栗駒山(中央コース)
栗原市
標高1627m
東北新幹線くりこま高原駅から栗駒山麓まるかじりバスに乗車、いわかがみ平下車
入湯証明書
【写真】駒の湯・入湯証明書
2013年6月1日
 825 JR水沢
 849~906 JR一ノ関(新幹線乗換)
 916~1000 東北新幹線くりこま高原(バス乗換)
1105 いわかがみ平
1150 展望台
1227~1340 山頂
1435~1525 いわかがみ平(バス乗車)
1545 くりこま荘

2013年6月2日
 900 くりこま荘~駒の湯~くりこま荘(くりこま荘送迎車でくりこま高原駅に移動)
1110~1205 東北新幹線くりこま高原
1214~1223 JR一ノ関(東北線乗換)
1247 JR水沢
人数4名(小生含む)

 以前、栗駒山に登頂したときはガスの中で展望は全く無かった。小生はこういう天気もまたいいものだ、位に思っていた(高山植物が楽しめたので)が、同行者達は天気のいい日にもう一度登ってみたいという願望を抱いていたようだ。そこで今回のグループ登山の目的地は栗駒山に決まった。登山のプラン作成は小生の担当であるが、栗駒山周辺は岩手宮城内陸地震と東日本大震災の二重の震災の影響で観光客が大幅に減少したせいか登山に使えそうな路線バス(宮城交通・羽後交通は廃止、岩手県交通は朝の便が無い)が無い。しかし偶然宮城側のいわかがみ平まで無料バスが休日に運行することを知った。ちょうどJRの宮城キャンペーン期間でこの無料バスはその企画のようだ。バスの名称は栗駒山麓まるかじりバス。いわかがみ平以外にも周辺の温泉施設などを周遊する。
 栗駒山麓まるかじりバスは事前予約制、最小運行人数が5名である。栗原市の観光協会に電話で申し込んだ。既に宿泊は「くりこま荘」に予約していたので、帰路は「くりこま荘」入り口の交差点(耕英十字路)で下車したいと希望したらOKとのこと。登山コースは登りは中央コース、下りは東栗駒コースの予定である。
 東北新幹線くりこま高原駅で下車。バスは駅の東側から発車する。外で待機していると観光協会の方が来て中の待合室に集合して欲しいとこと。簡単な受付のあと参加記念品(タオル、観光パンフレット)を受け取り、ツアー客専用バッチ(これは帰路に返却)を上着に取り付けた。無料ツアーなのにいろいろいただいてうれしい。参加者全員と添乗員(観光協会の方2名)が揃った所でバスは定刻より早く出発した。途中の休憩は無くいわかがみ平までノンストップで向かう。残雪を抱いた栗駒山の威容が次第に近づいてくるので期待は高まる。
 ハイルザームを過ぎると道路脇にまだ雪が残っている。いわかがみ平駐車場の周囲にも雪は残っていて融雪水が駐車場を濡らしていた。バスを下車後、予定通り中央コースを登る。東栗駒コースは雪解け水で悪路と表示があったので今回は中央コースを往復することにした。これで時間に余裕ができるので気が楽である。
 登山道沿いにフデリンドウ、ムラサキヤシオ、ミツバオウレン、ショウジョウバカマ、ヒメイチゲ、ミネザクラ、タムシバが咲く。山頂付近は開花中のものは無く本格的な花のシーズンにはちょっと早い。東栗駒分岐付近は雪渓が残り東栗駒コースの登山道はルートが雪に埋まり判然としない。赤テープなどの目印も無いので道迷いの時間のロスを考えるとやはり今日は諦めた方が良いと思った。間もなく山頂に到達した。展望は良くいわかがみ平の駐車場が見える。南面の景色を眺めながらビールで乾杯、昼食休憩とした。
 下山は早く1時間弱しかかからなかった。レストハウスでコーヒーを飲んだ(ツアーの参加記念品の中にレストハウスのコーヒー割引券が入っていた)。そろそろバスが来る時間なので帰り支度をしていると添乗員(観光協会の方)がレストハウスまで迎えに来てくれた。無料ツアーなのに気を遣ってもらって恐縮である。帰路のバスは結構な人数が乗っていて驚いた。栗駒山麓まるかじりバスの帰路はいわかがみ平を出発したあと、くりこま高原駅までノンストップで運行されている。ただし我々は本日くりこま荘に宿泊するので最寄りの交差点で途中下車させていただく予定だった。ところが添乗員の計らいで他の乗客の了承を得たので、くりこま荘の玄関先までバスを回送してくれたのもうれしいサービスだった。
