堺ノ神岳

岩手県岩泉町・宮古市
標高1319.0m
JR岩手大川駅から岩泉町民バス大川・釜津田線に乗車し川崎口バス停下車
JR岩手和井内駅
JR宮古駅前から岩手県北バス和井内行きに乗車し和井内バス停下車

【写真】堺ノ神岳山頂から明神平、上松森、害鷹森

2008年10月24日
1349 JR水沢
1455〜1535 JR盛岡(106急行バス乗換)
1720 茂市バス停〜湯ったり館泊

2008年10月25日
 630 湯ったり館発
 701 JR茂市
 736〜737 JR岩手大川
 749 川崎口バス停
 805 川崎林道入口
 907 林道左カーブ地点(標高790m)
 927 林道右カーブ地点(標高910m)
1002 林道Y字分岐点、右に入る(標高960m)
1016 登山口
1050 小草地広場で左折
1058 草地広場
1106 十字分岐
1117 赤鳥居
1120〜1135 堺ノ神岳山頂
1145 道標(直進明神平、右折冷水経由大川)
1215 林道丁字路左折、和井内牧野へ
1306 和井内放牧場管理棟(標高980m)
1410 休憩・リンドウ
1431 林道右カーブ(標高620m)
1502 林道出口、安庭沢
1528 橋
1534 牧之野橋
1558 猿舞橋
1559 安庭橋
1605 丁字路(アニアの沢)
1610〜1620 和井内バス停
1641〜1731 茂市バス停
1917 JR盛岡(接続待ちのため5分遅れて発車)
2024 JR水沢

