栗駒山(須川コース、裏掛コース)
一関市,栗原市
標高1627m
JR一ノ関から県交通バス須川温泉行き終点下車,JRくりはら高原駅から宮交栗原バスいわかがみ平行き終点下車
【写真】名残ヶ原
2005年9月18日
 826 JR水沢
 900 一関駅前から県交通バス\1,500
1048 須川温泉発
1116 昭和湖
1201 天狗平
1201〜1226 山頂
1247 裏掛分岐
1306 瑞山本道入口
1413 新湯沢徒渉・階段・トイレ
1427 車道に出る
1440 山脈(やまなみ)ハウス
1548 ハイルザーム栗駒バス停発\1,500
1700〜1738 JRくりこま高原
1759〜1807 JR一ノ関
1832 JR水沢

 栗駒山は小生の自宅からも望め交通の便もよく登りやすい山であるがまだ一回しか登ったことがない。コースも多数存在するので今後一つ一つ歩いていこうと思う。今回は須川温泉から山頂を経由し反対側のいわかがみ平に下山する計画を立てた。小生の計画にしては珍しく時間的な余裕があり山頂で2時間休憩してもいわかがみ平発のバスに間に合う。
 JR一ノ関で下車。駅前の8番線バス乗り場には既に行列ができていた。小生は最後尾に付く。乗車率50%位。大半の乗客は終点の須川温泉まで乗車。バスカードの乗客が多いのでほとんど地元の方で須川温泉の常連と思われる。小生もバスカードで精算する。
 登山コースに入る。リンドウが咲き始めているので写真に収めた。天候は曇りで遠望は効かない。天狗平を過ぎると気温が下がり寒くなってくる。この辺りはうっすらと紅葉していた。山頂に到着。数年前に登ったときと同じタイムだった。以前から体力の衰えを感じ始めてきたが自信が回復した。
 山頂から1時間でいわかがみ平に着くようなのでたっぷり休憩できる。山頂からの景色では東栗駒山方面に湿原(新湯沢の源頭)があり興味を惹かれた。今日は体力に余裕があるので東栗駒山経由で下山することにし休憩は早めに切り上げた。
 いわかがみ平コースは登山客が多く階段が続くのでなかなか前に進まない。東栗駒への分岐で左に入りやっと静かな山歩きとなる。南面に湿原が拡がる。恐らくシーズン中は花畑になると思うが既に時期は過ぎている。裏掛分岐から東栗駒山に向かうつもりが小生の前に1グループ先行していたので裏掛コースに向かう。悪路だったら引き返そうと思って周囲の状況を確かめながら進む。湿地の丸い池が点在し苗場山に似ているなぁ,結構いいコースなのではないかと思って進んでいくと湿地は次第に沢の流れに変わり水量が増してきた。あとで地形図を見るとこの辺りが磐井川の源頭のようだ。途中,駒ノ湯と記された道標があったので沢の右岸から灌木地帯に入る。木に囲まれ見通しが悪くなり心細くなってくる。
 左手に避難小屋が見えてきた。しかし避難小屋にはなかなか近づかずに道は大きく北に逸れている。瑞山本道入口という道標がありそこから避難小屋は至近距離にあるのだが藪に覆われ道はなさそう。所々にある駒ノ湯と記された道標のみが頼りである。途中何度も湿原を横断する。やはり苗場山に似ていていい雰囲気である。結局裏掛コースで会った登山者は1名のみ。静かで景色も良く比較的楽に登れるいいコースだと思う。
 いこいの村と思われる建物が眼下に見えそろそろ山歩きも終点に近い。沢の音が大きくなり間もなく新湯沢を徒渉。上流から硫黄が流れている。もしかして川の中に温泉があるのかと思いあちこち手探りで水温を調べたが特別温かい箇所はない。右岸に渡るとコンクリートの階段がありその上が林道であった。階段のそばにトイレあり。そのまま林道を下る。右手に平行してスキー場のリフトがある。この林道は悪路で不安に感じる。途中リフト側に上る階段があったのでちょっと入ってみたがどうも違うようである。そのまま林道を進んでいくと車道に出た。車道側はスノーシェッドの出口である。ただし登山口を示す道標はない。
 駒ノ湯に下山したのに駒ノ湯はどこにあるのか,疑問が深まってきた。車道を下る。現在どの地点にいるのか見当が付かないがとにかくそのうちバス停があるはず。ヘアピンカーブを3回のあと直線道路になり大きなホテルらしき建物が目に入る。ハイルザームと言う名称で温水プール施設のようだ(あとで資料を眺めると露天風呂もあることを知る)。小生は水着など持ってきているはずもなく敬遠しその一つ先にある山脈ハウスに期待することにした。お土産屋のような感じだが温泉入浴もできるとある。ここで休憩することに決定。その前にハイルザームのバス停で時刻を確認した。
