鯨山

岩手県山田町・大槌町
標高610.2m
JR山田線浪板海岸駅

【写真】山頂三角点

2008年3月8日
 616 JR水沢
 905〜947 JR釜石
1018 JR浪板海岸
1100 青少年の家
1132 ロータリーの森分岐 山頂まで2.1k
1138〜1155 展望地昼食 アカマツ
1158 リアスの丘
1216 大沢コース分岐
1220 新田・織笠コース分岐 カラマツ
1258〜1320 鯨山山頂(神社 小屋 アカマツ)
1328 無線中継所
1349 鯨峠
1400 水場
1430 不動滝
1500〜1530 浪板海岸
1600〜1646 JR吉里吉里
1512 JR水沢

 先週から寒さが和らぎ春の訪れを感じるようになった。県内陸部の山々はまだ積雪があるが積雪が少ない沿岸部の山なら雪山装備などがなくても容易に登れるだろうと予想した。文献※1でも温暖な沿岸部なら年中大丈夫のようである。また、鯨山は県の広報誌に登山案内が掲載されていたのを以前見かけたことがあり整備されているようなので安心して登れそうだ。
 浪板海岸駅で下車。駅の待合室はホームの中央にあるが出口が見当たらない。振り返ると車掌がホームの北端に降りて小生が来るのを待っていた。乗車券(ホリデーパス)を呈示した後ホームからから車道に出る。住宅地を抜けると海水浴客の駐車場に突き当たる。ここで左折し国道45号に合流し北上する。国道の右手は浪板海岸で道路沿いに民宿が立ち並ぶ。沿道の民家が途絶えると歩道も無くなった。国道の狭い路肩を車両に注意しながら歩くことになる。幸い途中まで道路工事のため片側相互通行だったので歩きやすかった。トンネルを2つ通過すると町境を越え大槌町から山田町に入る。すぐに青少年の家の標識があるので左折する。何かの行事があるらしく途中数台の車両に追い抜かれる。青少年の家の前に出ると小学生と父兄が整列していて「よろしくお願いします」と挨拶をしているところだった。
 青少年の家の左脇に続く道を進む。緩やかな斜面を上っていくとキャンプ場がある。平坦で広々としている。キャンプ場の南端には四十八坂県民の森・健康のみちの案内板がある。東端には鯨山登山コースの案内板がある。周辺の日陰にはうっすらと雪が残っている。しかし今日は天気が良いため気温も上がり次第に汗ばんできた。
 尾根を少しずつ上っていくにつれコナラからアカマツに樹林帯が変化する。左右の谷にはまだ多量の残雪がある。ロータリーの森分岐点付近から登山道は雪で覆われる。間もなく稜線に出る。展望が良いのでここで昼食休憩とした。北面の山田町・山田湾・十二神山がよく見える。
 この先、雪上の尾根伝いのコースとなるがアカマツに遮られ展望は効かない。途中リアスの丘と記された道標があり地形図上では標高403mの三角点の位置と思われる。足場が悪そうな所を避けながら雪の上を進んでいく。前方に鯨山の全貌が見えてきた。この様子だと相当な急斜面を上っていかなければならなく難渋しそうである。大沢川源頭部の鞍部に出る。ここで南下すると大沢川コース、北上すると新田・織笠コースと道標に記されている。
 山頂への最後の登りに取りかかる。上り始めのうちは日当たりの良い斜面で登山道に積雪が無かったのだが次第に雪が深くなってくる。岩場の急斜面で滑りやすいしうっかりすると足が雪の中に沈み込む。山頂までロープが続いているのでそれを支えにして上るが、一部のロープは雪の下に埋まっているので左右の小枝が頼りとなる。これは重労働で息が切れ胸も苦しい。鯨山の東側斜面はカラマツが植林されている。山頂付近にはアカマツが十数本並んでいるのが見える。
 大岩の間を擦り抜けるようにして登ると鯨山神社の裏に出る。その先は南北に細長く山頂広場が続いている。まずは神社に道中の安全祈願をしてから山頂三角点を撮影。山頂からは浪板海岸と吉里吉里方面の展望がよい。広場の南端にコンクリートブロック造りの避難小屋がある。三角点脇のアカマツを背もたれにして休憩をとった。
 山頂の南端から浪板駅方面と電波塔方面の下山コースがあるが電波塔コースに下ることにした。電波塔は山頂の西側間近に2塔見える。ほぼ一直線の下りでロープが続いている。一つ目の電波塔の柵を時計回りに半周すると未舗装の車道に出た。雪中の行軍もこれで終わり後は車道をゆっくり下ればよいと思うとほっとする。二つ目の電波塔の前には広い駐車スペースがある。その奥の方に道標が立っていた。「至鯨峠→小鯨山・不動滝」とある。車道は遠回りで歩行距離が長いと思い道標に従って進むことにした。
 電波塔の南側の柵に沿って歩く。その先は雪原が広がり頼りになる踏み跡もない。前方を見るとこんもりと少し小高くなっている地形がありその位置に小祠があるのに気づいた。もしかしたらこれが小鯨山なのかと思って参拝する(あとで地形図を調べると小鯨山は全く別の場所にあった)。その先は木の赤ペンキを目印に尾根伝いに下る。しかし笹原に入ると目印とするものが無くなってしまうので足下の雪に注意しながら下る。長い笹原地帯を抜けると雪も無くなり道も次第に明瞭になる。
 突然樹林帯を抜け送電線の鉄塔下に出た。鯨山を示す道標もあった。送電線は地形図にも記されていて地形図によればすぐ西側に鯨峠(標高313m)があるようだ。鉄塔から少し南に下ると道標があった。右折(西に向かう)が鯨峠、直進が送電線の巡視路でこの巡視路を進んでも途中で登山コースと合流するようだ。荒れた道を20mほど進むと丁字路に突き当たり馬指野や不動滝方面を示す道標があった。この場所が鯨峠であろう。不動滝方面に南下する。途中水場があったが水量が乏しい。この水はやがて小沢となり浪板海岸まで登山道と並行する。持参した水も残り少なくなったので小沢から水を補給した。沢沿いの岩壁には氷が張り付いている。久々の山歩きでオーバーヒートした体にこの冷たい水はおいしい。
 電波塔から続く未舗装の車道に合流する。尚この合流点の少し手前で送電線の巡視路とも合流する。また小鯨山を示す道標もありこの場所が小鯨山への登山口のようである。車道を下る。道の両側にはスギの幼樹が植えられている。鯨峠付近からここまで道の右側に並行していた沢の上を橋で渡る。橋の上から下流を見ると滝が見えた。この地区の景勝地の一つ不動滝である。車道から外れ林の中の斜面を下り、まず鯨山神社の社殿に参拝。次に奥にある不動滝を見学した。
 車道は平坦になる。鉱山を過ぎると間もなく平野部に出る。三陸鉄道の高架下をくぐると浪板海岸の駐車場に着いた。列車の時刻まで時間があるのでしばらく浪板海岸で波を見ながら休憩。そのうちじっとしていると寒さを感じるようになったので吉里吉里駅まで歩くことにした。

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行


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