツツジが咲き展望は360度である。文献※1によれば三角点へは道がなく踏み込まない方が無難とあるがその後整備されたらしく三角点への道を示す道標があり赤布も付けられている。そこで三角点を目指すことにした。ブナ、ダケカンバ、ナナカマドの尾根道を進む。ヒメイチゲが咲く。15分ほどで三角点に到着した。周囲は直径10m程の広場になっていて展望も良い。尚、さらに南の方に道は続いているようである。
 三角点で昼食休憩。ついでに横になって昼寝をしたいところだが今日に限ってビニールござを持ってこなかったのでゆっくりと下山することにした。往路は他の登山客には会わなかったが復路は1枚岩の山頂で2名、籠堂小屋付近で2名会った。復路は中之堂の鎖はしごは通らず迂回路を下った。また籠堂小屋手前で分岐する不動岩コースに入ってみた。不動岩は岩場の急斜面でその上を沢の水が流れている。ここから先の登山道は小沢と並行するがその小沢の源流地点である。沢沿いにネコノメソウ、コキンバイが咲く。少し下るとニリンソウの群落に入り籠堂小屋の前で直登コースと合流した。
 登山口から車道を歩き蓬畑バス停に着いたがバスの時刻まで1時間弱の余裕がある。ちょうど良い時刻になるまで綾織方面へ歩きながら時間をつぶすことにした。車道脇の牧草地で一頭の馬が小生を物珍しそうにながめていた。国道396号と283号の交差点から日影橋を渡り日影バス停でバスを待った。

 早池峰バス蓬畑バス停 遠野市街地方面行き時刻 1359

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行
※2「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行


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