岩手山

雫石町,松尾村,滝沢村,西根町
標高2038m
JR雫石駅から県交通バス網張温泉行き終点下車
JR盛岡駅から県北バス八幡平・松川温泉・西根方面行き小松川下車

【写真】松倉分岐から黒倉山

2004年10月23日
 616 JR水沢
 805 JR雫石 県交通バス乗り換え
 853 網張温泉
 928 リフト終点
 936 犬倉分岐
1014 松川分岐
1024 黒倉分岐
1034 切通
1100 お花畑
1140 不動平
1205 焼走分岐
1210 山頂
1234 平笠不動
1300 ツルハシ
1418 焼走展望場所
1427 登山口
1449 焼走第二キャンプ場
1500〜1517 東北自然歩道賢治碑「溶岩流」
1618 国道282小松川バス停 県北バス640円
1723〜1810 JR盛岡
1918 JR水沢

 県内最高峰かつ未踏峰の岩手山に行ってみようと思った。地震活動で7年ほど登山が禁止されていたが今年から全面解禁されたとのこと。ただしそのことを特別意識したわけではない。久しぶりに昭文社の山と高原地図(岩手山)を購入。各コースの所要時間・交通機関の時刻などを調べ検討した結果登りは網張コース,下山は焼走コースとした。
 JR水沢駅でいわてホリデーパスを購入。盛岡往復ならこちらの方が運賃が安い。下り始発電車に乗り盛岡で田沢湖線に乗り換える。待ち時間が20分位。駅そばを食べる時間は十分にある。次回からそうしようと思った。雫石行の電車は空いていた。雫石駅舎は橋上にあるのだが知らずに反対側のホームに下りてしまう。再度階段を登りなおし改札を抜ける。駅前広場を見渡すと右手にバス乗り場があり,すぐに網張温泉行がやってきた。乗客は小生を含め2名。雫石町内を抜ける。雫石高校付近で1名下車の後は終点まで小生の貸し切り状態である。
 車窓から景色を眺める。今日は晴れているが風が強い。岩手山の山頂は雲で覆われている。雫石スキー場,玄武温泉,民宿などを通り抜け,バスは岩手山の山裾にとりつき次第に高度を上げていく。岩手高原スキー場を過ぎるとここから国立公園という案内板があり気分が高まる。
 終点の網張温泉で下車。バス停から駐車場をまっすく横切るとリフト乗り場がある。明日で今年の展望リフトの営業最終日。ちらほらと観光客の姿もある。3基片道大人券を買いリフトに乗車する。乗車時に「風で止まることがあります。」と言われたがその通り風が強く何度も停止した。寒いのでスキー用の帽子と軍手を着用する。第一リフトを降りると広々としたスキー場の中に入り見晴らしがよい。南東方向の南昌山がよく見える。第二,第三リフトと乗り継ぐ。後方に秋田駒の山々が見える。
 第三リフトの終点からいよいよ登山道に入る。道はリフトから左右にあるが右に進む。木材でできた階段をつづら折りに上っていくと岩手山−三ツ石山の縦走路と合流。岩手山側に進むとまもなく犬倉分岐である。目の前に犬倉山が立ちはだかる。この地点で硫黄の臭いがした。火山活動中であることを思い出した。この先,山頂まで硫黄臭が続くのはつらいと思ったが道を進むうちに臭いはしなくなった。
 なるべく時間短縮するため犬倉分岐から犬倉山頂はパスし近道を通る。しばらく樹林帯の中を通るが30分ほどで展望が開け岩手山頂がよく見えるようになる。ただし山頂は依然として雲の中。その下は白色で冠雪していることがわかる。松川分岐のピークに到達。この場所は火山活動が活発なため登山道の両側にロープが張られている。高温地帯のため危険個所に入らないようにとの事。赤土の上に岩石が点在する特異な景観で岩の間から温泉地に見られるような白い煙が噴き出している。すぐ東に黒倉山が近い。
 松川分岐からなだらかな斜面を下ると黒倉分岐。正面の黒倉山は地盤の変動が大きいので登山禁止。南側の迂回コースを通る。登り勾配がきつくなり始めたところが切通。ここで道は左右に分かれる。左はお花畑コース右は鬼ヶ城コース。お花畑コースは硫黄ガスのため心臓や呼吸器が弱い人は立ち入らないようにとある。迷ったが鬼ヶ城は積雪していて滑落の危険があると思いお花畑コースを選んだ。
 大地獄谷に下る坂道となる。あまり人が踏み入れてないようで心細い。最鞍部は堰堤形状の上を通る道であった。谷筋から強風が吹く。沢の手前で直角に右折し堰堤を下りそのまま沢の左岸に沿って登山道は続く。沢の水は透き通った青色で季節が夏だったら沢に入って涼みたい所であろう。しかし少し上流にいくと強烈な硫黄臭がしてくる。川底から硫黄が噴出し薄緑色に染まっている。うっかりこの沢の水を飲んだら大変なことになりそうである。
