田代山

岩手県八幡平市
標高945.4m
すーぱー遊〜湯号(盛岡〜二戸JRバス)繋沢バス停から徒歩

【写真】サン燦道入口から田代山を望む

2009年10月23日
 656 JR水沢
 748〜815 JR盛岡、大館行きバスに乗換(\920)
 906 安代バス停
 938 繋沢バス停
 957 繋沢集落県道ゲート
1009 新安比温泉分岐
1017 田代大橋
1036 林道交差点
1105 サン燦道入口
1130 サン燦道口
1153 三曲山
1212〜1225 三方沢山(サブジャヤマ)
1236 田代山
1247 稜線分岐
1255 駒木立
1308 稜線分岐
1310 セスナ機遭難碑
1330 牧場ゲート越える
1345 サン燦道入口
1410 林道入口
1424 田代大橋
1431 新安比温泉分岐
1438 繋沢集落県道ゲート
1455〜1458 繋沢バス停(\990)
1607〜1700 JR盛岡
1809 JR水沢

 2年前に七時雨山荘側から七時雨山に登った時、サン燦道入口から田代山に登山道が延びている事を知った。七時雨山と田代山の登山口はほとんど同じ場所にあり南に向かうと七時雨山、北に向かうと田代山である。遠方から来てどちらに登るかとなると普通は新日本百名山として知名度がある七時雨山の方であろう。岩手山を望むなら断然七時雨山の方が良い。一方、田代山については情報が乏しくそれ故に普通に考えて魅力は感じられなかった。それでも今回登ってみようと思ったのは文献※1に記載の山のうち田代山が未踏峰だったからという消極的な動機である。しかし実際に登ってみると標高1000m弱、森林限界を越える、常時良好な展望が望める、登山コースの稜線上に4山がある、というコースは県内の山ではなかなか見当たらなく貴重な山域だと思う。文献※2を参考に縦走計画を立てた。車道歩きが長いのでいつもより軽量の20リットルザックで出かける。
 盛岡駅前から大館行きの高速バス「みちのく」号に乗車し安代(テレトラック安代前)で下車。2年前七時雨山に登ったときと同じく国道282号→県道6号→県道30号と車道を歩く。天気は快晴。繋沢集落に入ると民家で飼っている犬に吠えられた。2年前と同じだ。新安比温泉方面に至る林道の分岐点には牧草地の中にヤマナラシとシラカバが美しく黄葉している。田代大橋を過ぎ牧草地を横断した後は車道両脇の樹木で展望は遮られる。早足で歩いてきたつもりだがサン燦道入口には2年前と変わらない時刻に着いた。
 県道脇に車5台ほどの駐車スペースがある。簡単な地図が描かれた案内プレートがあるが七時雨山コースのみで田代山については何の記載もない。田代山つつじサン燦道入口と記された道標のみが頼りである。この道標の先に続く道に入るとすぐに道が左右に分かれる。どちらも荒れた道であるが右の道が良さそうと判断した。背丈が伸びた牧草をかき分けながら進むが県道と並行し登っていく気配がない。間違っているのではないかと不安になり一旦サン燦道入口まで戻り今度は左の道に入った。薄暗い森の中を西の方に下る。道の上に送電線が通っているので麓から七時雨山荘に至る送電線の管理道と思われる。かなり荒れた道でほとんど人が踏み入れていないようだ。
 再びサン燦道入口に戻り再び右の道を進む。県道と並行する道ならそのまま進めばパラグライダー飛立場側の登山口に至るのでそちらから登るつもりである。しばらくすると鉄条網が道を横切っているのでその下をくぐり抜ける。途端に刈払いが行われた歩きやすい道に変わった。すぐに左に分岐する道があったのでそちらに入る。スイッチバック式に斜面を上るとアカマツ林の中に入った。ほとんどのアカマツにツルアジサイなどのツルが絡まっていて窮屈そうに見える。その他の樹木はダケカンバ、カマツカ、クワ、コマユミ、ヤマモミジ(黄葉)、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、クリ、クロモジなど。
