物見山(種山)
岩手県奥州市、住田町、遠野市
標高870.6m
奥州市営バス米里重王堂線終点重王堂下車
【写真】ヤマハハコ咲く山頂草原
2010年8月7日
 755 JR水沢駅前(岩手県交通バス)
 815〜828 江刺病院(奥州市営バス乗換)
 912 重王堂
 915 古歌葉
1028 姥石峠
1105 監視小屋
1157〜1212 種山山頂
1219〜1300 東屋・休憩
1333 水辺の広場
1350 せせらぎ広場
1400 姥石峠
1425〜1500 休憩
1540〜1608 重王堂
1700〜1720 江刺バスセンター
1742 JR水沢駅前

 暑さが厳しい日々が続く。県内で最も暑いと思われる町は奥州市江刺区と思われる。夕方のニュースでその日の最高気温が報じられるが江刺が県内最高を記録する日が多いからだ。暑い日だからこそ暑い場所に行き今年の夏の思い出にしたい。それなら暑い江刺に行こうと決めた。目指す山は種山。標高は高くないので山頂でも暑いだろうと予想した。
 県立江刺病院でバスを乗り換える。病院前に並ぶ樹木ではミンミンゼミが盛んに鳴いている。朝なのにやはり江刺は暑い。しばらく待っていると重王堂行きの市営バスがやって来た。人首から乗客は小生1名だけになる。人首には数年前に訪れたことがあるがその先の木細工方面は何十年ぶりかに訪れることになった。本当に久しぶりである。終点の十王堂で下車し歩き始めるとバスの運転手に呼び止められた。「どこに行くのか」「種山まで」「それじゃ途中まで乗れ」ということで再び乗車した。バスは古歌葉の待機所まで走り小生はそこで下車した。
 このまま県道8号を進むと大きく迂回した後、種山トンネルに入るが徒歩では遠回りとなるので旧道を経由し姥石峠に向かいたい。しかしこの旧道は人首川を挟んで対岸の一段高い山裾を通っているのが見えた。古歌葉集落の狭い車道を歩き適当な橋でもないのかとうろうろするが持参の地形図によると近くに橋は無さそうだ。せっかくバスで上ってきた県道を600m程引き返し橋を渡って旧道に合流した。旧道入口にはバリケードが設置されていて車両は通行禁止となっていた。しかし舗装の状態が良く沿道の草刈りもされていて歩くのには特に問題は無い。時々現れる標識から送電線の管理に使用されている道と思われた。
 30分程進むと伐採現場に入る。本日は作業は休みで重機が数台山腹にあるのみ。良好な車道はここまでであった。いきなり道が狭くなりオオイタドリ、オオハンゴンソウなどの背丈の高い草が道の左右に生い茂る。ボタンヅル、トコロ、クズが絡みついている。路面のアスファルトにはコケが張り付き露で濡れた道は滑りやすい。徐々に廃道化しつつある。義経北行伝説の姥石峠に通じる道が消失してしまうのは惜しい。途中路肩が崩落している場所がありそこに沢が流れ込んでいて地盤も悪い。通行止めの原因はここだった。
 左手から車の通る音が聞こえ牧場の建物が見えてくると姥石峠は近い。星座の森方面の道との合流点が姥石峠である。姥石集落を過ぎ道の駅前から東北自然歩道に入る。林間の坂道を上る。路上にキツネノボタンが咲く。間もなく遊林ランドの駐車場脇に出る。そのまま直進し舗装道に出た所にコバギボウシが咲く。しばらく舗装道を上る。その後階段が続く遊歩道(東北自然歩道)に入る。沿道のシモツケを見ながら上る。カラマツ林を抜け監視小屋を過ぎるとブリューベルの広場と呼ばれる草原がある。ノアザミ、ノハラアザミ、ヨツバヒヨドリ、ウツボグサ、ホタルブクロ(白色)、ニガナ、ミヤコグサ、ツリガネニンジン、クサレダマ、ジギタリス(植栽であろう)が見られた。ヤマツツジ、レンゲツツジ、サラサドウダン、ツリバナなどもあり春に訪れても楽しめる場所だろう。
 山頂域の草原にはヤマハハコ、ウメバチソウ、ホツツジ、ツリガネニンジン、ミソハギ、クルマユリ、ヤマユリ、オトギリソウ、エゾノヨロイグサなど高原の花が咲く。夏枯草(ウツボグサが枯れ黒色に変色した物)も多い。昨年同時期に訪れた寺沢高原も同様の植物が見られたが種山の方が成長が遅いと思う。時折涼しい風が吹き当初予想していた暑さとは無縁の場所だった。ただし直射日光に当たり続けるのはつらいので山頂には長居せず少し下にある東屋まで移動し休憩した。持参した双眼鏡で自宅付近の建物が確認できた。
 しばらくベンチで横になりウグイスの声を聞きながら気持ちよく昼寝した。真夏の低山は訪れる人は少ないが本日も同様、往復の遊歩道、山頂で誰にも会わなかった。
 下山は水辺の広場コースとした。小生は初めてのコースである。レーダー基地に続く車道の入口はゲートで閉ざされているがその場所は十字路で東はレーダー基地、北は種山登山道、西は星座の森、南は遊歩道である。近くに立っている遊歩道案内図でコースを確認し遊歩道に入る。遊歩道はしばらく車道に並行し坂道を上る。途中、水辺の広場の道標があるので右折し下っていく。幾つかの小沢が遊歩道を横断する。沢沿いに実を付けたクリンソウが続いている。クサギが満開だ。
 水辺の広場で遊林ランドから上ってくる舗装道を横断する。休憩所、トイレなどがあり休憩にはいい場所だ。次はせせらぎ広場を目指す。遊歩道が各方面に分岐していて分かりづらいが水辺の広場の池沿いに下るとせせらぎ広場を示す道標があった。気仙川の支流、大股川の源流の沢に沿った道で数回徒渉箇所がある。広々とした平坦な草地のせせらぎ広場に着いた。出口にトイレがある。接続する車道を少しばかり進むと姥石集落に出た。
 姥石峠から旧道を引き返し重王堂でバスを待つ。次の火石バス停に金明水と呼ばれる湧き水があることを帰りのバスの車窓から知った。この地域には種山の自然、賢治、義経、坂上田村麻呂、人首丸の歴史や伝説があり興味を惹かれる。近いうちに再訪したいと思った。江刺市街地の六日町でバスを降りる。夏祭りの最中で露店が並ぶ通りを抜けバスセンターまで移動し水沢駅行きバスに乗り換えた。

参考文献
※1東北自然歩道 新・奥の細道 「種山高原のみち
※2「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行

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