駒頭山

岩手県花巻市
標高940.0m
JR東北線花巻駅から岩手県交通バス新鉛温泉行きに乗車し鉛温泉または終点新鉛温泉下車

【写真】駒頭山山頂

2008年7月26日
 640 JR水沢(地震で徐行運転のため25分遅れ)
 730〜805 JR花巻(地震で徐行運転のため遅れ)
 836 鉛温泉バス停
 843 登山口
 914 分岐(作業道)
 956 分岐(白沢林道)
1015 分岐(ロボット雨量計)
1115 分岐(寒沢川林道)
1118 駒頭山
1152 分岐(松倉山)
1204 963m峰
1215〜1230 分岐(松倉山)
1310 出羽沢登山口
1400 出羽沢橋
1431 光林寺公園
1455 県道12号
1511 淡島神社前
1600 豊沢ダム
1622〜1700 新鉛温泉バス停
1733〜1748 JR花巻
1840 JR水沢(地震で徐行運転のため遅れ)

 お盆前に愛染山(住田町)に行くつもりで出発した。愛染山は、過去歩いたことがある五葉山檜山コース・大松コースの近くにあり見たことがある山なので初めて登る山だが難易度が予想でき気分的に楽である。
 始発電車に乗車するつもりで水沢駅に行くと先日の三陸北部地震の影響で一ノ関〜花巻間は徐行運転のため列車の到着が遅れるとのこと。予定では花巻から釜石線に乗り継ぐつもりだったのだが間に合いそうにない。とりあえず花巻までの乗車券を買いホームで電車を待った。
 花巻には約1時間遅れで到着。予定を変更し花巻市内にある駒頭山に向かうことにした。ガイドブック※1を持参しているので何とかなりそうだ。駅前でバスに乗り換え鉛温泉で下車する。登山口を探しながら県道12号を北に向かって進む。車道の西側の路肩が広くなっている場所に小型の建設機械が1台置いてある。立て札があり崩落箇所があるため入山禁止と書いてある。近くの木の枝に板がぶら下がっているが恐らく登山口を示す道標だろう。ペンキは完全にはがれていて文字は読みとれない。ここが登山口で路肩は登山者用の駐車場と思われる。今日は不運が重なるがここまで来たついでに行けるところまで行ってみようと思う。
 駐車場北側の藪の薄いところから上ってみると細道が続いている。草が生い茂っていて快適とは言えないが歩行には支障がない。コオニユリ、ヤマユリ、クルマユリ、ヤマブキショウマ、エゾアジサイ、オトコエシ、ヨツバヒヨドリ、オカトラノオ、オトギリソウ、ノリウツギと季節の花が咲く。しばらく進むとブナ林に入り下草が少なく歩きやすくなる。上り詰めるとアルミ製プレートの道標があり作業道と合流する。道標に従い右折しブナ林を抜ける。
 この作業道はカーブミラーが点在し敷石も一部残っているが左右の灌木と下草が繁茂し荒廃していて一般車は通行できそうにない。暑さと湿気の中、藪をかき分けながら進む。特に展望が開けるところもなく単調な道なのでどこかで道を違えたような気がして不安になる。地図上に掲載されていない作業林道は一つ間違えると全く違う方向に進んでいることがあるので今回ももしかしたらと思ってしまう。ただし小生の位置は左右の尾根よりも標高が高いところにあるのが救いだ。作業道は尾根に出たり巻いたりしながら続く。
 白沢林道分岐点と思われる地点に道標があった。ここで左折する。相変わらず藪をかき分けながら進む。この状態がどこまで続くのか、容易に登れる山ではなさそうだ。しかし間もなくブナ林に突入し深山の雰囲気に一変した。道は明瞭で歩きやすくなる。ロボット雨量計観測所近くに道標がある(駒頭山まで3.1km、鉛温泉まで4.0km地点)。ここで左折すると鉛温泉スキー場、右折すると駒頭山と表示がある。緩やかな尾根沿いの一層快適な道となる。道沿いにはツルアリドオシが咲きオクモミジハグマが花穂を伸ばしている。標高が高くなるにつれブナの樹高が低くなり独特の雰囲気が広がる。下草がササから草付きに変わる。
