男助山(おすけやま)

岩手県雫石町
標高758.4m
JR盛岡駅前から岩手県交通バス鶯宿温泉行き終点下車

【写真】男助山山頂

2009年5月4日
 616 JR水沢
 722〜735 JR盛岡→県交通バスに乗換
 824 鶯宿温泉バス停
 847 逢滝
 910 切留橋
 947 男助林道登山口
1020 大岩
1044〜1100 男助山山頂
1108 山頂分岐(男助山第1登山口0.9km, 鶯宿温泉2.6km)
1129 標高494mピーク
1148〜1240 峠坂前峰で休憩
1342 鶯宿温泉登山口
1355〜1410 鶯宿温泉バス停
1434 盛岡手づくり村前

 男助山は文献※1によると典型的な里山とある。延々と続く植林地、展望のない山頂が予想され一般的には敬遠したくなるが春まだ浅い時期なら山野草、山菜で気晴らしも可能と考えた。標高は700mを超えるので今年初めての本格的登山となった。
 盛岡駅前から鶯宿温泉行きのバスに乗車し終点で下車。鶯宿温泉に訪れたのは初めてである。温泉街の狭い通りを歩き始める。5分ほど進むと川沿いの小公園に足湯があったので帰りに寄るにはちょうど良い。大小の旅館が軒を並べ玄関先では女中さんが出迎えをしている。連休の行楽客で賑わっている中、小生だけ場違いな格好で歩いている。
 温泉街を抜け湯滝橋から逢滝の間はカタクリの路と名付けられている。ウグイスの声を聞きながら車道西側の日当たりの良い斜面を注目して進む。既にカタクリの花期は終わりだがキクザキイチリンソウ、アズマイチゲの花は少し残っている。タチツボスミレ、ニリンソウが群落を形成して満開状態。ミチノクエンゴサク、アマナ、エンレイソウ、ナツトウダイ、オクノカンスゲが点在する。
 逢滝を過ぎるとしばらく開けた水田地帯を通る。切留集落手前で左折。切留橋を渡り未舗装の男助林道に入ると沿道の土手や林の中のカタクリ、キクザキイチリンソウが見頃だった。林道を進み約40分で峠に着く。男助林道はここから先は下りとなる。峠から南西方向に別の林道が分岐している。この峠の東側斜面に登山口の道標があった。林道開削の切り通し急斜面を上ると登山道が続いている。
 ブナ、アカマツ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、コナラ、リョウブ、ガマズミ、エゾユズリハが混在する。マイヅルソウ、オクモミジハグマが林床を埋める。次第に勾配がきつくなり一直線の登りとなる。ロープを頼りに進む。ムラサキヤシオ、ヤマツツジ、コヨウラクツツジが咲く。次第に息切れしてくるが急斜面登山道に咲くフデリンドウに元気づけられながら大岩に到達した。ヤブレガサの葉が展開している。
 ここから先は蛇行しながらの上りとなる。路上にタチツボスミレが咲く。露岩帯を過ぎ山頂域となるがササが茂り道が判然としない。直径1m程の洞穴(何のために掘られたのか不明)の脇を通過後は平坦な地形となる。ササをかき分けながら進むと間もなく山頂に到達した。十畳ほどの広場になっている。芽出し前のブナ、ミズナラの細木に囲まれ展望はない。
 山頂を示す標柱に登山コースの簡単な案内地図が貼り付けられている。この地図によると小生が上ってきた男助林道コースは未整備のため通行禁止とある。山頂広場の南側にローブが張られているのはそのためであろう。山頂から北に延びるコースは途中で二手に分岐しケッパレランドまたは鶯宿温泉に至るとの事。文献※1に記載の無いコースだが林道を迂回することなく直接鶯宿温泉に下るコースは小生にとって都合が良い。少し休憩後このコースに下山することにした。
 山頂北側斜面にはキクザキイチリンソウの花が残る。下っていくと山頂分岐に着いた。ここがコース唯一の展望がある場所で麓のゴルフ場、御所湖、箱ヶ森方面の山々が一望できる。分岐から東方向がケッパレランド(男助山第1登山口)、西方向が鶯宿温泉に下る道となる。鶯宿温泉まで2.6kmと道標にある。順調に下れば1時間後のバスに間に合いそうだ。
 こちらも一直線のコースでどんどん下る。道は男助林道コースよりも広い。ムシカリ、タムシバが咲く。常緑樹のクロベが点在する。イワウチワの群落はほとんど花が落ちている。この調子で下って行けば早く温泉に着きそうだ、と思ったが予想に反して上り斜面になり前方に立ちはだかるピークを越えなければなさそうだ。このピークをやり過ごしさえすればと思い、残った体力を使ってピークを目指す。
 地形図上で標高494mと思われるピークに達したが温泉街は見えず鞍部を隔て一層高いピークが前方に現れがっくりした。これは予想外だった。どうやらこの先も難コースのようだ。近くの木にアオゲラが止まったので観察のため一休み。目標としていたバス時刻に下山するのはあきらめゆとりをもって進むことにした。
 クロモジ、ムラサキヤシオの咲く道を進み次のピーク(峠坂の前衛峰)に到達。ここでビニルござを拡げ寝ころんで休憩。久々に山中でブナ林に囲まれ昼寝するのは気持ちがよい。
 次のピークに峠坂(鶯宿温泉まで1km、地形図上で標高537mのピークと思われる)と記された道標が立つ。ここで道が右に直角に折れ一気に下る。ツクバネソウ、イワウチワ群落(花期終わり)をはじめとしてツルシキミ、エゾユズリハが林床に広がる。北側斜面のイワウチワにはまだ花が残っている。もう少し早い時期に訪れればイワウチワの花畑が広がっていたのだろう。
 ウグイス坂(鶯宿温泉まで0.4km)の道標がある所からつづら折りの下り坂となる。ヒノキアスナロが多い。登山口付近はスギ林に変わる。ヒトリシズカ、スミレサイシンが咲く。登山口は長栄館という大旅館の裏の車道沿いだった。登山口にある登山者ノートに記帳した。周囲は花壇になっている。
 バス停に向かう。長栄館の女中さん達とすれ違った時、あいさつされた。バス停でバスを待っているとタオル持参で近くの建物(鶯宿温泉観光協会)に出入りしている人を見かけた。ここは共同温泉浴場だった。しかし間もなくバスが発車するので温泉は見送りバスに乗車した。好印象を残し鶯宿温泉、男助山を後にした。

参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行


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