真昼岳・女神岳

岩手県西和賀町
標高1059.9m, 955.8m
JR北上線ほっとゆだ駅からタクシーで兎平登山口下車
JR北上線ほっとゆだ駅から岩手県交通バス清水ヶ野バス停下車

【写真】真昼山頂

2008年6月14日
 710 JR水沢
 821 JRほっとゆだ
 905 兎平登山口
 910 本内川
 923 飛竜の滝
1002〜1025 兎平山頂散策
1038 兎平の十字分岐
1135〜1150 真昼岳山頂
1242 兎平の十字分岐
1345 女神岳山頂
1445 ブナ見平
1513 直登登山口分岐
1535 白糸の滝
1540 登山口駐車場〜途中乗用車相乗り
1635 清水ヶ野バス停
1711〜1729 湯本温泉バス停
1741〜1910 JRほっとゆだ
2140 JR水沢

 真昼岳登山の計画をいろいろと考えた。ちょうど良い時刻にバスの便が無い、兎平登山口まで林道が長い、秋田県側から登った方が容易そうだが道に迷うと大変だ、一泊するか早朝出発かどちらにメリットがあるか・・・など。時間に余裕があり翌日も1日寝て過ごせるような日があれば特に悩まないのであるがそんな日は滅多にない。この問題の小生なりの解答はほっとゆだ駅からタクシーで兎平登山口まで移動→真昼岳→女神岳→白糸の滝に下山という県境稜線上を北から南に縦走するコースである。文献※1掲載の山のうち未踏峰を減らすのが小生の最近の目標となっているが真昼岳と女神岳(共に未踏峰)にこの日のうちに登頂できれば一気に目標に近づくと安易に考えた。
 ほっとゆだ駅で下車。駅前からタクシーに乗車し兎平登山口に向かう(タクシー料金\5,370)。県道1号を北上する間、雨が降ったり止んだりした。途中で左折、真昼温泉前を通過ししばらく進むと未舗装の林道に変わる。林道入口に案内板があり兎平登山口より先は通行止めと記されていた。左手が本内川への深い谷になっているが次第に林道と谷の高度差が小さくなる。登山口には先着の車が2台駐車していた。後からバイクが来たがすぐ引き返していった(林道を通れないのであきらめたのだろう)。
 登山道に入ると周囲はブナ林である。すぐに本内川に架かる吊り橋を渡る。上流に釣り客が1名いた。足下にタニギキョウ、サワハコベが咲く。斜面をジグザグに登っていくと飛竜の滝を見下ろす場所に出る。時折弱い雨が降る中、薄暗い林の中を進む。ユキザサ、ナルコユリ、チゴユリ、ウラジロヨウラク、ギンリョウソウが咲く。途中で男性1名を追い抜く。花が多くなったと思ったら兎平の分岐点に出た。分岐点を直進すると周囲はレンゲツツジ、ウラジロヨウラク、タニウツギの群落がちょうど満開である。道脇にはアズマギクも咲く。
 お花畑を過ぎると道は左にカーブし真昼岳とは異なる方角に進んでいるような気がした。文献※1では兎平分岐点で右折とあるので道を違えたかも知れないと思い兎平分岐点まで引き返し兎平方面に進む。裸地化した斜面を上ると平坦な台地に出て兎平山頂(標高867m)の標柱が立っている。晴れていれば360度の展望があり場所も広いので絶好の休憩場所であろう。レンゲツツジでオレンジ色に染まる兎平山腹が見えるが遠望はガスで効かない。結局、小生は寄り道をしてしまったが兎平山頂に立つことができ良かったと思うことにしたい。再び兎平分岐点に下りお花畑を通り抜ける。少し樹林帯を通過するともう一つの兎平分岐に着いた。こちらが文献※1記載の兎平分岐である。ここは十字分岐となっていて北・真昼岳、南・女神岳、西・秋田県千畑町善知鳥、東・岩手県西和賀町への道が分岐する。
 真昼岳方面に進むと草原の中の道となる。西側の秋田方面の展望が良く平野に広がる水田が見える。ツルアジサイ、スズメノヤリが咲く。その後、樹林帯に入り上りが続く。ガスがかかり目標とする山頂が見えないが思ったより遠くにありそうだ。イチイが点在する。ツクバネウツギは咲きカラマツソウはつぼみである。いつの間にか森林限界を超えたようだがガスで白一色の世界だ。風が強い。道沿いにゴゼンタチバナ、マルバシモツケ、コバイケイソウ、イワカガミが咲く。左側(秋田側)が切れ落ちている草付きの急斜面を登る。笹藪の中に入ると次第に雨が強くなってきた。突然、目の前が開け山頂広場に出た。同時に雨も激しく降り出した。山頂にある三輪神社の中に逃げ込もうとしたら引き戸が開き中から先着の登山客が顔を出した。雨音に驚いて外の様子を窺うつもりだったようだ。