 入浴料\400。肌がつるつるになり体も温まるいい湯であった。その後風呂場に財布を忘れるなど事件があったが何とか体裁を保ち無事バスに乗車。バスは駒ノ湯を経由したので疑問は解消した。その後眠くなりうとうとする。終点のくりこま高原駅で下車。新幹線に乗車,一ノ関で在来線に乗り換え帰路についた。
栗駒山(瑞山コース)
岩手県一関市、秋田県東成瀬村
JR一ノ関駅から県交通バス須川温泉行き終点下車 【写真】笊森小屋
2007年7月28日
 643 JR水沢
 706〜730 一ノ関駅前
 854 須川岳ビジターセンター前
 935 名残ヶ原
 940 苔花台
 958 三途の川
1032 産沼
1053 磐井川源流
1109〜1150 笊森避難小屋
1253 湿地帯(桂沢3.8km地点)
1423 桂沢徒渉(小屋5.1km地点)
1437 林道
1515 東桂沢の橋
1520 西桂沢の橋
1537 真湯山荘バス停〜猿跳橋古道
1717 祭畤
1806〜1921 JR一ノ関
1945 JR水沢

 昨年から一ノ関駅前から須川温泉行きの始発バスの時刻が変更になり1時間30分も早くなった。このため山歩きの時間に余裕ができコースの選択の幅も広がったことになる。まずは地元岩手県内の瑞山コースを歩いてみようと思った。須川温泉までバスで上り登山道を経由し真湯山荘まで下れば帰りのバスの時刻にも余裕で間に合いそうである。
 一ノ関駅前から須川温泉行バスに乗車する。乗客は3名。意外に少ない。1名は厳美渓で下車したのでその先はたった2名の乗客を乗せバスは須川温泉に到着した。このバスは須川温泉への新聞配達も兼ねて運行されているようで旅館の係りの方がバスの到着を待っていて新聞の束を受け取っていた。小生はビジターセンター脇のトイレに寄って身支度を整えた後、山登りに向かった。今までは須川温泉露天風呂の脇から登っていたが今回は車道を歩き県境を越え左手にある駐車場の奥から登り始めた。すぐに分岐点があるが右折し旧硫黄鉱山方面に向かう。高木はダケカンバ、ナナカマド、低木はノリウツギ、クロヅル、ウラジロヨウラク、ミヤマホツツジが開花中、ムシカリは赤い実をつけている。すぐに樹林帯を抜け硫黄鉱山周辺の礫地が広がる。登山コースから左に分岐する道に入るとすり鉢状の地形をした旧硫黄鉱山跡に至るが危険なためロープで仕切られた先へ入ることは禁止されている。この付近の岩場にはアカモノが実をつけていた。
 登山道に戻り先へ進むと賽ノ磧という場所となる。凹凸のある砂地に黒い岩が散在する。南面の剣岳は屏風のように黒い岩壁がそそり立つ。その先は湿地帯となり名残ヶ原まで木道が続く。名残ヶ原ではキンコウカが一面に咲いている。須川温泉露天風呂の脇から入るコースと合流し本格的な登山道の上りとなる。しかしわずか5分で苔花台に着き須川コースと別れ左に分岐する道(自然観察コース)に入る。すぐにゼッタ沢を横断し湿原上の木道となるがここで団体客とすれ違いのため待機。この場所にはキンコウカ、シロバナトウウチソウ、ワタスゲが咲く。沢の近くには別の植物が生育しているようで案内役のガイドの方が団体客に説明していた。
 登山道の脇に温泉旅館の水源を引いていると思われるホースが敷設されている。登り坂はあまり長続きせず平坦な道となる。たくさんのヤマブキショウマが道を遮るように咲いていてる。またサンカヨウの群落(青い実をつけている)もあった。三途の川を渡ると勾配はきつくなる。次第に周囲の木々の樹高が低くなる。シモツケ、イワイチョウ、ハクサンシャクナゲが点在する。依然としてクロヅルも多い。産沼付近はマルバシモツケ、イワイチョウ、ガクウラジロヨウラクが咲く。
 産沼で登山道は栗駒山方面と笊森避難小屋方面に分かれる。今回は時間にゆとりを持ちたいので栗駒山頂には寄らないことにしている。分岐点で左折し笊森方面に入ると急に道幅が狭くなる。これはあまり人が入らない道なのかと思って不安になったのも束の間、左下斜面に残雪が広がっていて本日一番の景色である。高山植物も豊富だ。イワカガミ、ツマトリソウ、ハクサンチドリ、そして残雪の周囲はヒナザクラの群落である。
