鶏頭山

岩手県花巻市
標高1445.1m
JR花巻駅から県交通バス河原の坊行き岳下車

【写真】鶏頭山山頂から毛無森方面

2007年7月8日
 806 JR水沢
 833 JR花巻
 900 県交通バス花巻駅前発
1015〜1020 岳
1028 登山口
1047 水場入口
1055 畳石
1136 展望地(217道標)
1158 避難小屋
1211 アオモリトドマツ(206道標)
1231 七折滝分岐
1236 ニセ鶏頭
1310〜1340 鶏頭山
1358 ニセ鶏頭
1402 七折滝分岐
1500 七折ノ滝
1529 岳・嫁ヶ渕分岐
1624 登山口
1635〜1718 岳
1832〜1854 JR花巻
1921 JR水沢

 先月早池峰山に登った時ハヤチネウスユキソウの開花状況はやや早めであった。やはり完全に開花した花も見たい。再訪の時期を考えていたがNHKテレビのニュースで見頃を迎えたとの朗報がありその週末に出かけることにした。今回は早池峰山本山ではなく本山の西に連なる鶏頭山を目指すことにした。文献※1によれば鶏頭山でも早池峰山と同じ植物が観察できる上、登山客は少なく静かな山登りができるようである。小生としては早池峰山よりも標高が低いので楽に登れそう、早く帰れそう、じっくり写真が撮れる、などいいことずくめのように思われた。
 花巻駅前で早池峰登山バスを待つ間準備体操をする。最近あまり運動をしていないのでどうも体が固い。花巻駅−新花巻駅間の乗客は小生1名のみ。新花巻で大勢乗ってくると思ったが女性1名のみであった。先月乗車したときは満員だったので意外であった。岳で下車。一旦岳駐車場(シャトルバス利用者の乗換用駐車場で岳バス停から車道を5分位引き返す)のトイレに寄ってから出発する。
 岳バス停の北に岳公園広場駐車場があるが駐車場には入らずに北進し橋を渡る。橋を渡ったところに鶏頭山登山口の標識がある。標識に従い直進し坂を上ると数件の民家が続く。橋から10分弱で登山口に着いた。登山カードに記入後登山道に入る。しばらくはミズナラが主体の樹林帯である。低木ではミツバウツギの実と鈴なりの実を付けたモミジイチゴ、山菜ではウワバミソウが目立つ。畳石という大岩を過ぎるとアオダモ、ブナ、ウリハダカエデ、ダケカンバも目立ち始めミズナラと勢力を競っているような感じだ。またミズキ、トチノキが点在する。ミヤマホツツジはつぼみ状態だ。早池峰山の河原の坊・小田越コースと比べると標高が低いせいか樹木が多様である。
 登山道には短い区間で直径50cmくらいの丸い鉄板に数字が記されている道標が立っているので途中で迷う心配は無さそうである。山頂に進むにつれこの数字が1つずつカウントダウンされる。217道標は小ピークの岩場で初めて展望が開けるところである。恐らく地形図上で903.3mの三角点の場所であろう。ここで給水休憩。岩の隙間はびっしりとトウウチソウの葉で埋められていた。
 小ピークから再び樹林帯に入る。ブナが若干優勢になる。ツルアジサイが本日最初の目立った花でそのすぐ先が避難小屋だった。次第に高木が少なくなりノリウツギの小木に変わる。登山口近くの民家前ではノリウツギの花が咲いていたがこの場所ではまだである。しかし麓から標高1000m付近まで環境に適応し生育しているのには驚いた。
 206道標はアオモリトドマツの幹に取り付けられている。だいたい小田越と同じ標高なのでここでアオモリトドマツが現れるのは理解できる。アカミノイヌツゲ、マルバシモツケも現れ高山の雰囲気となったと思ったら突然樹林帯を抜けた。ニセ鶏頭の南側斜面のお花畑である。ミヤマヤナギの綿毛のような実、ガクウラジロヨウラク、チシマフウロ、ヨツバシオガマ、カラマツソウ、シロバナニガナ。目当てのハヤチネウスユキソウの花は図鑑と比べて若干早めであるがこれもよしとして写真を撮る。この付近は展望もよいので10数人の登山客が休憩したり自然観察している。しかしいずれも下山者でこれから登頂しようとしているのは小生のみだった。
 ニセ鶏頭の前後は岩場が続き鉄はしごを上り下りしながら通過する。鶏頭山までの稜線ではオガラバナ、コケモモ、コメツツジ、ハナヒリノキ、コバイケイソウ、ゴゼンタチバナが観察できた。山頂にはナナカマドが多い。山頂からは西面の毛無森の展望が良い。山頂はあまり広くなく先客は女性2名。少し離れた岩の上に腰掛け昼食休憩としたが羽虫が大発生していてのんびりとしていられない。時間的には当初考えていた以上かかっていて午後3時頃の帰りのバスに間に合うのは不可能となった(最終は5時のバスの便がある)。また帰路は来た道を引き返すのか途中から七折ノ滝コースに入るのか、本日の所要時間の実績から考え直すことにした。
 下山を開始する。ニセ鶏頭を過ぎ最後の鉄はしごを下った所が七折ノ滝コースへの分岐点である。七折ノ滝コースに入る。最初はアオモリトドマツ、下るにつれてブナが優勢となる。またこのコースは道標が少ないので赤布などを頼りとする。途中大岩の中をトンネルで通過するところがありその先はほぼ一直線の急斜面の下りとなる。胸ポケットに入れている文献※2によれば分岐点から七折ノ滝1時間とあるがその通りの時刻で到達した。滝の上部の岩が流路の障害物となり流れが折れ曲がっているのが名称の由来でないかと思われる。流量が豊富で豪快な滝である。1グループが滝の前で記念写真の撮り合いをしていた。鶏頭山から先に下山した方々だと思ったが後で話を聞いたら麓から滝までの往復だそうだ。
 岳・嫁ヶ渕分岐の道標から岳方面に入る。小沢を徒渉した後、一山越える上りとなる。鈴なりに実が付いたモミジイチゴ地帯から植林地を抜け車道に出た。この車道から数分で今朝訪れた登山口・登山カードの場所に着く。バスの時刻まで岳公園広場駐車場北西側にある健康増進広場(ベンチなどがある)で休憩する。バス停は民宿前にあるがツアーの団体が観光バスで来て民宿に入るのを見ながらバスを待った。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行
※2「早池峰マナーガイド」岩手県自然保護課 2006年3月作成(河原の坊の休憩所で入手)


inserted by FC2 system