岩伏部(いわふすべ)・大鉢森山(おおはちもりやま)
岩手県奥州市水沢区
標高481.4m, 634.0m
岩手県交通バス大平線車坂下車
岩手県交通バス正法寺線終点正法寺下車
【写真】岩伏部三角点
2011年5月7日
 913 秋成バス停
 936 車坂バス停
 942 小黒石分館
1025 小田方面分岐
1046 送電線鉄塔(NO.10, NO.11)巡視路(引き返す)
1051 Y字分岐左折
1103 送電線直下通過(スギ伐採地)
1123 沢の源頭(道あり)
1141〜1208 岩伏部山頂
1224 大鉢森山林道横断
1251 防火帯丁字路
1310〜1324 大鉢森山
1340 防火帯丁字路
1347 正法寺アンテナ方面分岐点
1406 大鉢森山林道横断
1428 林道に出る、直進
1440〜1456 水田脇で休憩
1505〜1515 正法寺散策
1554〜1635 黒石寺
1705 秋成バス停

 今回の山歩きの目的は二つある。一つは文献※1記載の未踏峰、岩伏部に登頂すること。岩伏部は小生の自宅から良く見える山で大鉢森山の一段手前にある山である。二つ目は大鉢森山から正法寺に下山するルートを確認すること。地形図上には道が記されているが現実に道はあるのか。また文献※1記載の3ルートは何れも林道と防火帯を通り小生の主観的な考えでは山歩きとしての魅力が乏しい。そこで大鉢森山からの展望と正法寺観光を組み合わせると山歩きの魅力が増すのではないかと考えた。
 水沢区の国道343号は北上川に架かる藤橋が東日本大震災で橋脚が損傷したため通行止めとなっている。このため路線バスは藤橋よりも下流の大曲橋を迂回した。車坂バス停で下車。バス停前の旧雑貨屋脇の道から小黒石地区に入る。網代滝を示す道標で左折、小黒石分館前を過ぎY字路で右折、袖ノ沢集落に入る。地形図によると袖ノ沢から続く林道は岩伏部の山頂に至っている。これならさほど苦労なく到達できそうだ。春の陽光の中、田植え作業が始まった水田を眺めながら進む。
 袖ノ沢集落を過ぎアカマツ林の中の未舗装の林道に入る。沿道に葉を開いたばかりのタニウツギが多い。小田方面からの林道と合流した後次第に道路状況が悪化してくる。雨水で浸食が進んでいる。道脇に廃車1台。スギ林の中、小沢沿いに道は続く。カタクリの花期は終わり、オクノカンスゲ、タチツボスミレ、ニリンソウが咲くがさほど多くはない。途中道が二手に分かれるが小沢沿いの右を選択した。浸食で荒れた道を進んでいくと林道の終点に着いた。ここには送電線鉄塔(NO.10, NO.11)のプレートがあり並行する小沢に丸太橋が架かっているのでこの先は巡視路と思われる。道を違えたと思い引き返した。この付近にはアズマイチゲがぼつりぼつりと咲いている。
 道が二手に分かれる地点まで戻り違う方向の道(北側)に入ってみる。こちらはスギ林の薄暗い谷筋を進むが道はすぐに不明瞭になる。路面は雨水が沢になって流れた跡で荒れている。シロバナエンレイソウが咲く。小木をかき分ける程度で勾配は緩く前進は困難ではない。行けるところまで行ってみようと思う。突然視界が開けスギ伐採跡地の下端に出た。見上げると送電線が通っている。この送電線は地形図にも記載されているので現在位置の把握に役だった。伐採跡地には作業道が続いているはずだが一帯は枝葉の残材が積み重なり作業道は見当たらない。そのまま谷筋の道なき道を進むことにした。相変わらず小木とシダ類をかき分ける程度のコースで見通しが良いので迷う心配はない。しかし当初の予想(林道を進んで行くだけで岩伏部に到達する)とはかけ離れた状況にある。ただし進退窮まるような事態になることはなく前へ前へと進んでいった。やがて谷沿いから抜け視界が開け雰囲気が一変した。この場所は草地が広がる窪地で小沢の源頭部と思われる。そして窪地の外周を半周するように踏み跡が明瞭な細道が続いていた。どうやら正しいルートに合流したらしい。春の柔らかな日射しが心地よい。ヤブレガサ、マムシグサが見られる。