 寒沢川林道分岐点の道標には出羽沢林道3.0km、寒沢川林道6.4km、鉛温泉林道6.4km、標高963m峰まで0.9kmとある。ここで右折すると駒頭山経由出羽沢林道、左折すると寒沢川林道であるが寒沢川林道方向に道は見当たらない。この分岐から少し登ると駒頭山山頂に到達した。山頂は広場になっているが周囲は灌木で囲まれ展望はない。山頂の道標には出羽沢林道2.0km、寒沢川林道2.8km、鉛温泉林道6.6kmとあり距離表示が寒沢川林道の分岐点と異なる。山頂は日射しをまともに受け暑いので休憩せずに通過。次の目標地963m峰を目指す。稜線伝いの道は反時計回りにカーブし緩やかなピークを二つ越える。この付近はブナの高木が無く日当たりが良いせいか灌木が密生する。アカミノイヌツゲ、ホツツジ、リョウブ、ハクサンシャクナゲ、マンサク、サラサドウダン、タムシバ、キブシ、ヤマウルシ、ノリウツギ、タニウツギなど。時期が良ければこの場所が花のトンネルになりそうだ。
 松倉山方面の分岐点に着く。963m峰は松倉山方面なのでここで左折する。963m峰の山頂は広場になっている。ただし周囲の笹藪で視界が遮られ十分な展望は開けない。直下の尾根の方が展望が良く南面に駒頭山、北東方向に駒頭山から鉛温泉まで続く尾根とその奥に東根山が見える。松倉山方面の分岐点まで戻り木陰で昼食休憩した。座った場所に生えていたマイヅルソウに実がついている。
 出羽沢林道に下る。道は明瞭で登山口まで迷うことなく到達した。登山口には数台分の駐車スペースがある。林道は左右及び轍にも雑草が茂っているが鉛温泉林道より遙かに歩きやすい。途中から刈払いされた道になり普通の林道になった。原付で上ってきた方と擦れ違う。出羽沢橋を渡ると砂利が敷かれていてさらに道路状態は良くなった。光林寺公園を過ぎると右手に豊沢ダム湖が見えてくる。沿道にオオウバユリが咲く。
 県道12号を鉛温泉方面に進む。豊沢川に架かる橋の上に宮沢賢治ゆかりのナメトコ山の案内板があった。案内板に記載の通り橋から豊沢川上流方向を眺めるとナメトコ山が見えた。駒頭山はナメトコ山関連で賢治の作品に登場する(文献※1)ようなので今度読んでみたい。県道沿いの路肩にネジバナが咲く。
 豊沢ダムを過ぎると間もなく新鉛温泉バス停に着く。バス停前の駐車場に頻繁に車が出入りし人気が高そうな温泉旅館だ。観光バスが着くと着物姿の女中さんが総出で出迎えている。小生は藪の中の行軍で近代的な温泉旅館にふさわしくない格好になっているので温泉は次回にしようと思う。鉛温泉登山口に崩落箇所ありとあったが結局崩落箇所は見当たらなかったし特に危険な場所も無かったと思う。以前調べたところ岩手県のホームページに県内のハイキングコースの一覧が掲載されていて昭和54年に完成した寒沢川・鉛スキー場・出羽沢の3コースは廃止(「起伏が激しくないこと」との基準にそぐわない為)とあった。しかし山頂の道標は文献※1記載の写真の時代から更新されているし出羽沢林道の落石も片づけられていたので少なからず維持管理されていると思う。次回は宮沢賢治作品を予習してから登ることにしたい。別の魅力が発見できるだろう。

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行
※2「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行


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