中山峠

花巻市
標高: 832m
JR花巻駅前から岩手県交通バス鉛温泉行に乗車、終点新鉛温泉で下車

【写真】中山峠(峠頂上へは右の細道を上る)

2009年10月11日

 808 JR水沢
 835〜850 JR花巻→バス乗換(料金750)
 923 新鉛温泉バス停
1107 出羽沢林道入口
1145 登山口
1252 大空滝直下
1340〜1400 中山峠
1437 大空滝展望地
1518 登山口
1541 水土里ネット豊沢川の森(休憩)
1600 出羽沢林道入口
1644 豊沢平和郷跡碑前駐車場
1705 豊沢ダム
1726〜1730 新鉛温泉バス停
1803〜1857 JR花巻
1924 JR水沢

 今回の目的地は中山峠。登山口は花巻市の新鉛温泉から県道12号を西和賀方面に進み約10km。路線バスの終点新鉛温泉から歩き始めると車道歩きが長い。幸い昨年駒頭山に登ったとき県道12号の新鉛温泉〜出羽沢林道入口を歩いたので道路状況や所要時間が把握できている。登山口は出羽沢林道入口からさらに西へ3km弱、さらに登山道自体は旧車道跡との事で登山と言うより長距離ウォーキングになりそうだ。秋も深まり体を動かすには良い季節になったことだし何とか歩き通せるのではないかと考えた。また小生は中学校時代の夏の学校行事として豊沢湖近くの野外活動センターで一泊したことがある。この時、今回訪れる大空滝までハイキングしたような気がする。過去の記憶をたどる旅でもある。
 予定通り新鉛温泉バス停で下車し歩き始める。豊沢ダム湖の北側を抜ける地点が上り勾配なのでややきついところだ。沿道にオトコエシ、ナギナタコウジュが多い。ヤマウルシ、ヤマザクラが紅葉している。時折2、3台の車が通過するがある時点から全く通過車両が無くなった。立派な県道を静寂の中、歩く。不思議な感じがするが気持ちがよい。日常生活を喧噪の中で過ごしているのがよく分かる。
 旧野外活動センター、出羽沢林道入口を過ぎると一直線の上り勾配となる。中山1号橋、中山2号橋・・・と橋が連続し右手に旧道が並行する。旧道は中山1号トンネルの上を通っているのが見える。中山1号トンネルを抜けると県道北側に広い駐車場と中山峠までの地図入り案内板がある。それによると大空滝展望地3.4km、ブナ原生林5.7km、中山峠6.2kmとある。駐車車両は6〜7台。時期的にキノコ採りだろう。
 中山峠への道は駐車場の中山1号トンネル寄りにある。入口にバリケードがあり路肩が崩れているため車両は通行止め、歩行者は通行可能との表示がある。未舗装の道を上るとすぐに丁字路(旧車道)に突き当たるので左折。道幅は1.5〜2m位。下草も無く歩行には全く支障がない。緩やかな坂を上っていく。右手山側に石垣がありかつての車道の名残を感じる。
 道沿いのコアカソが長い花穂を垂れている。樹木は最初からブナが優勢である。クロベも少し混じる。左手斜面はテンニンソウの大群落となっている。先日の台風の影響で路上には枝葉が散乱している。まだまだ現役で使えそうなガードレール、カーブミラーが連続する。途中から舗装道路に変わり普通の車道を歩いているような感じになる。カーブの連続する幅員が狭い道はちょっと昔にタイムスリップしたようで郷愁を感じる。
 大空滝展望地に着く。ちょうど滝の落下する部分だけ樹林帯の切れ間があり路上から滝の全貌を眺めることができる。滝の直下まで細道が続いているので入ってみた。ジグザグに道を下っていく。沢に近づくとロープがある。この付近は岩場になっていて誤って足を滑らすと沢が流れる谷底に転落である。滝の直下は水量が少なかったせいか飛び石で容易に対岸に渡ることができた。しかし目の前の最前段の滝で後段の滝が隠れてしまうので迫力は今ひとつと感じる。
 道路に戻り中山峠に向かう。大空滝から中山峠までは未舗装区間となる。大空滝の上流にもう一段滝があるのが見える。道を遮るブナの倒木が2箇所あり。滝の上流の沢に沿って道は続く。最初は深い谷底を流れていた沢であるが次第に道との高度差が小さくなり最後には道のすぐ脇を流れるようになった。幾つもの小沢が合流する。空が広くなり峠の稜線が近づいてきたと感じる。道路はどこまでも忠実に地形図の等高線をなぞる。ヘアピンカープで今まで並行してきた大空滝上流の沢を橋で横断した。
 やがて平坦な地形となる。一帯はブナ原生林と呼ばれる場所である。登山口から常に左手が谷だったので森の雰囲気は一変した。旧車道沿いにこのような落ち着いたブナ林が残っていたとは予想外であった。今回は旧車道の遺跡巡りでそれ以上得るものは無さそうと思っていたが得るものは多かった。
 中山峠に到着。周囲は草木で囲まれ展望はない。道標があり、中山峠頂上4分、と矢印で方向が記されている。道標に従い峠頂上に向かう。ササが刈払われた道を上っていくとその頂上に到達した。特に案内板は無い。東側斜面が刈払われている。展望は西側が比較的良く樹木の隙間越しに和賀山塊が見えた。中山峠から沢内方面に道は続いているが相当な悪路だ。草木が生い茂り一般的な登山道を通行するよりも困難を極めると思う。
 帰路も往路をたどる。県道沿いに点在する小公園で適度に休憩を取る。それらに立つ石碑を読むとダム湖に沈んだ集落の歴史の勉強になる。日没で薄暗くなった頃、新鉛温泉バス停に着いた。

参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行


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