高下岳・根菅岳・大荒沢岳・沢尻岳

岩手県西和賀町
標高1322.8m, 1340m, 1313.4m, 1260m
JR北上線ほっとゆだ駅からタクシーで和賀岳登山口下車
JR北上線ほっとゆだ駅から岩手県交通バス貝沢バス停下車

【写真】根菅岳から羽後朝日岳・大荒沢岳の展望

2008年6月28日
 657 JR水沢
 821 JRほっとゆだ
 914 和賀岳登山口
 935 赤沢分岐
 954 高下分岐
1059 高下岳南峰
1110 高畑コース分岐
1118 高下岳山頂
1207 根菅岳
1228 根菅分岐
1323 大荒沢岳
1400 沢尻岳
1440 前山分岐
1456 郡界分岐(登山口1.2km, 高下岳7.2km地点)
1522 大木原登山口
1610〜1642 貝沢バス停
1741〜1834 JRほっとゆだ
2021 JR水沢

 西和賀町の山では先回真昼岳・女神岳に登ったが今回は西和賀町の北端に位置する大荒沢岳・沢尻岳、そして稜線続きの高下岳・根菅岳を目標とした。順路は和賀岳登山口→高下岳→根菅岳→大荒沢岳→沢尻岳→貝沢集落で県境の尾根を伝って時計回りにほぼ一周する予定である。一気に4つの山に登頂できて効率がよいが所要時間がかかる。休憩を最小限にしないと日没前に下山するのは難しそうだ。
 ほっとゆだ駅から和賀岳登山口までタクシーに乗車する(タクシー料金\8,000)。先日真昼岳まで乗車したときと同じ乗務員だったので岩手宮城内陸大地震や山の話などをした。登山口の案内板の周りにはミツバツチグリが咲く。登山口〜赤沢分岐まではハナニガナ、サワハコベが目立つ。赤沢分岐からブナが優勢となる。登山口から高下分岐までややきつい登りが続く。
 高下分岐で一息入れた後、右の高下岳方面の道に入る。サラサドウダンが満開だ。道が平坦になり急に歩きやすくなる。ブナ林の中、気持ちがよい。ツクバネウツギ、ミネカエデ、テツカエデ、ガマズミが咲く。文献※1に記載通りダケカンパの大木を過ぎると樹木が矮小化し左右の小枝を擦り抜けながら進む。やがてハイマツが優勢になりハイマツ、イチイをかき分けながら進むとマルバシモツケ、ハクサンシャクナゲが現れた。ハイマツの樹高が低くなると高下岳南峰に達した。360度の展望がある。コケモモ、コゼンタチバナが咲く。
 ハイマツで覆われ足下が見えない道を進むと高畑コース分岐に着く。ここから笹藪の密度が増すが突破し高下岳山頂に到達した。西面の和賀岳の展望が良い。山頂には5名ほど座れるスペースがあるが小生以外誰もいない。尚、この日登山道で会った人はゼロだった。北面に見えるピークは根菅岳。予定より1時間早いペースで上ってきたので多少の悪路なら根菅岳までは行けると思った。山頂の道標には貝沢登山口8.4km、高下登山口5.0kmと記されている。
 貝沢方面に下る。両手で背丈以上に伸びた笹藪をかき分けながら進む。足下が見えないので岩や木の根に何度もつまづき両足の脛は打ち身、擦り傷だらけである。靴ひもが解け何度も結び直した。ただし進退困難になるほどの藪ではない。またこの日は天気が良く藪に露が付いてなく衣服が濡れなかったのが幸いした。赤布などの目印になる物はないが尾根筋を進めば迷うことはなかった。高下岳から30分程続く藪漕ぎが一番つらいところだ。その後は藪の合間に時々草原が現れ風景と高山植物を楽しめる。
 根菅岳は東面が草付きの斜面となっていてわずかに残雪がある。今まで北に向かっていた登山道は根菅岳手前で緩やかに左にカーブしミツバオウレン、チングルマの咲く根菅岳東面に取り付く。根菅岳山頂はガンコウランの絨毯の中にツマトリソウ、コケモモが咲き360度の展望がある。特に北面の眺めは根菅分岐を経て大荒沢岳へ続く県境稜線と羽後朝日岳が雄大でその後方に秋田駒ヶ岳が見える。この日の最高峰にふさわしい展望と植物群落だ。山頂の標柱には高下岳1.4km、登山口7.0kmと記されてある。
 ウラジロヨウラク、アカミノイヌツゲ、矮小化した樹木をかき分けながら大荒沢岳方面に進む。ブナの実、シナノキの花、アズキナシの花が間近に観察でき藪漕ぎが苦にならない。途中、根菅分岐・和賀岳方面を示す道標があるが和賀岳への道は見当たらない。ガイドブックに記載通り廃道らしい。この先登山道は高山植物豊富な草原と藪が交互に現れる。藪の中では東側が時々展望が開け斜面にはタニウツギの群落、道端にアカモノ、ハクサンチドリが咲く。
 標高1260mのピークを越える。ここから大荒沢岳直下まで本コース最後のお花畑の稜線漫歩となる。小生が一番気に入った場所で次回はもう少しゆっくりと過ごしたい。最後のきつい斜面を登り大荒沢岳に到達した。文献※1によれば三角点は少し西に入ったところにあり藪に囲まれ展望は無いとある。山頂に立つ標柱には高下岳、登山口、県境方向の指示があるが県境方向は笹藪で道がない。既に息も絶え絶えなので三角点には寄らないことにした。笹藪よりも山頂東側斜面に咲くイワイチョウに自然に足が向いてしまった。
 沢尻岳方面に進む。道沿いにイワカガミ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、アカモノが咲く。沢尻岳山頂は平坦な台地であるがハイマツ、ミヤマナラで囲まれ展望は無かった。樹林帯に入り藪漕ぎが無く歩きやすくなる。沢尻岳には予定よりも1時間20分早着しているが初めてのコースで油断できないので先を急ぐことにした。前山分岐、郡界分岐と要所を通過しスギやヒノキの植林地を下ると牧草地に出た。牧草地南端の細道を通る。道沿いにエゾアジサイが続く。
 登山口には大きな標柱が立ちその脇に登山カード箱がある。林道を進むとすぐに谷地川を徒渉する。マイカー登山する場合はここまで車両を乗り入れ可能のようだ。カラマツ、スギ植林地、再び牧草地を横断すると大木原集落に出た。田園地帯に変わり車道を進む。体調は最近の傾向として相変わらずベストではないが久々に長丁場を歩き通した割には元気だ。最終目的地の貝沢バス停が次第に迫ってくる。あと1km、500m。バス停に出る道が災害復旧工事で車両通行止めになっていたが歩行者の小生は通してもらい遂にバス停前の県道1号丁字路に出た。
 バス停でバスの時刻を見るとバス到着時刻の30分前であった。元々乗車を予定していたバスはその次発のバスだった。バス停前には雑貨屋があり自販機で冷たいジュースを買って飲んだ。また公衆電話ボックス、公衆トイレもありかなり便利な場所である。ひときわ目立つのは登山道入口を示す大きな標柱だ。バス始点の貝沢から終点のほっとゆだ駅まで1時間近くバスに乗車したが乗客は小生のみ。車窓から眺めた緑濃い沿線風景とその背後に聳える高下岳が印象に残った。

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行
※2「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行


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