 文献※1記載の山のうち岩泉町内または町境にある山は宇霊羅山、堺ノ神岳、安家森、遠島山である。この内まず最初に登ったのは今年5月の宇霊羅山である。このとき岩泉駅で町民バスの時刻表を入手した。その後、この時刻表を眺めながら町民バスを利用して登れそうな山がないか検討したところ堺ノ神岳が浮上した。ローカル路線バスは年々廃止・減便される傾向にあるので登山を実行するのは今年中でなければならないと思っていた。しかしそう思いつつ日々が過ぎる。時間と費用的に効率の良い案が浮かばない。とうとう10月最後の週末が近づいてきた。11月の休日は全て予定があるので堺ノ神岳登山に出かけるのはこの週末しかなさそうだ。予定では茂市に前泊、翌朝JR茂市から岩泉線に乗車しJR岩手大川で町民バスに乗り換え、川崎口バス停から川崎林道経由で山頂に到達するつもりである。
 出発当日の朝、茂市駅前の旅館に電話したら廃業とのこと。次に茂市駅から1kmほどの所にある湯ったり館に電話したところ幸いにも予約できた。湯ったり館は日帰り温泉施設だが宿泊も可能である。
 盛岡駅前から106急行バスに乗車する。天候は雨。車窓から見える景色は既に薄暗い。茂市バス停で下車し国道106号を盛岡方面に歩く。湯ったり館への道順を示す大きな案内板がある丁字路で左折し閉伊川に架かる橋を渡る。坂道を上ると湯ったり館に着く。フロントで自分の名前を告げると二階の部屋まで案内された。まず大広間で夕食を摂ることにした。お膳に八皿ほどの料理は翌日の山歩きの栄養補給としてはかなり豪華である。その後湯船につかり日頃の疲れを癒した。
 湯ったり館の朝食は7時からだが6時半に出発予定なので翌日は寝室で持参したおにぎりを食べ朝食とした。予定の時刻に出発。JR茂市駅まで歩き窓口で岩手大川までの乗車券を買いホームに出た。ちょうどこの時刻は岩泉線と山田線の列車が発着し相互に接続する。岩泉線の一両編成の列車は駅改札から出た所のホームに到着した。この列車は茂市駅で折り返し岩泉に向かう。十数名の学生が下車し山田線に乗り換えた。その後に小生が乗り込む。定刻に発車。乗車しているのは運転手、車掌、そして乗客は小生のみ。岩手和井内駅でやっと1名(この方は和井内駅のホームで写真を撮っていた)が乗車した。次の押角駅を過ぎるとトンネルが連続し列車は奥深い山中を通り抜ける。
 岩手大川駅に到着。ここから学生がどっと乗車する。下車したのは小生のみ。車掌に乗車券を渡し駅前に待機している町民バスに乗り換える。このバスは県北バスのバスカードが使用できる。たまたま昨日盛岡駅前でバスカードを購入していたのでそのカードをカードリーダーに通し乗車した。バスは県道171号を西に進む。大川に沿って細長く集落が続く。大滝、七滝という名所を過ぎると道幅が狭くなり対面通行のときはどちらかの車両が待機する。
 終点の川崎口バス停で下車。県道から南に分岐する道に入る。すぐ大川に架かる橋を渡る。川崎集落の道幅が狭い舗装道を進んでいると後から大型トラックが迫ってきたので追い越してもらうように道端で待機しているとトラックは小生の前で停車した。「カブトまで行くのか。乗って行かないか。」堺ノ神岳は地元ではカプトと呼ばれているようである。小生はまだ歩き始めたばかりなので遠慮することにした。しばらく進むと未舗装の川崎林道が右手に分岐する。林道入口に堺ノ神岳の標識もあるので迷うことなく林道に入る。
 林道は車1台分の道幅で対向車擦れ違い用の待避場所は多くない。道路状況からあまり車は入ってこないと感じたのだが予想に反して大型車のみ10数台上ってきた。林道の先にある牧場から牧草を運搬する車両のようだ。追い越されるとき「カブトまで行くのか。」と数回声を掛けられた。標高600m付近の峠を過ぎると道は平坦で直線状になる。沿道の紅葉を眺めながら気楽に歩けるところだ。アカシデ、ヤマモミジ、ウダイカンバ、ウリハダカエデ、ハリギリなど。右手に小屋池部沢の谷が次第に迫り源頭部付近では林道と沢が並行するようになる。ここで林道は左に大きくカーブし進路を北に向け山腹を切り通した斜面の上りとなる。林道は山腹を回り込んで再び進路を南に向ける。沿道はカラマツ植林地の間にシラカバ、ブナが混じり下草はササに変わる。しかしここまで来ると広葉樹は全て落葉していた。今度は大型車がどんどん下ってくる。また同じ運転手に声を掛けられた。
 前方(南)には堺ノ神岳の北にある標高1269m峰とその左(東)の1206m峰(西面が牧草地になっている)の二つのピークが並んで見える。地形図上では大野沢の源頭部から登山道が分岐しているようだがその手がかりはなくさらに林道を進むとY字分岐となる。この地点に「堺ノ神岳→」と「川崎林道・起点から6.8km・兜森牧野入口」の標識が立っている。標識に従い右の道に入る。沿道は林道開設時に植林したと思われるヤシャブシ、ヤマハンノキが多くなる。スイッチパック式に上りしばらく進むと林道右手に登山口の標柱があった。
 登山道に入ると一帯は落葉したブナ林である。厚く堆積したブナの落ち葉の上を歩く。途中、道が左右に分岐するが左は牧草地に入るようなので右に進んだ。二、三度折り返しながら上ると平坦な直線道となる。沿道のブナは次第に矮小化してくる。道の左側は溝になっていて雨水が流れている。しばらく進むとちょっとした草地広場に出る。道標に従いここで左折する。この広場の中央に大きなダケカンバが1本ありその脇に別の標柱が立っているのだが文字が消失していて判別できなかった。
 背丈ほどのササの中を抜ける。この辺りからダケカンバが優勢になる。突然視界が開け広い草地広場に出た。枯れかけたヤマハハコが残っている。いわゆる、かぬか平であろう。ここまで来ると長い林道歩きが報われたと感じる。今日の登山者は小生のみ。広場を独占でのんびりと昼寝したい場所だ。その後数カ所の小草地広場を通過し道標の立つ十字分岐点に出た。直進山頂700m、右・冷水経由明神平800mとある。直進すると前方にピラミッド型の岩塊が見える。カプトと呼ぶにふさわしい山頂の容姿である。山頂直下の赤鳥居をくぐり5分ほど岩場を登っていくと山頂に到達した。
 山頂は360°の展望があり特に南面の害鷹森、その奥の早池峰山が良く見える。帰路に通る予定の和井内コースの道も確認できた。風は冷たいが弱風なので心地よい。帰路は和井内コースを下る。赤鳥居から大川コースを示す標柱はあるのだが和井内コースについての案内は見当たらない。赤鳥居を出て左に下るコースに入る。背丈ほどのササの中で足下が見えない。抜け出たところに道標が立っていた。直進明神平、右折冷水経由大川とある。直進すると草地広場に入りダケカンバ、イボタノキ、ヒロハヘビノボラズが点在する。この辺りが明神平と思われる。進むうちにカラマツの幼木が目立ち始め登山道は林道に変わった。
 黄葉したカラマツ林の林道を下ると丁字路に突き当たる。ここで左折し和井内牧野に向かう。二つの牧野を通過するがどちらも放牧はされていない。牧野からの展望は良くしばしば足を止めて写真を撮った。二つ目の牧野の管理棟前で休憩を取った。ここから先の林道は路肩が崩れているため車両通行止めとなっている。
 雑木林の中、林道を下る。再び紅葉が楽しめるようになった。道端にオヤマボクチ、ナンブアザミ、リンドウが咲く。林道の終盤はつづら折りの道で安庭沢の谷に下る。最後は丁字路に突き当たり林道の終点となる。この場所に金鶏山鉱泉2.5kと記された古い看板と林道通行止めの表示がある。
 少し休憩した後、舗装道を東に進む。安庭沢渓谷の紅葉を眺めながらゆっくりと歩いていたが途中からバスの時刻に間に合わせるため早足で歩く。岩泉線の鉄橋をくぐり刈谷川に架かる橋を渡ると国道340号に出るがその交差点に和井内バス停があった。バスの時刻には10分程早く着いた。茂市バス停で106急行バスに乗り換え盛岡に向かう。盛岡駅では接続待ちのため発車が遅れていた列車に間に合った。

参考文献・サイト
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行
※2「http://www5b.biglobe.ne.jp/~yattyann/yattyann.htm」


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