徳兵衛山(とくべえさん)
岩手県宮古市川井
標高1637m
岩手県交通の早池峰登山バス(季節運行)小田越下車
【写真】徳兵衛山
2011年8月6日
 808 JR水沢
 835〜920 JR花巻(バス乗り換え)
1054 小田越
1117 小田越まで800m道標
1157 五合目(お金蔵)
1221 剣ヶ峰分岐
1256 早池峰剣ヶ峰山頂
1334〜1400 徳兵衛山
1432 早池峰剣ヶ峰山頂
1507 剣ヶ峰分岐
1535〜1545 五合目(お金蔵)
1622〜1630 小田越まで800m道標
1650〜1712 小田越(バス乗車)
1845〜1859 JR花巻(JR乗り換え)
1926 JR水沢

 先月早池峰剣ヶ峰に登頂した。この時の登山道の状況から判断すると剣ヶ峰の東にある徳兵衛山にも難なく到達できそうである。そう思って計画を立てたら登山前日に正座をしたとき足を不自然な方向にひねったため左膝を痛めてしまう。階段の歩行中、痛みを感じるのが気がかりだ。
 登山バスの終点小田越から歩き始める。アオモリトドマツの中、道端にカニコウモリ、ツリアリドオシの花が咲く。小田越まで800m道標手前で森林限界を越え露岩帯を進む。サワオトギリ、イブキゼリ、オニシモツケ、ホタルサイコ、ミヤマセンキュウ。天気予報によると午後一時雨とのこと。うっすらとガスがかかり遠くで雷鳴がする。やはりぽつぽつと降り出してきた。早池峰山には既に先月訪れているので雨天で景色が見えなくでも構わないと思っていた。雨に濡れないようにカメラをザックの中にしまい、あとは黙々と登ることに専念しようと思った。しかし高山植物が次々と現れる。立ち止まりザックからカメラを取り出し写真を撮る。なかなかペースは上がらない。キンロバイ、ナンブトウウチソウ、ホソバツメクサ、イブキジャコウソウ、タカネナデシコ、ナンブトラノオ、ネバリノギラン、ミヤマハンショウヅル。
 五合目付近ではヒメシャジン、チシマフウロ、サマニヨモギ、オヤマソバ。鉄梯子で団体登山客と擦れ違った後はほとんど人に会わず静かな山歩きとなった。剣ヶ峰分岐に到着。先回よりも時間が掛かっている。左足の怪我をかばいながら歩いたためだと思う。運良く雨は上がったようだ。剣ヶ峰に向かう。道は岩峰の間を縫うように続いている。ミヤマアケボノソウ、ミヤマアズマギク、ハヤチネウスユキソウ、ダイモンジソウ。ウメバチソウは咲き始め。南面はアオモリトドマツの樹海が拡がる。コメツガとハクサンシャクナゲの灌木帯にはミヤマアキノキリンソウ、ツルリンドウ。剣ヶ峰付近の稜線に花期が過ぎたイソツツジ(花はわずかに残っていた)。剣ヶ峰山頂にはたくさんのトンボが舞う。
 この先、徳兵衛山まで小生にとって未知のコースとなる。徳兵衛山は際だったピークではないので標柱がないと山頂を見つけることは難しいのではないかと不安になる。剣ヶ峰よりも徳兵衛山は標高が低いので登山道を下ることになる。アオモリトドマツの中を進む。次第にアオモリトドマツの樹高が高くなっていい雰囲気の森になった。紫色の球果に付着している松ヤニが服や靴にこびりつく。コメツガの枝先にも球果が付いている。ヒノキアスナロがわずかに混じる。どんどん深い森の中に吸い込まれるような感覚がする。最低鞍部から前方を見上げると登山道の行く手には樹林帯とその先に岩場が見える。その岩場まで登っていくと樹林帯を抜け高山植物の咲く開けた場所に出た。そろそろ徳兵衛山に着いてもよさそうなのだが手がかりはない。(この時はガスで視界が悪かった。帰路はガスが晴れ遠くからでも山頂の標柱が見えた。)
 岩峰と露岩のコースを進む。道は分かりづらくペンキが目印となる。大きな岩峰の西側直下を回り込んで登っていくと平坦な場所に出た。中央に徳兵衛山の標柱と三角点があった。標柱が無かったら山頂を見つけるのは容易ではないだろう。展望は360度。大きな露岩に腰掛け雄大な景色を眺める。ガスの切れ間から東は川井江繋方面、西は剣ヶ峰を望む。山頂の雰囲気はとても気に入った。近くでホシガラスが鳴く。イブキゼリ、コメツツジ、コメツガ、ハイマツ、タカネナデシコ、ナンブトウウチソウ、ハヤチネウスユキソウ。体力の回復を待ちながらしばらく休憩した。
 今回の登山によって徳兵衛山から東に続く稜線に下ることができる目処が付いた。ただし川井方面の登山口に続く林道は震災などの影響で不通になっているようなので下調べが必要である。帰路は往路と同じコースを引き返した。怪我をしている左膝の負担を減らす為、途中休憩の時間が欲しいので早池峰山頂には寄らずに下山する。下山で遇った登山者は1名。全く静かな下山となった。この分では帰りの登山バスは小生の貸切かと思ったが小田越では1グループがバスを待っていた。小田越では救急車と消防団、小田越監視小屋の人が集まっていて何か事件があったらしい。聞くと薬師岳で足を怪我し動けなくなった人がいるとのこと。消防団が薬師岳登山道を登っていく。間もなく救助ヘリコプターが上空に現れた。ヘリコプターが飛ぶ上空を見上げている最中に帰りの登山バスがやって来たので乗車し帰路に着いた。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行
※2「早池峰マナーガイド」岩手県自然保護課 H23.3作成版(小田越登山口で手渡された)

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