 サン燦道口と記された道標がある丁字路で右折。この場所は文献※2では十字路となっていてサン燦道入口〜サン燦道口の間を直登する道があるとのことだが見つけることができなかった。丁字路から本格的な登りが始まる。アカマツは次第に矮小化、ヤマツツジが多くなる。やがてアカマツ林を抜け笹原に変わった。視界を遮るものが全く無くなり田代山、田代平高原、七時雨山を見渡すことができる。眼下の田代平高原で放牧されている牛の鳴き声が常に聞こえてくる。日当たりの良い道沿いにエゾリンドウ、リンドウ、ノハラアザミ、カワラマツバ、アカミノイヌツゲ、ノリウツギ、オヤマボクチ、ヤマハハコ、ヨツバヒヨドリ、ノコンギク。オカトラノオの葉は鮮やかに紅葉している。
 最初のピークは三曲山。天気が良く景色も良い。爽快な登りである。登山道の本線は三曲山のピークは通らず南面を巻いている。本線からピークに向かって分岐する道が2本あり最初の道は途中で灌木に阻まれたので引き返した。次の分岐の方は道の状態が良くほぼ一直線に登り詰めたところに三曲山の標柱が立っていた。東面には次の目標地となる三方沢山(サブジャヤマ)が迫る。この先、険しい登りとなりそうだ。
 一旦鞍部に下った後、急登が始まる。小刻みに折り返しながら斜面を登る。矮小化したブナが目立つ。後方を振り返ると先ほど登った三曲山を上から望みさらに西方には荒屋新町の街並みが見える。一挙に高度を上げてきた事が分かる。ちょうど昼に三方沢山に到達したのでここで昼食を取る。
 稜線上に続く登山道を進む。田代山まで平坦なコースである。田代山の山頂付近は道が四方に分岐しどちらに進むか迷うが左手上方の標高が高いところを目指して進むと山頂広場に着いた。北面はササで展望がないが南面は刈払われていて七時雨山とその後方の岩手山が良く見える。
 東方を望むと稜線が駒木立まで続いていて駒木立頂上に続く登山道もはっきりと確認できる。しかし田代山からその方面に続く登山道が見当たらない。広場を半周し手がかりを探すがどうやら稜線上に密生するササの中を突破するのがルートのようだ。背丈近くまで伸びたササをかき分け前進する。風力計が立つ稜線分岐で笹薮は終わった。その後は一気に登る。登山道は幅1m弱の土塁上を通っている。
 駒木立の山頂に立つ。登山道は三曲山から駒木立まで展望の良い稜線上を通ってきたがここが終点となる。東面に西岳レーダー雨量計が見える。駒木立から西岳まで直線距離で3.2km。稜線上に道が続いていれば縦走ができそうであるが道は無かった。北面の浄法寺側はダケカンバで覆われている。
 稜線分岐まで戻り分岐から南に下る。すぐにセスナ機遭難碑前を通過しつづら折りに下る。イタヤカエデ、オオウラジロノキの黄葉の中を抜け牧草地に出た。トラクタの轍で道は不明瞭になるが左手の牧柵沿いに進むと未舗装の作業道に出た。作業道から県道30号に出るには牧柵の扉を開けなければならないが鍵がかけられていたので乗り越えた。登山口の標識は見当たらない。こちら側から登る場合は牧柵の扉の場所から県道を挟んで反対側やや西側に倉庫のような建物があるのを目印とするのが良いだろう。
 県道30号を西に進む。すぐ道脇で放牧されている牛に注意しながらサン燦道入口まで戻る。帰路は往路を引き返す。できれば繋沢バス停のJRバスに間に合えば良いがと思いながら車道を歩く。途中、試験運転中と表示された市営バスが通過した。繋沢集落付近は沿道にウルシの木が並んでいるのでウルシの産地なのだろう。往路で会った犬に再び吠えられた。繋沢バス停からJRバスに乗車。バスは安代インターから高速道に入り盛岡駅に向かった。安代インターから盛岡駅まで乗客は小生一名であった。記念にヤマナラシとオオウラジロノキの黄葉を持ち帰った。オオウラジロノキは自宅に着いたら既に茶色に変色、一方、ヤマナラシは数週間黄葉が持続した。

参考文献
※1「岩手の里山を歩く」大坊孝男著 岩手日報社出版部2004年4月発行
※2「田代山・駒木立」http://www.geocities.jp/kitanoteizan2/cou_komakitati.html


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