 磐井川源流でコップ一杯の水を飲む。ここで上流に向かうと東栗駒方面で以前小生が通った裏掛コースにも至る。上流にはまだ雪渓が残っていた。笊森へは源流を渡り右岸沿いの道を下流に進むと平坦な台地状の地形となる。前方右手に避難小屋が見えてきた。小屋周辺はウラジロヨウラク、キンコウカ、シロバナトウウチソウ、ハクサンシャクナゲ、ハイマツが目立つ。
 真新しい小屋に入ると誰もいなかった。まず水場を確認する。小屋の南西から細道が続いていて進んでいくと産女川源流の雪渓に至った。小屋に備え付けの雑記帳に挨拶文を記入し、昼食を摂った後、気持ちよく昼寝をした。
 疲れもとれ元気が出てきたので瑞山コース(桂川方面)に下山を開始する。次第に周囲の草丈が高くなり足下が見えない。花期が過ぎ木質化したコバイケイソウとアザミのとげを避けるのに苦労する。ここまで肩にカメラを掛けて歩いてきたのだが草に引っかかり邪魔になるしカメラ自体に傷がついたりしないか気にしながら歩くのは神経が疲れる。道端に咲くツリガネニンジンの写真を撮ってからカメラをザックの中に入れた。
 登山道は左が笊森山、右が産女川の谷という地形を次第に高度を下げながら続く。樹林帯に入ると歩きやすい道になりほっとした。道がぬかるんできたと思ったら湿地帯に入り木道となる。しかし木道はかなり痛んでいて左右に傾いたり斜めになったりで工事現場の廃材置き場のような感じになっている。豪雪の影響だろう。その先はブナ林となる。この辺の道は平坦で広く歩きやすい。ブナの大木に囲まれながら休憩した。瑞山コースの一番の見所と思う。
 ブナ林を抜けると下り勾配がきつくなる。薄暗くじめじめした場所となるがここはエゾアジサイの群落の見所であった。カラマツの植林地に入ると一気に直線的に下る。東桂沢の支流を木橋で渡るがこの橋は真ん中から真っ二つに折れていてV字状になっている(V字の底辺部分が川床の岩に落ち込んでいる)。橋の右側は東桂沢本流に落下する滝である。橋の高さは50cm位なので滑って落下しないように注意しながら通過した。
 東桂沢本流を徒渉後、平坦で直線的な道となる。途中に湿原がありミズバショウ群落地と思われる。樹木はリョウブが多い。間もなく登山口で林道に出る。林道はこの場所から先(南方向)は国有林の管理地でゲートがあって中に入れないようになっている。
 林道を北方向に進む。リョウブ、ノリウツギが満開である。キブシ、ドクウツギの実もなっていた。真湯山荘に到着したがバスの時刻まで間があるので猿跳橋古道を歩いてみることにした。猿跳橋古道は旧国道を遊歩道化した道である。真湯山荘前の遊園地の東端が入口となる。所々に道路標識が立つ。しかしかつて国道として車が往来した道路とは思えないほど道が狭く路面も荒れていて須川温泉に行くには相当な苦労があったことであろう。
 猿跳橋は磐井川に掛かる鉄トラス橋だが周りの木が生い茂り過ぎて下の渓流の観賞はできなかった。猿跳橋古道の反対側の入口となっている祭畤まで歩きバスで帰路に着いた。
栗駒山(須川コース)
岩手県一関市、秋田県東成瀬村
JR一ノ関駅から県交通バス須川温泉行き終点下車
【写真】昭和湖
2010年6月5日
 826 JR水沢
 851〜900 一ノ関駅前
1034 須川温泉
1055 名残ヶ原
1121 昭和湖
1202 天狗平
1221〜1250 山頂
1304 天狗平
1324 昭和湖
1352 名残ヶ原
1430〜1500 須川温泉
1626〜1829 一ノ関駅前
1854 JR水沢
同行 k氏、y氏、t氏

 岩手・宮城内陸地震の影響で一関市から須川温泉に通じる国道342号は真湯〜須川温泉間が長らく通行止めとなっていた。たまたま岩手県交通のホームページでバス時刻を調べていたら2010年5月30日に須川高原線が運行開始との情報があり国道342号が開通する事を知る。ちょうど6月にグループ登山を計画していたところで他に候補地があったのだが開通記念登山として栗駒山(須川岳)に訪れることにした。地震から約2年経つがその被害状況、復旧状況、登山道の状況などが不明なので無事に山頂に到達できるかどうかわからないが滅多にない機会だからこそ狙ってみたい。
 当日の水沢地域は朝6時頃から間断なく雨が降り、止む気配はない。天気予報では曇りまたは小雨、降水量0mmとなっていてそのうち雨は小止みになることを期待し駅に向かう。肌寒い日なので冬用の防寒下着を着用した。電車に乗り一ノ関に近づくと地面が乾いていて雨は降っていない。これなら行けそうだ。