 お互い挨拶をしたあと中に入れてもらう。中央にコンクリートの床、左右にベンチ、奥に祭壇がある。先着の登山客は男性2名。雨は予想していなかったらしく軽装である。秋田県側から登ってきたとのこと。小生は岩手県側から来たと話すと、そっちからも登れるのかと驚いていた。神社に賽銭を投げ無事を祈願する。雨が小降りになったので先客は先に下山。小生も昼食を早めに終え下山する。
 兎平まで往路を戻る。途中6〜7名のグループと擦れ違う。兎平の十字分岐は直進し女神岳に向かう。道の状態が心配だったが女神岳まで藪漕ぎもなく支障無く通行できた。兎平の十字分岐から暫くの間は草原で所々裸地となっている。アズマキク、イワオウギが咲く。やがてブナ林に変わり上り坂が続く。道沿いにオククルマムグラが咲く。次第に木々の樹高が低くなり西側の展望が開けている場所に出る。山頂はこの先左に分岐する道に入った所にあった。山頂は広いが周囲は低木で囲まれている。弱い雨が降っているので立ったまま短い休憩をとる。
 白糸の滝方面に下山する。カエデ類の多い斜面を下ると丁字路に突き当たる。道標は見当たらないが左・直登コース、右・県境コースと思われる。当初から予定していた県境コースに進む。ガスがかかり幻想的な雰囲気のブナ林の中、緩いアップダウンを繰り返しながら次第に高度を下げていく。次第に高木が多くなるとブナ見平に着いた。ブナ見平と記された板が木に結びつけられている。
 さらに登山道を下っていくと下前川の上流の沢沿いの道となる。登山道と沢の出合地点に二筋の滝が流れ落ちる。ここから少々上流に進むと降る滝に至るようだが道標が見当たらなかったので見過ごしてしまった。直登コース分岐を過ぎ白糸の滝を見下ろす場所に出る。少し進むと遊歩道があるので滝の直下まで下り写真を撮った。
 登山口の駐車場に出た。登山カードに下山報告を記入する。車が一台止めてあったので小生以外にもう一組の方が来ているようだ。案内板を見ると幾つかの滝や神社を巡る遊歩道があることを知る。あとはひたすら林道を歩く。沿道にツクバネウツギ、ムシカリが咲く。後方から車(駐車場にあった車で夫婦が乗車していた)が来た。ご厚意に甘え乗せていただくことにした。今日の天候では女神岳登山者は小生を含めこの3名のみであろう。常識に従い単独よりも3人一緒に行動した方が良いと判断した。尚、この夫婦は横浜からブナ林を見に来たとのこと。
 県道1号の交差点(近くに清水ヶ野バス停がある)で降ろしてもらい、まだバスの時刻まで間があるので湯本温泉まで歩く。湯本温泉バス停近くの休憩所で温泉の湯を飲みながらバスを待った。ほっとゆだ駅前でバスを降り駅に入るが地震で列車が途中駅で止まっているとのこと。運行再開まで時間がかかりそうなので駅舎に隣接する温泉で入浴することにした。
 横手から列車が発車したとの放送が流れた。駅長からも「あと、○○分で列車が来ます。私は帰りますので。」と言われた。今日小生は地震を感じなかったのでどこか遠方の地震の影響だろうと思っていた。列車に乗車し携帯電話で地震情報を見ると小生の住む奥州市で大地震があったことを知り驚いた。知人からも安否確認のメールが届いていた。北上駅で接続する東北線の電車も大幅に遅れていて1時間ほど待合室で待った。何とか帰ることができたし自宅の被害もなかったのは幸いだった。真昼岳三輪神社の御利益と思いたい。

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行


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