 沢の最上流部で水量もわずかとなる。突然視界が開け湿原の中の木道を進む。お花畑と道標がある。ここから御苗代湖への道が分岐する。その分岐点から右折し針葉樹林帯の中を進む。右手頭上に鬼ヶ城の険しい岩峰が連なる。きつい登り坂となりここが一番苦しいところである。次第に鬼ヶ城との高度差が縮まり森林限界を越える。後方を振り返ると本日たどってきた松倉分岐・黒倉山・お花畑が見える。
 まもなく不動平。雪混じりの強風が吹き周囲の低木には氷が張り付いている。この先快適な登山でなくなり危険も伴うので迷う。この強風の中,山頂から下山者が見えるので避難小屋前から山頂を目指す。瓦礫の急坂を登る。気を抜くと風で吹き飛ばされそうである。背中を丸めほとんど這いつくばるような格好である。時折かなり強い風が吹き歩くこともままならずその場でじっとうずくまるしかない。火口丘の外輪を時計回りに進む。石地蔵がほぼ等間隔に並んでいるが全て横倒しになっている。風で倒れたのか冬期間に備え人為的に倒したのかは不明。
 何とか焼け走り分岐点を過ぎもう少しの辛抱と思う。吹雪の視界の中,登山客の姿が4〜5人見え近づいていくとその場所が山頂であった。記念写真を撮ってもらう。あとでこの写真を見ると山頂の石地蔵に氷が張り付いていて厳しい天候だったことがわかる。小生の着用していたヤッケには体から発する水蒸気が霜になっていた。
 展望は無く寒さの中じっとしていることもできないので登山客の下山に合わせて小生も下山する。幸いこれらの登山客は焼け走りコースに下山したので小生もその後を付いていくことにした。小生にとって焼走りは初めてのコース。雪で道が不明瞭,強い西風をまともに受ける。冬山装備無しで単独行では迷うと命取りになる。一瞬雲の切れ間から日が射し込み平笠不動避難小屋,その背後に連なる屏風尾根がはっきり見えた。カメラを取り出し写真を撮ろうとしたが既に遅く視界はガスで覆われてしまった。
 先行の二人組が平笠不動避難小屋に入ろうとし何とか小屋の扉を開けることができたようだ。小生はその前を通過。そろそろ風雪の世界を抜け出さないと本日の装備ではまずい。小屋から先は樹林帯の中で風の影響がないのが助かる。次第に雪も少なくなって厳寒の世界から晩秋に戻る。ツルハシで休憩。嘘のように晴れ渡り大更・東北自動車道・八幡平の眺めがよい。
 ツルハシから焼け走りコースに下山する。しばらくは山腹を斜めにトラバース。溶岩地帯なので植生はほとんどなく展望がよい。この辺は夏はコマクサが咲くとの事。眼下を見ると真っ黒な溶岩が流れた跡がよく分かる。その形状がユニークでひょうたんを逆さにしたようである。噴出口跡付近で登山記念に適当な溶岩の軽石があるが国立公園内の石は持ち帰り禁止のため思いとどまる。その先は紅葉真っ盛りの樹林の中を下る。勾配が緩くなると登山道右手は溶岩流である。どこかで入ってみようかと思ったが指定場所以外は禁止されている。焼走展望場所と書かれた道標があったのでそこから入り見学できた。見学後登山道に戻る。少し進むと左手に道が分岐している。左に進む道が広くて立派に見えるが小生はそのまま溶岩に沿って直進。まもなく登山口に出た。入山者受付のテーブルあるが誰もいない。
 車道を横断し宿泊施設や売店などがある観光施設に向かう。途中に付近の案内地図がありこの先の沢沿いに遊歩道が続いているようである。車道歩きはつらいのでこの遊歩道を通ってみることにした。このコースは県が砂防ダム,手摺,橋などを間伐材を利用して作った施設である。10分ほどで遊歩道は終了し変哲もない水田地帯になる。丁字路で車道を右折し焼け走り方面に戻ることにした。途中から未舗装になるが第二キャンプ場の前を通る。今は誰もいない。偶然キャンプ場脇を通る遊歩道を発見したので入ってみる。しばらく進むと右手に焼け走り→大更に向かう車道が併走する。があっけなく遊歩道は終了。車道に出る。車道の反対側に賢治碑があったので寄ってみた。碑に刻まれているのは「溶岩流」。ここから溶岩流の中を通る遊歩道がある。何百年も前の噴火後,未だに植物が復活しないのは珍しいとのこと。尚,賢治碑は東北自然歩道焼け走りコースの中間地点に位置する。。
 車道歩きはなるべく避けたいのでそのまま東に向かう遊歩道らしき道をどんどん進むが自衛隊の駐屯地の入口で行き止まり。賢治碑まで引き返しいこいの村方面に車道を歩く。迷うと日が暮れるので東北自然歩道は通らないことにした。車道からの景色も良く姫神山が美しい。西根インター付近から国道282に出る。ちょうど小松川バス停があったのでバスの時刻を調べるつもりで国道を横断したらちょうど盛岡行きバスがやってきた。バスは盛岡農業高校前から乗客が増え始める。盛岡駅でJRに乗り換え帰宅した。


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