 くりこま荘の温泉に入りリフレッシュ。ここの露天風呂は外の景色(森林)が良く小生は特に気に入った。夕食は当地の名物が並び珍しいものばかり。当然酒は進む。特に食前酒はメンバー全員が絶賛した特製のものだった。また、くりこま荘のロビーや廊下に様々な展示物が飾られているが、小生の自宅のある奥州市とくりこま荘のある地域は歴史的につながりが深いことを初めて知った。まず奥州市の歴史人物の中では英雄アテルイが有名だがくりこま荘のロビーにもアテルイの像が飾られている。昭和の始めまでこの地区でアテルイ信仰が残っていたとのことで驚きである。次に義経伝説。この地区にも多くの伝説がある。くりこま荘の大広間のステージにも義経の像があり訪れるファンがいるとのこと。
 翌朝はホトトギスの声で眼が覚めた。これは気持ちがいい。9時にくりこま荘をチェックアウトし岩手宮城内陸地震で被害者が出た駒の湯の慰霊碑を拝みに徒歩で向かう。道脇にサラサドウダン、ツクバネウツギ、タニウツギが咲きかつての旅館の入り口として手入れがされていたことが伺える。慰霊碑に向かう途中、見知らぬ男性1名が我々の様子をビデオカメラで追っているので不審に思っていた。訊くとテレビ局の取材とのこと。そろそろ内陸地震から5年経つのでその事前取材かなと思った。その男性の話によると地震による土石流で被災した駒の湯が足湯として復活しているとのこと。それならせっかくなので足湯に入ることにした。絆と刻まれた慰霊碑からさらに500mほど進んだところにその足湯はあった。周囲は災害復旧工事のコンクリートブロック置き場になっている。北面の地滑り跡は依然手つかずの状態だ。我々が到着したときはちょうど開店準備をしていて源泉からホースで湯を引き浴槽に湯を貯めているところだった。
 準備が出来たとのことで早速一番風呂に入る。お湯は常時ホースからかけ流し。正真正銘の源泉かけ流しだ。浴槽から溢れた湯は道沿いの側溝に流れ込む。駒の湯当主の話では元駒の湯旅館直下にあった源泉は地震後湯が出なくなった。今、足湯として使用している源泉は元々湯花を採るために使っていたとのことである。足湯の源泉温度は現在36度でちょっと低いが少しずつ上昇しているので今後に期待しているとのことである。その他、当主、及び旅館の関係者様にいろいろと興味深い話をしていただきました。以下、箇条書きとなります。
  • 温泉直下の源泉は出なくなった。逆に湯花採りに使っていた別の源泉の湯が出るようになった。しかし震災前と泉質が異なる。温度が41→36.9、pHは5→4.3酸性が強くなった(弱酸性)。
  • 足湯は日曜のみ開設。入浴は無料。足湯の前にテント、椅子、テーブルがあります。ジュース、コーヒーなどの飲み物を販売しています。
  • お湯は無色透明で白色で粒状の湯花が混じります。
  • 東日本大震災で被災地支援のため温泉を持っていこうとしたが役所の許可が得られなかった。
  • 栗原市の観光パンフレットに足湯が掲載されていない→最新版に追加されました。最新版は足湯でも配布されています。
  • 入湯証明書が貰えます。
  • 足湯の存在は宮城県内では地元マスコミを通じて結構知られているとのこと。
  • 元旅館の玄関前にあったカラマツ2本は枯れてしまったが現存している。旅館のシンボル的な存在だったので切り倒すことができず現在に至る(更地にこの2本のカラマツはよく目立つ。同様な例では陸前高田の奇跡の一本松が有名だが、土石流に耐えたカラマツにも感動せざるを得ない)。
 足湯から再びくりこま荘に戻りタクシーを呼んでもらうつもりでしたが、何とまたお世話になりました。くりこま荘の送迎車でくりこま高原駅まで送迎していただきました。

inserted by FC2 system