笠通山(かさのかようさん)
岩手県遠野市宮守町
標高869.2m
遠野市営バス柏木長根バス停下車またはJR釜石線鱒沢駅から徒歩
【写真】山頂
2011年11月12日
 616 JR水沢
 725 JR鱒沢
 817 柏木長根・林道笠通線入口
 920 林道笠通線から山に取り付く
 955 石碑(剣)
1003 石碑(剣)
1006〜1045 山頂
1056 登山口
1128 林道笠通線に出る
1228 柏木長根・林道笠通線入口
1310〜1324 JR鱒沢
1511 JR水沢

 笠通山は文献※1によると登山道の無い山となっている。国土地理院の地形図では山頂まで小径が続いているが廃道になっているとのこと。一方インターネット上の情報では最近地元の方によって登山道が開設されたようだ。ただし登山道にアクセスする林道が遠回りでわかりにくいため登頂された方々は林道の適当な所から藪に入り山頂を目指している。小生としても登山道探しで時間を浪費するよりも山の斜面を直登する心構えでいた。
 釜石線鱒沢駅で下車。無人駅のホームの東端を降りると国道283号に出る。駅付近は幾つかの店があるので帰りに寄って菓子などを調達できそうだ。薄曇りの天気で濃いガスが立ちこめている。国道を東に進む。路側には遠野〜東和自転車道の標識がある。鱒沢バス停の前を過ぎ少し進むと左に上り勾配の道が分岐する。この道に入り上っていく。小学校の脇を過ぎると右手の小高い土地が公園になっているようだ(濃霧で良く見えない)。間もなく民家が途切れ谷沿いの道を進む。わずかに開けた土地に田畑が続く。イチョウの葉はすっかり落ち畑は大量の落葉で黄色に染まる。峠を越えると柏木長根集落に着く。市営バスの柏木長根バス停を過ぎしばらく進むと林道笠通線入口の標識があった。ここで右折する。
 未舗装の林道は最初牧草地の中を通る。日射しが濃霧を突き抜けまぶしい。スイッチバック式に2度折り返し高度を上げる。樹幹越しに展望が開けるが下界は雲海が拡がっていて白一色だ。これで今日の気象状況が判明した。標高約500mを境に下は濃霧、上は快晴。好天で間違いない。
 標高637mの緩やかなピークの北面を過ぎる。笠通山の登り口がないか注意して進む。地形図上では尾根の突端部から山頂に続く小径が記されているが特に手がかりは無く廃道のようだ。その突端部を過ぎると林道は左にカーブし北に向かう。下り坂となったのでやはり尾根から山に入った方が良かったかと思う。ふと進行方向を見上げると笠通山の山頂が見えた。これで目的地と現在位置が明確になった。林道が北進から東進にカーブする地点から山に入る。文献※1とほぼ同じコースだ。ここは凹地で薄暗いヒノキ林である。水量の乏しい沢が流れている。間伐や枝打ちの処理木を避けながら登っていく。凹地の外周の北と東側は尾根になっていてさらに外側は谷である。その外周尾根を伝って進むと荒れた作業道に出た。尾根と谷を迂回するうちに小生の想定した直登コースより西にぶれたのでここでは右折(東に進む)。登りやすい凹地から山に取り付く。薄暗いヒノキ林で斜面は急だ。この林も間伐や枝打ちの処理木が多い。我慢して直登すると林から抜け林道(以下林道Bと呼ぶ)に出た。
 藪が薄い場所を探しながら林道Bを西に進むとヒノキ林が途切れ膝丈位のササ原が拡がっていた。その緩斜面を登る。ここは歩きやすい。しばらくすると別の林道(以下林道Cと呼ぶ)に出た。この林道Cは山腹を巻いて東西に伸びている。しかし山頂は真北にあるので林道Cを横断し直登する。幸い藪は薄い。次第に勾配がきつくなる。さらにモミジイチゴに絡まれ難渋する。上の方に来るとヤマツツジが優勢になり大岩が点在する。そろそろ山頂域かなと思ったら右手から登ってくる登山道と合流した。当初の予定通り地図とコンパスで目標点に到達したので自画自賛といったところである。
 登山道は道幅が広く思った以上に整備されている。すぐに3つばかりの石碑と宝剣のある展望の良い場所に出た。ここは恐らく神社の跡地だろう。文献※1では朽ちかけた神社があったと記載されているが今は更地となっていてその痕跡はほとんどない。眼下は真っ白な雲海が拡がり遠野盆地から猿ヶ石川流域は完全に雲の下に没している。神社跡地付近にヤマハハコ。この先の山頂域ではアキグミの実が目立つ。これは甘くておいしかった。稜線上のアップダウンの少ない快適な道を進む。途中にも石碑と宝剣がある。山頂間近で道は左右に分かれるが右を選択すると山頂に到達した。三笠山と刻まれた石碑、三角点、山名を記したプレートがあった(プレートを取り付けている木にクマの鋭いひっかき傷がある)。山頂は灌木を切り開いた広場になっている。樹木の枝越しになるが展望は良い。雲海は猿ヶ石川流域の低地以外に国道396号の千葉家曲り屋〜上宮守、寺沢川流域の低地(上宮守〜宮守町中心部の低地)を覆っている。山頂からさらに東に笹藪を刈り開いた登山道が延びている。
 天気は快晴。季節は晩秋なので寒さに対応した装備で登ってきたが今日は暑い。昼食は湯を沸かしインスタントのスープを飲んだ。周囲の樹木はアキグミ、カラマツ、ノリウツギ、アカマツ、ヤマツツジ。
 帰路は往路とほぼ同じルートを通ったが登山道を経由した。登山道は神社跡を過ぎるとつづら折りに下りその後山腹を東に進む。右手の谷側に転落防止用のパイプ(工事現場の足場としてよく見かけるパイプ)が設置されている。登山口は林道の終点にありそこに登山道の標識もあった。林道を進むにつれこの林道は往路で通った林道C、林道Bと同一の林道だったことが分かった。途中から林道Bを離れ往路で通ったヒノキ林を直下降、林道笠通線に出た。衣服に付いたキンミズヒキの種子を取り除き、鱒沢駅まで往路を引き返す。柏木長根集落付近はすっかり霧が晴れ遠くの山々が良く見えた。特に砥森山が大きく見え印象的だった。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行

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