 当初、細道を南に進んでみたが緩い登りの後右にカーブし急降下する。これはコースが違うと思い引き返し今度は細道を北に進んでみるが岩伏部と反対の方向に向かっていてこれも違うようだ。前々から気づいていたのだが赤テープが尾根に沿った樹木に取り付けられている。道はなさそうなので躊躇していたがこれを目印に登ってみるしかなさそうだ。細道から赤テープの尾根に取り付く。道は無く尾根筋の小木はつい最近刈払いが行われたようで切り株に注意しながら進む。アカマツ林を登っていくとゴツゴツした黒い岩場の稜線に出た。やがて紅白のポールと三角点の岩伏部山頂に到達した。山頂は畳一枚程度の広さでタチツボスミレが咲く。山名を表すプレートは見当たらない。周囲はアカマツ、クリ、ミズナラで囲まれているが南側の展望が良く大鉢森山が良く見える。北側は樹幹越しに水沢市街地が見える。双眼鏡を覗くと新幹線水沢江刺駅、ヤマダデンキ、コープアテルイが確認できた。久々に体力を使ったのでシャツは汗でびしょ濡れとなった。冷たい風を避けるために北側斜面に腰を降ろし昼食休憩とした。
 岩伏部山頂から反対側(南側)の稜線を下る。すぐに防火帯に出るので左折。防火帯の急斜面を下り大鉢森山林道を横断し再び防火帯の急斜面を登る。このルートは文献※1記載の大鉢森山登山ルート1である。アップダウンを繰り返しながら防火帯を進んでいくと丁字路に突き当たる。ここで左折し防火帯のきついダウンアップを2度繰り返すと大鉢森山である。やはりここから見下ろす西面の風景は雄大だ。山頂周辺はオヤマボクチの枯落花、センボンヤリ(開花中)、そしてホオジロが鳴く。
 下山は一旦防火帯の丁字路まで引き返し丁字路を直進。すぐに防火帯は右に直角に進路を変える。途中、左手に赤ペンキ印の付いた樹木があるがここから踏み跡が乏しい尾根を下るルートは文献※1記載の大鉢森山登山ルート2である。防火帯を道なりに進んでいくと防火帯の終点に着いた。ここから前方の小高いピークに続く樹木に赤テープが付けられているが道はない。細道はこのピークの南面を巻くように続いている。この細道沿いの小木は最近刈払われたようで刈られた木々が道をふさぐように倒れている。なかなか前に進まないが途中から良好な道に変わる。しかしほっとしたのも束の間で道上に密生するアカマツの細木を擦り抜けるとスギ間伐地に入った。残材枝葉と泥ぬかるみに我慢しながら作業道を下ると大鉢森山林道に出た。ここでは林道を横断しスギ間伐地を下る。この間伐地は小沢の谷沿いに続いている。この小沢を下れば正法寺に至ると判断した。
 間伐地の小沢左岸を下っていくと左手から水量豊富な小沢が合流する。合流点手前でこの小沢を徒渉した。合流後の沢の左岸は歩けるスペースがあった。やがてスギ林を抜け林道に出た。ここで左手に続く林道は一般車両も通行できるような良好な道である。一方、直進方向に続く林道は小沢に沿った間伐作業で荒れたぬかるみ道である。どちらを通っても正法寺手前で合流するがここでは近道となる直進を選択した。300mほど進むと小沢を橋で渡りその後、道は一般的な登山道のような道になった。小沢の右岸に沿って道は続く。途中から道脇に塩ビパイプが並行する。麓の集落の水源になっているのだろう。道の出口を塞ぐようなススキを突破すると突然のどかな田園風景が広がった。前方の山の上に電波塔が立っているがこの電波塔は水沢市街地からでも良く見える。この付近は道というより田圃の畦道の様相である。ここまで来ると旅の終わりも近い。お菓子を食べながら休憩する。
 林道に合流し右折。沿道の土手にキクザキイチリンソウ。林道は正法寺の裏手を周ってから正面に出た。これで大鉢森山から正法寺まで地形図通りのルートで何とか通行できることがわかった。久しぶりに正法寺の境内を見学する。その後バスの時刻まで時間があるので黒石寺まで歩き通した。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行

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