早池峰剣ヶ峰(はやちねけんがみね)
岩手県宮古市川井
標高1827.4m
岩手県交通の早池峰登山バス(季節運行)河原の坊または小田越下車
【写真】剣ヶ峰山頂
2011年6月25日
 815 JR水沢
 842〜950 JR花巻(バス乗り換え)
1124 小田越
1214 五合目(お金蔵)
1230 鉄梯子
1236 剣ヶ峰分岐
1315〜1345 早池峰剣ヶ峰山頂
1420 剣ヶ峰分岐
1430 早池峰山山頂
1447 千丈ヶ岩
1455 打石
1507 御座走り
1618 コメガモリ沢徒渉
1644〜1718 河原の坊(バス乗車)
1845〜1859 JR花巻(JR乗り換え)
1926 JR水沢

 年初から低山歩きを継続してきたが暑さと藪の濃い時期となったのでこの辺りで中断し高山に登ろうと思う。目的地は早池峰山の東方、峰続きにある早池峰剣ヶ峰である。この山は文献※1に記載されている山だが小生の未踏の峰の一つである。文献※2などの地図をながめた感じでは早池峰山から剣ヶ峰に向かう道は一般向けではなさそうだ。密度の濃いアオモリトドマツ、コメツガ、鋭い岩峰が進行を阻むのではないかと予想した。一方インターネット上では早池峰山〜剣ヶ峰〜徳兵衛山〜高桧山〜横沢鉱泉のルートの登山報告がいくつか見られる。これは最近開通した林道により登山口までのアプローチが容易になったためのようだ。しかし一般ルートではないので不安は残る。
 JR花巻駅前から小田越行きのバスに乗車する。数年前乗車したときは沿道の全ての停留所で乗降できたのだが、今回は主立ったバス停以外は通過した。新花巻駅で新幹線からの乗り換え客が乗車し車内は賑やかになった。車窓の風景に逐一感激している様子を見ると小生の住む岩手はいいところなんだなと再認識させられる。終点の小田越で下車。5名位の担当者が待ちかまえていて文献※2の配布、携帯トイレの販売、車道脇にある仮設トイレの案内がされた。既に昼が近い。急いで登山カードに記入し出発した。
 アオモリトドマツの木道を過ぎ昨日の雨でじめじめした斜面を登る。沿道にマイヅルソウ、カニコウモリが多い。スミレ類もぽつりぽつりと咲く。頭上が開けてくると岩場になりやがて小田越800mと記された道標に着く。登頂中に多くの下りの登山客と擦れ違うが盛況とは言い難い。全国区の早池峰山でも震災の影響が大きいと感じる。チシマアマナ、ナンブトラノオ、ヒメコザクラの写真を撮りながら進んだ。五合目と鉄梯子付近が小生にとって難所だったが何とか通過。剣ヶ峰への分岐点に到達した。ここで右折し東に進む。ミツバオウレンが咲く平坦な草地を過ぎると岩峰の脇や間を抜ける不明瞭な道となる。所々にロープやペンキマークがあるのでルートを確認しながら進む。前方に剣ヶ峰を望む小ピークに着いた。ここで剣ヶ峰方面から登ってくるグループを待った。聞くところによるとこの先は難所もなく不通に進めそうである。剣ヶ峰の標柱もあるとのことで頂上付近で右往左往することもなさそうである。これで一気に不安度のレベルが下がった。
 展望の利かないコメツガやハクサンシャクナゲの灌木帯を下る。その先は展望の良い稜線を進む。稜線の先端部が剣ヶ峰の頂点である。剣ヶ峰頂上は標柱を中心として灌木を伐開した場所にあった。5人位が座れるスペースがある。周りにイソツツジが多いがまだつぼみである。展望は360度。広域の地図を持参してないので山座同定はできないが西は早池峰山頂、東は江繋方面の集落と沿岸の山田/大槌境界の山並み、南は薬師岳とその背景に遠野盆地が見える。予想より早着したので久しぶりに山頂でゆっくりと過ごすことができた。
 帰路は時間に余裕があったので早池峰山頂から河原の坊コースを通ることにした。早池峰山頂には見た限りでは登山客は3名しかいない。急勾配の露岩帯を下る。3名のグループと擦れ違った後は登山口まで誰にも会わず静かな山歩きとなった。雪渓が残る風景を眺めながらコメガモリ沢に下る。徒渉は4回。以前来たときより水量が多かったが飛び石で渡ることができた。タチカメバソウ、エゾイワハタザオ、ノビネチドリの咲く道を進む。登山口には民家の玄関先によく置いてある泥落としブラシが敷いてあり希少種の保護のためここで靴の泥を落として欲しいという意味だろう。
 河原の坊に登山客は小生のみ。他に早池峰総合休憩所の係員1名が帰宅の準備をしている。ベンチに座ってバスを待った。

●この日、河原の坊の早池峰総合休憩所前に掲示されていた開花情報
ヒロハヘビノボラズ、ハヤチネウスユキソウ、ミヤマヤマブキショウマ、ショウジョウバカマ、ヒメイチゲ、ヒメコザクラ、ミヤマキンバイ、ツバメオモト、オサバグサ、ミヤマスミレ、タチカメバソウ、エゾイワハタザオ、ナンブイヌナズナ、チシナアマナ、チングルマ、シロバナエンレイソウ、ムラサキヤシオ、ヤマガラシ、コミヤマカタバミ、イワウメ、ウスバスミレ、ミツバオウレン、ノビネチドリ、キバナコマノツメ、ミヤマアズマギク、ミヤマシオガマ、マイヅルソウ、ハクサンチドリ、ミヤマオダマキ、ズダヤクシュ、ベニバナイチヤクソウ

●この日、小田越付近で見た植物
マイヅルソウ、カニコウモリ、ミツバオウレン、ミヤマカラマツ、ハリブキ、ミネザクラ、コヨウラクツツジ、ムラサキヤシオ、スミレ類

●この日、剣ヶ峰付近で見た植物
ショウジョウバカマ、コバイケイソウ、ミツバオウレン、ヒメイチゲ、イワカガミ、コミヤマカタバミ、アオモリトドマツ、コメツガ、イソツツジ、ナナカマド、ダケカンバ、ムラサキヤシオ、ハンサンシャクナゲ、コヨウラクツツジ、アカミノイヌツゲ

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行
※2「早池峰マナーガイド」岩手県自然保護課 H23.3作成版(小田越登山口で手渡された)

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