鬼ヶ瀬山

岩手県盛岡市
標高724.0m
JR日詰駅から県交通バス長岡経由盛岡バスセンター行乙部下車

【写真】鬼ヶ瀬山山頂

2008年10月13日
 808 JR水沢
 849〜900 JR日詰、県交通バス日詰営業所
 924 乙部
 955 朝島山コース入口
1036 黒森山重石コース(元山抗跡)入口
1102 林道が未舗装になる地点
1216 登山口・ミニ公園分岐
1228 登山口
1306 鬼ヶ瀬山山頂
1325 勘六岩まで800m地点
1408 登山口
1520 林道が未舗装になる地点
1544〜1615 黒森山重石コース(元山抗跡)入口
1645 龍源寺シダレカツラ国指定天然記念物
1658 朝島山コース入口
1730〜1743 乙部
1814〜1840 JR日詰
1924 JR水沢

 乙部三山のうち昨年は朝島山、先月は黒森山に登頂した。残る未踏峰は鬼ヶ瀬山である。世間は土・日・体育の日と続く三連休だが体調を崩し何とか三連休の最終日に回復傾向に転じた。盛岡近郊の気軽なハイキングコースということもあり病み上がりの足慣らしには適当な山であろうと考え出発する。
 JR日詰駅で下車。駅前の通りを東に向かって進む。300m程で岩手県交通バスの日詰営業所に着く。9時発のバスは2系統ありどちらも盛岡行きであるが経路(川久保経由・長岡経由)が異なる。いつもは川久保経由・長岡経由の順に2台バスが直列に並んで待合所前に停車しているのだが本日は川久保経由しか停車していない。9時になってベルが鳴り川久保経由が発車した。長岡経由はもしかして祝日運行はしていないのかと不安になる。しばらくしてから長岡経由が車庫から出てきたので乗車した。このバスは次の停留所(国道4号の交差点)で先行する川久保経由に追いついた。バスは紫波町の中心市街地を一回りした後、北上川を渡り国道456号を北上する。今日は良く晴れ渡り車窓から乙部三山がくっきりと見えた。目指す鬼ヶ瀬山も案外近いところにあるように感じた。
 乙部バス停で下車。バス停脇の交差点から県道208号を東に進む。黒森山重石コース・元山抗跡の分岐まで約1時間、ここから先は車道の道幅が狭くなり登り勾配となる。リンゴ畑の中に民家が点在する。最後の民家前を過ぎると未舗装の林道に変わる。
 ヒトツバテンナンショウ、ミズヒキ、リンドウ、オオカニコウモリ、ノコンギク等を見ながら林道を上っていくと右手に北上平野の展望が広がる。間もなく標高550m付近の峠を越える。峠には小祠があった。峠を越えると長い下り坂となる。
 突然目の前が開け建設機械で平坦に整地された場所(ダムの工事現場と思われる)に出る。ここで道が左、直進、右に分岐するが分岐点に鬼ヶ瀬山を示す道標が立っていた。道標に従いここで左折する。直進方向は片側1車線の立派な舗装道路である。ここまで来るのに予定よりも時間をオーバーしている。峠越えで体力を使ってしまったようだ。未舗装の林道は再び上り坂となる。沿道のヌルデが紅葉している。しばらく進むと道が二手に分かれる。右:鬼ヶ瀬ミニ公園、左:登山口を示す道標がある。道標に従い左の道を進むと間もなく登山口に到達した。周囲は広場になっていて車10台は停められそうなスペースがある。
 熊除け用のラジオのスイッチを入れると高校野球東北大会準決勝の実況が流れた。第1試合は花巻東、第2試合は一関学院と2試合に岩手勢が出場する。ちょうど第1試合終盤で花巻東が本塁打で点差を詰めたところだった。身支度を整え登山道に入る。アブラチャン、ウダイカンバ、ミツバウツギ、ミズナラ、道脇に咲くオヤマボクチ。道は下草に覆われている場所がある。やや頼りない踏み跡をたどりながら上っていく。途中右手に岩塊が連なる地点が文献※1記載の屏風岩入口である。屏風岩本体へ到達するにはどこかで分岐する道があるようだが小生は気が付かず通り過ぎた。
 一直線の急勾配を上ると山頂に連なる稜線に出た。南面は笹原で紫波・矢巾方面の展望が良い。道は平坦になる。腰くらいの背丈のササの中を進む。時々モミジイチゴのトゲが足に引っかかる。稜線は東西に続いているが山頂は稜線の南側に突き出た岩場の上にあり2,3人が座れる程の広さである。山頂の周りの樹木としてハナヒリノキ、クロモジ、ガマズミ、アカマツ、ウリハダカエデ、ツツジなどが観察できた。
 文献※1によればさらに西に進むと展望地があるとのこと。ついでに寄ってみることにした。しかし数カ所の岩塊の脇を通り稜線の東端に到達したがそれらしき場所は見当たらない。周囲の樹木が生長したため展望が得られなくなったのかも知れない。その代わり「勘六岩800m→」と記された道標があった。矢印の示す方向に下るとすぐに道が不明瞭になった。右手に高さ10m位の岩塊が連なっていてその脇を進むのかそれとも別の方向に進むのか迷う。結局、時間的・体力的に無理と判断し引き返すことにした。朝島山=立岩神社、黒森山=黒森大権現、鬼ヶ瀬山=屏風岩・勘六岩。乙部三山の各山に大岩があり信仰の対象となっている。鉱山跡も多く共通点が多い。
 帰路は往路を引き返す。下山時の方が踏み跡がわかりやすい。気分的に余裕ができ周囲の景色を楽しみながら下る。登山道から林道歩きに変わる。高校野球のラジオを聞き続けているが第1試合の花巻東は敗退。第2試合の一関学院は先取点を取ったものの拙攻が続く。とうとう9回に相手に追いつかれ延長戦に突入した。一関学院のちぐはぐな攻めに対し相手はマイペースで堅実な野球をやっている。胃が痛くなるような試合だ。とにかく早くどちらでもいいから決着が付いて欲しい。
 県道208号の黒森山重石コース・元山抗跡の分岐付近に小公園があるのでラジオを聴きながらベンチに座って休憩する。なかなか決着が着かない野球中継から岩手競馬中継に周波数を切り替えた。メインレースは南部杯(jpn1)。昨日前売りを買い楽しみにしていたのだ。レースは武豊騎手が意表を突く好騎乗(2着)。レース自体は楽しめたが小生の回収率はゼロ。再び野球中継を聴く。花巻東、岩手競馬と敗退が続き一関学院も駄目かと思ったがタイムリーエラーで一関学院がサヨナラ勝ち。今までもやもやしていた気分がやっと晴れた。
 途中、国の天然記念物龍源寺のシダレカツラを見学した。樹齢170年。大迫内川目で発見されこの場所に移植。寺の用材として使われた後、萌芽したのが現在の木である。挿し木で増やす。全国で見かけるシダレカツラの原木である。
 乙部バス停に着いたときは日没ですっかり暗くなった。日詰行きバスに乗車し帰路に着いた。

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行


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