薬師岳

岩手県遠野市、花巻市
標高1644.9m
JR釜石線遠野駅から早池峰バス大出行き終点下車
JR東北線盛岡駅から早池峰登山バス小田越行き終点下車

【写真】馬留登山口

2008年6月8日
 616 JR水沢
 752〜848 JR遠野
 934 大出(おおいで)
1042 林道入口
1049 馬留登山口
1114 又一滝
1328〜1335 薬師岳山頂
1438〜1512 小田越
1602〜1620 大迫バスターミナル
1647〜1709 JR石鳥谷
1816 JR水沢

 この日は早池峰山の山開きで登山バスも運行が開始される。この登山バスを帰路に利用し薬師岳を南から北へ縦断する計画を立てた。
 JR遠野駅で下車。駅となりにある観光案内所前のバス停のベンチに座りバスが来るのをのんびりと待つ。8時過ぎから観光案内所の営業が始まり入口に置いてあるCDラジカセから音楽が流れ始めた。1曲目は遠野物語、2曲目は河童が一匹二匹・・、5曲ほどがエンドレスで繰り返される。時刻通り大出行きバスが来たので乗車。終点の大出まで乗客は小生のみである(料金\880)。終点の大出では、バスは次の発車時刻まで民宿の脇で待機する。バスを下車し車道を北に進み早池峰神社の境内に入る。まずここで道中の安全を祈願した。境内にマイヅルソウ、ズダヤクシュ、クリンソウが咲く。
 しばらく滝川の渓谷に沿って車道が続く。ミズキ、カンボクの白花が目立つ。大野平集落に出ると牧草地が広がる。進行方向(北)に薬師岳の全容が見える。道端にはヤマオダマキが多い。車道が未舗装道に変わって間もなく馬留登山口に着いた。登山道は滝川に沿って続く。谷側への転落防止のため左側(谷側)はロープが張ってある。一帯はヤマツツジが咲き見頃である。数回、沢を徒渉すると前方に豪快な音をたてて流れ落ちる又一滝が見えてくる。
 滝の直下で少し休憩。その先の登山道は滝の左岸を巻く。すぐに薬師堂方面の分岐点を通過する。滝の上流部を徒渉後、尾根に登る斜面が続く。ブナ、ミズナラ、ハウチワカエデの林床にはユキザサ、マイヅルソウ、ツクバネソウ、カラマツソウ、ギンリョウソウが咲く。次第に勾配がきつくなり周囲のササを払いながらの苦しい登りが続く。胸が苦しくなり一歩前進するのもままならなくなったので休憩を取る。県内の山では珍しい急勾配の上りと思う。
 息を整えた後、出発する。意外にもすぐに平坦なコースに変わった。樹木はアオモリトドマツが優勢になり特有の甘い香りがただよう。日当たりの良い場所にはコヨウラク、ムラサキヤシオ、ミネザクラ、ムシカリが咲き花を見ながら快調に足が進む。しかし木々の間から見える山頂はまだ遠くにありその山容は険しくこの先まだまだ苦労しそうだ。次第にアオモリトドマツの密度が増し薄暗いコースになる。どこまでも続く長いトンネルに入ったような感じだ。木々の間を縫うように進み時々露岩を乗り越える。コミヤマカタバミ、オクノカンスゲが見られた。
 1時間ほど歩いた後アオモリトドマツの下で二度目の休憩を取る。文献※1記載の所要時間よりもかなり時間がかかっていて予想以上の難コースである(ただし文献※1は下山時の時間)。地道に無理せずマイペースで進むしか無さそうだ。休憩後、再び歩き始めるとコメツガが多くなってきた、と思ったら樹林帯を抜けた。腰くらいの高さのコメツガ、ハイマツ、ナナカマド、シャクナゲがびっしりと山頂まで連なっている。均整のとれた三角形の山頂付近には大きな岩があるのが見える。振り返ると今まで登ってきた尾根と遠方にうっすらと大出の平地部が望むことができた。登山コースにはロープが敷設されていたので低木の密集している場所でも迷うことなく進むことができた。道端の日当たりの良い場所にはタヌキラン、ヒメイチゲが咲く。
 山頂付近の大岩を過ぎると分岐点がある。この付近に先着の方2名が休憩をとっていた。ここで直進すると小田越山荘、左折すると山頂を経由し小田越に至る。まずは山頂に立ち北方に対峙する早池峰山を写真に収めた。次に山頂周囲の植物観察をするとコメバツガザクラ、イワウメ、ミツバオウレンが咲いている。稜線をしばらく西に進んだあとコースは右に直角に折れ小田越えに一直線に下る。最初は膝丈ほどのハイマツ地帯で早池峰山や直下の小田越の展望が良い。樹林帯に入るとまだ雪が残っている所がある。オサバグサ、ツバメオモト、サンカヨウ、ショウジョウバカマが咲く。続々と登ってくる人と擦れ違う。やがて登山道は木道に変わり間もなく小田越に到着した。
 小田越では大勢の人がバスを待っていた。本日は一般車は進入禁止のため登山客はシャトルバスで麓の駐車場まで移動することになる。小生は盛岡行のバスに乗車するつもりなのでまだ時間的に余裕がある。ビニルござを広げて残ったおにぎりを食べながら休憩していると最初のシャトルバスが来た。このバスは岳駐車場行で小生は乗車するつもりはないので様子を見ていると、すぐ満員になり大半の登山客は次のバスを待たなければならなくなった。次のバスは盛岡行なので乗りそびれたら大変と思い行列の後に並ぶ。幸いバスは2台(盛岡行、岳駐車場行)来たので案外楽に乗車できた。大迫バスターミナルで石鳥谷行に乗換しJRで帰路に着いた。(小田越−大迫 バス料金\930)

参考文献
※1「新・分県登山ガイド2 岩手県の山」藤原直美著 山と渓谷社2006年6月発行
※2「早池峰マナーガイド」岩手県自然保護課 2006年3月作成(河原の坊の休憩所で入手)


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