束稲山

岩手県前沢町・平泉町
標高595.7m
JR東北本線前沢駅

バス時刻(東磐交通)
前沢駅→猊鼻渓 850
赤生津→ジャスコ前沢 1555

2001年5月4日
 912 JR水沢
 921 JR前沢
 948 赤生津橋
1003 才田
1021 月山神社(里宮)
1042 月山神社(奥の院)
1120 経塚山展望台
1129 経塚山頂
1141 平泉荘前
1150 啼月の碑
1200〜1237 束稲山頂
1257 風力発電所
1318 経塚山展望台
1338〜1355 キャンプ場
1502〜1514 JR前沢
1524 JR水沢

 久し振りに束稲山に登ろうと思った。束稲山は山頂まで車道があるので,今や登山の対象となるような山とは言えないかも知れない。しかし,小生が小学生時代,遠足で前沢駅から山頂まで往復したことがある。今から考えるとよくそんな長距離を歩き通したと思う。当時の遠足コースは県道237号をそのままたどるもので,車が少ない時代は素朴な道を歩く程良いハイキングコースであった。それから30年近くが過ぎ去った今,もう一度同じコースを歩いてみようと思った。
 JR前沢で電車を降りる。駅のすぐ南の跨線橋を渡り赤生津橋に向かう。雄大な北上川の上に架かる赤生津橋からは,残雪の栗駒山の眺めがよい。橋を渡り突き当たりの丁字路で右折する(南へ向かう)。東磐交通の才田バス停が立っているところで左折(東に向かう)し県道237号の坂道を一直線に上る。道の両側は松林である。途中で東北自然歩道と合流する。しばらくすると県道の右手に月山神社の里宮がある。ここで,参拝し一息いれた。
 この先県道を歩き通すのは交通安全に注意が必要で神経が疲れので,東北自然歩道を経由し経塚山から束稲山を目指すことにした。里宮から県道を上り二子・峠集落の交差点から200m先に右手に分岐する山道がある。自然歩道の道標も立っているのでわかりやすい。この山道をたどっていくと次第に道が細くなり草をかき分けながら進むようになるが15分くらいで月山神社の奥宮に着く。案内板には,奥宮の裏側に山伏が修験する大岩があると記されている。そこで立ち寄ってみることにした。奥宮の裏手に回ると細い道が続いていて目の前に高さが10mはあると思われる大岩が立ちはだかる。その大岩の脇をすり抜けると二つ目の大岩が現れる。さらにその先に進むと三つ目の大岩がありこの岩が前沢町内最大の岩であろう。この場所に修験者が寝泊まりする小屋があるが風雪のため入口の扉が外れていた。
 奥宮に隣接する女二子神社にも参拝した。神社前のキャンプ場からは遅咲きの桜と眼下の平泉方面の景色がよい。経塚山登山コースに入る。一帯は自然公園となっていて登山コースは胎内石コースと岩巡りコースの二つがあり,両コース間を連絡する道もある。当初は胎内石コースを進んだが前を歩く登山者がいたので途中から連絡道に入り岩巡りコースに合流した。上り詰めると経塚山頂の台地にある展望台の直下に出た。この一帯は経塚山名物のつつじが植えられている。経塚山頂は台地の奥の方にあり,盛り上がった岩場となっている。
 山頂には先客の男性一名がおり油絵を描いていた。眼下に展開する胆沢平野そのままの風景画である。邪魔にならないように静かに山頂に立った。しばらくすると画家が小生に気づいた。「びっくりした。熊が出てきたと思った。」と画家が言う。ここに熊が時々出没するとのことである。この絵はまだ平野に雪が残っている頃から書き始めたそうだが現在は田植えの時期で水田には水が張っており風景が一変している。この点を画家は苦労しているとのことである。
 再び展望台に戻りそこから東に尾根沿いに進むと県道に出る。前方に音羽山の風車が見える。国民宿舎平泉荘を過ぎると道の左手に束稲荒神(巨大な顔をした木彫り)がある。束稲荒神の道路を隔てた反対側に啼月の碑入口と書かれた小さな木柱があったのでそちらに寄ってみた。斜面を登っていくとちょっとした台地があり碑が立っていた。碑文は,
「芽木匂ふ 故山の前に襟正す」とある。
 同じ場所にもう一つ別の碑があった。巨大な岩に「束稲ゴールドライン開通記念」と刻まれている。束稲ゴールドラインとは懐かしい。今ではほとんど耳にすることがない名称である。また,束稲荒神の近くに廃墟となった建物があるがこれはかつての売店ではなかろうか。さらにこの付近の東斜面はスキー場だったそうで,まだリフトの残骸らしきものも残っていた。これらを見ると世の移り変わりの早さを感じる。
 束稲荒神の脇を通り山頂に向かう。30年前の遠足の時もこの道を通ったと記憶している。草木をかき分けながら進んでいくと無線の中継施設に着く。そこから先は車道をたどり山頂に到着した。山頂を取り囲むように放送局の中継施設が建ち並んでいる。施設の数は以前来たときよりもかなり多いと感じた。放送局の数も増えたし,施設の更新や増強もあったのだろう。そのため山頂からの展望は施設に遮られ期待したほどではなく残念だ。西面が一番見晴らしが良いのだが胆沢平野の下半分は音羽山の背後に隠れてしまっている。展望を楽しむなら経塚山の方がいいと思った。
 帰路,音羽山の風車(風力発電施設,三菱重工製)に寄った。風力発電で平泉荘の電力を賄っているとのこと。経塚山から岩巡りの道を下る。その名の通り大岩が次々に現れ驚いた。キャンプ場で休憩。月山神社里宮の旧参道を経由し無事に前沢駅に到着した。


参考:東北自然歩道・経塚山へのみち

inserted by FC2 system