十二神自然観察教育林

岩手県宮古市
標高631m
JR山田線宮古駅から岩手県北バス重茂線に乗車し自然観察林バス停下車

【写真】重茂の大ケヤキ

2009年10月18日

 616 JR水沢
 851〜947 JR釜石
1100 JR津軽石
1115〜1120 川帳場バス停
1155 里バス停
1217 自然観察林バス停
1239 明神沢
1251 小滝沢
1256 アツケベ沢
1309 高滝沢
1323 源太郎沢
1336 石ゾリノ沢
1339 林道分岐点・左折
1346〜1408 自然観察林(大ケヤキ〜第一園地)
1440 高滝沢
1500 明神沢
1512〜1535 自然観察林バス停
1552〜1607 里バス停
1655〜1710 JR宮古
1920〜2029 JR盛岡
2136 JR水沢

 昨年3月鯨山に登ったとき東北方向に十二神山が見えた。上半分は雪で覆われ山頂には高いアンテナが幾つか立っている。標高は鯨山よりはるかに高い。登山の対象となっていいはずの山でいつかは訪れてみたいと思っていた。後に文献※1などに記載されているように十二神山の山頂には自衛隊の施設があるため許可無く立ち入りできないことを知る。なるほど地形図にも自衛隊の記号が記されている。一方、十二神山の東麓は十二神自然観察教育林に指定され貴重な自然林が残されているとのこと。これに興味を抱いた。頂上を極めるのではなく自然観察が主体の山歩きになるので時間がかかるだろう。一度で全貌を把握できそうにないので季節をずらして何度か訪れるのが良さそうだ。今回は初めてなので下調べとして林道入口から大ケヤキまで歩いてみる予定を立てた。
 釜石でJR山田線に乗り換える。途中の大槌駅で列車交換のためしばらく停車。このとき駅東側200mほど先の踏切に乗用車が突っ込み線路に脱輪、立ち往生した。列車の乗務員や近隣の住民が集まって人力で車を移動し、列車は15分遅れで出発した。津軽石駅で下車し川帳場バス停まで歩き重茂行きのバスに乗車する。列車内ではほとんど寝て過ごしてきた。体調があまり良くないがいつもの通り寝てれば回復するだろう。そう思っていたが腹部に重苦しさがあり駅からバス停まで歩くうちに次第に悪化、バス車内では腹痛をこらえながら何とかバス終点の里まで到達した。何か消化の悪いものを食べたのだろう。胃腸の機能が低下していて水や食べ物がのどに入らない。それでも休み休み歩いているうちに次第に回復してきた。
 県道41号を南下する。漁協の工場前を少し過ぎた所に自然観察林バス停がある。この時間帯のバスは自然観察林バス停の二つ手前の里バス停までしか運行されていないので徒歩でここまで足を延ばすことになった。バス停の近くから未舗装の林道が分岐する。巨木を育む森へ5.2kmなどの道標がある。
 すぐに重茂川に架かる橋を渡る。近くの作業小屋から人が出てきたので挨拶する。沿道はスギが多い。樹木はイタヤカエデ、ヤマモミジ、サワグルミ、アカマツ、ヒノキ、ヒノキアスナロ、ケヤキ、コナラ、トチノキ、ハクウンボク、ミツバウツギ、タカノツメ、ノリウツギ、クロモジ、サンショウ、ヤマブキ、ガマズミ、ツクバネ。花はイヌタデ、ナギナタコウジュ、コウゾリナ、ノコンギクなど。ミツデカエデが紅葉しているがその他はまだである。
 各小沢の合流点にそれらの名称を記したプレートが立つ。最初に見かけたプレートが明神沢。この付近から林道と重茂川が接近する。林道すぐ脇が川原で流れは緩やかだ。川幅2,3m、水深30cm位。峡谷と言った険しさは感じられない。林道入口近くに砂防ダムを1ヶ所見かけたがそこから上流は護岸工事などの改変が行われた形跡もなく自然のままの河道だ。千古の森の保水能力によって水量が安定しているのだろうか。中流域は川幅を塞ぐくらいの巨岩が点在するがそこを過ぎるとまた元の緩やかな流れに戻った。途中、林道右手の崖から高滝沢が落下する。水量は多くなかったので滝の直下まで寄り道した。源太郎沢付近から沿道にブナが現れる。
 千古の森まであと3km,2km,1kmと道標がある。丁字路で道標に従い左折。文献※1記載の地図ではこの丁字路付近が自然観察教育林の入口になっているように見えるが実際はもっと先にある。緩い上り坂を進む。やや疲れを感じてきた。前方にケヤキの高木が数本見える。いよいよ巨木の森に近づいてきたようだ。
 10台ほどの駐車スペースに森林管理署のネーム入りの車が2台、県北バスの小型バスが1台駐車されている。駐車場を過ぎ左にカープしたところに重茂の大ケヤキが立つ。周囲は柵で囲まれている。

森の巨人たち百選
No. 31: 重茂の大ケヤキ
樹齢 : 300年以上
樹高 : 28m
幹周り: 3.77m

 大ケヤキと同じ柵内にミズメもある。この山域のミズメは十二神ミズメと呼ばれ貴重な自然林を構成している樹木の一つとのこと。(山全体に甘い香りがただよっているがミズメが原因なのだろうか。)大ケヤキの近くに案内板、簡易トイレ、利用者簿がある。記入簿の机上に距離・所要時間・標高を記入した遊歩道概略図がある。次回は最高標高点まで行ってみたい。大ケヤキから遊歩道が3方向に分かれる。道標には第一園地150m、第二園地980mとある。第2園地は時間的に無理なので第一園地を本日の最終目的地とした。落ち葉の道を踏みながら遊歩道を上る。ブナ、ミズメの林の中に炊事施設、ベンチ、東屋がある。
 帰る前に利用者簿に自分の名前を記帳した時、この日は森林管理署主催の自然観察会が行われていることを知った。駐車場にあったバスはそのために運行されたのだろう。このイベントを事前に知っていたら参加したのにと思う。全体的にカバノキ科の樹木が多く判別が難しかったので次回は予習してから臨みたい。
 帰路も同じ道を引き返す。駐車場でバスの乗務員と挨拶を交わし、それからは帰りのバスの時刻に余裕が無いので歩くことに専念する。コース慣れしている分、予想以上に復路は早かった。余裕ができたので自然観察林バス停近くで休憩する。しばらくすると森林管理署の車とバスが通過した。里バス停まで歩き本日の行程を終えた。

参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行
※2「巨木の森 十二神」東北森林管理局三陸北部森林管理所のパンフレット


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