 一ノ関駅前の9番バス乗り場から須川温泉行きのバスに乗車する。乗客は我々を除き2〜3名。バスの車両は通常のローカル路線バスである。バスは国道342号を西に向かって進む。矢櫃ダム付近から地震による被害が大きかった地域に入った。この先、バスの運転手が地震の被害現場の解説をしてくれた。右手は崩落した崖が所々に見られ、左手の国道の路肩は復旧されたものである。国道に並行する磐井川の対岸は今でも大規模な復旧工事が続いている。この付近は土砂が磐井川の流路を堰き止めたためダム湖のようになった場所とのこと。橋桁が落下、損壊した祭畤大橋は地震の惨状を物語る。ここでは上流に設けられた仮設の橋を通る。さらに上流では新橋の建設工事中だ。真湯温泉を過ぎるとこの先道路事情が変わりますと運転手からアナウンスがあった。ここからバスは急勾配の登りにとりかかる。登り口のヘアピンカーブを数回繰り返す所は以前と変わらないが続く直線道は工事中で一方通行のため交通整理員の指示で進む。工事区間はこの場所のみだった。運転手によると復旧工事で以前より道路が良くなり通行しやすくなったとの事。確かに以前は対面通行が困難な区間が多く対向車が来るたびに停止、徐行、後退を繰り返していたが今回はスムーズに須川温泉まで到達した。
 今回の登山コースは最も一般的な須川温泉コースである。露天風呂・足湯の脇から登り始めた。登山道脇の斜面には残雪がある。名残が原では咲いている花は無く時期的に早いことがわかった。苔花台〜地獄谷手前は残雪の上を歩く。踏み跡は明瞭で道に迷う心配はないがこの先山頂まで残雪が続くとなると残雪期の本コースは初めてなので苦戦しそうだと思う。地獄谷〜昭和湖は残雪が途切れ通常の登山道を進むが同行者にとっては残雪ではなく通常の登山道の方が歩きやすいとのこと。
 昭和湖で休憩。湖の中に浮かぶ島のように残雪がある。湖水の色は従前同様エメラルドグリーンだ。その先は低木の中、階段の続く登りとなる。ここはミネザクラやウラジロヨウラクの花が見頃だ。登山道は雪解け水で小沢のようになるが間もなく低木地帯を抜けた。一帯はスキー場のゲレンデのように残雪が広がっている。通常この付近は展望の無い笹藪の中を進むので展望が利く残雪の上を歩く方が小生は楽だと思ったが同行者にとっては苦しい登りのようだ。時々小休憩しながら進む。次第にガスが濃くなり100メートル位の間隔で雪上に立っているルートを示す赤白のポールが認識しずらくなってきた。左手に谷があるので誤ってコースから外れないよう注意する。再度笹藪を通過するがしばらく前までこの付近の笹藪は雪の下にあったようで最も明瞭な踏み跡をたどると笹藪で行き止まりとなる。まだ新しい踏み跡は階段のある夏道を通っている。
 雪原歩きは天狗平手前で終了。天狗平から山頂までの800mは岩手・宮城県境の稜線を進む。斜面にハイマツ、岩場にヒメイチゲが咲く。右手斜面は切れ落ちていて残雪とガスで白一色の世界だ。ここで小雨が降り始め小生以外のメンバーは合羽を着用する(小生は家を出るときから合羽だった)。  山頂に到着。いつも混雑している山頂だがこの日は閑散としていた。山頂に居座っていたのは当メンバー以外は1グループのみで、あとは山頂に来るやいなや即座に引き返す人が数名だった。予定通り山頂ではビールで乾杯する。しばらくすると寒さを感じるようなってきた。薄着のメンバーもいるので早々に下山することにした。
 帰路は名残ヶ原までは往路と同じコースを通る。さすがに下りは早い。途中から雨が止みガスも消えたので下界の展望を楽しみながら下った。名残ヶ原から賽ノ磧に向かう。イワカガミ、コケモモはつぼみ。ミネズオウは開花中。モウセンゴケも多い。旧硫黄鉱山跡を見学した後、須川温泉の足湯に浸かり疲れを癒した。ただしこの足湯はかなり熱かった。
 帰りのバスも往路と全く同じ運転手と乗客だった。一ノ関駅で電車待ちの時間があったので駅前の居酒屋に寄り慰労会を開催。その居酒屋で国道342再開通の記念バッジを頂いた。これは今回の登山の記念になるので思いがけないうれしいサービスであった。
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