矢尽山(やつくしやま)
矢尽山山頂 岩手県奥州市胆沢区・衣川区
標高576m
岩手県交通バス馬留線終点ひめかゆスキー場下車
【写真】矢尽山山頂
2012年4月14日
 930 JR水沢駅前発(県交通バス乗車)
1010 ひめかゆスキー場着(県交通バス下車)
1044 スキー場第一リフト降り場より上の方に出る
1054 スキー場第二リフト降り場
1110 NO.1ピーク
1118 NO.2ピーク
1129 NO.3ピーク
1145〜1222 矢尽山
1234 NO.3ピーク
1244 NO.2ピーク
1250 NO.1ピーク
1302 スキー場第二リフト降り場
1350〜 ひめかゆ(入浴)
1624 ひめかゆ発(県交通バス乗車)
1703 JR水沢駅前着(県交通バス下車)

 ここ数回の山歩きは時間の余裕がないので帰宅時間を優先し温泉入浴は当初の予定から除外していた。しかし温泉を発着点とした山歩きは温泉無しのそれに比べ楽しさは倍増する。小生の場合ほとんど非マイカー登山なのでさらにアルコール飲料が付加されるからリフレッシュには最適だ。今年の冬は寒すぎたので温泉で体を癒そうと思う。そこで今回は久しぶりに温泉入浴を目的とした登山を計画した。行き先は矢尽山。奥州市胆沢区の国道397号沿いに胆沢ダムが建設されているがその真南に聳える山である。近くに焼石クアパークひめかゆ及びやけいし館と言う温泉・宿泊施設とスキー場がある。地形図を眺めるとスキー場の最高標高地点から西に続く尾根をたどれば矢尽山に至るようだ。温泉登山には丁度良い距離だ。
 矢尽山は小生にとって未知の山なのでいろいろ調べていると山名のいわれについて興味深い発見があった。それは安倍貞任と源義家の戦である。矢尽山に逃げた貞任軍は麓の馬留にいる義家軍に矢を射た。しかし矢が尽き義家軍に攻め込まれたとのこと。矢尽山に秘められた歴史ロマン。温泉目的以外でも登ってみる価値がある山だと思った。
 バスの終点ひめかゆスキー場で下車する。バス停はやけいし館の駐車場敷地内にある。やけいし館は営業中で既に数台の駐車があった。駐車場から一歩外に出ると残雪で白一色だ。そのまま南面のスキー場ゲレンデに続いている。やけいし館裏手に回るとリフト乗り場がありリフトのケーブル直下に管理用の道(道幅が広いのでゲレンデに見える)が急斜面に続いている。あまりに急斜面なので徒歩で登るにはきつすぎる。ゲレンデはもっと東側の斜面にあるのだが気が付かなかった。
 急斜面の管理道を回避し西側の沢沿いの道を進んでみる。たぶんこれが林間コースで斜面をうまく回り込んでスキー場の上方に到達するものと思った。残雪の上を進むが雪面は締まりがなく足が沈下するのでわかんを装着した。やがて開けた場所に出た。南面の山の斜面の樹木が伐採されているのでゲレンデのようにみえる。しかしこの先に続く道(ゲレンデのコース)は見当たらない。北側は切れ落ち小沢と砂防ダムがある。ここはゲレンデではなくダムの管理道だった。地形図にもこの小沢が記されていてスキー場ゲレンデよりも西にずれた位置を登ってきたことが分かった。
 南面の伐採跡地はあまりに急勾配なので東側の樹林帯にトラバースする。小さな谷を越え尾根に取り付き登っていく。こちらも急勾配でかなり胸が苦しい。樹木にすがりながら進む。次第に勾配が緩くなりスキー場ゲレンデ(第一リフト降り場の上の方)に出た。序盤から体力の消耗が激しい。重い足取りでゲレンデの斜面を登る。第二リフト降り場まで10分程の登りだが長い時間がかかったような気がした。
 第二リフト降り場の西側にフェンスがあるがその裏に回り込んでみた。矢尽山の前衛峰が目の前に聳えている。主峰の矢尽山はその影に隠れ見えない。フェンス脇に三角点(地形図によると標高485m)がある。まず前衛峰を目指そうとしたが谷が深く細木がびっしりと生え人が入り込む隙間が無い。突破口を探すためフェンス沿いに北に進んでいくと幾らか木が疎らになりその奥に赤テープが見えた。その方向に下っていくと尾根上に土塁が築かれている。どうやらこの土塁にそって進むのがルートのようだ。土塁の右がカラマツ、左がスギと樹種を違えて植林されている。やがてブナも目立ち始める。最初のピーク(以下NO.1ピークと呼ぶ)で土塁は左90度に向きを変えて下りとなる。ここでは直進か左折か判断しなければならない。地形図で確認すると主尾根はNO.1ピークから西南方向に続いているので左の土塁の方向に下るのが正しいようだ。その先にNO.2ピークが見えている。
 鞍部を下る途中で土塁は消失した。残雪が多くなり尾根の幅も広いので雪上登山としては快適な場所に変わる。NO.2ピークを過ぎ少し下ると左手から作業道が合流する。この付近は残雪が少なく林床一面イワウチワの葉で埋め尽くされている。開花期にはまだ早くつぼみの状態だった。尾根筋には踏み跡がある。NO.3ピークは大きな丸っこい岩が点在する。ここまで来ると主峰の矢尽山が目の前に迫る。スキー場からNO.3ピークまで赤テープや赤ペンキの目印があったのでそれらがルートの目安となった。
 いよいよ最後の登りに取り付く。残雪とブナの巨木の雰囲気は良く主峰にふさわしい。頂上付近は細い尾根になり北面は急傾斜地である。尾根の突端部は樹木が刈払われちょっとした広場(直径10m位)になっていた。その中心部に三等三角点の標石があった。山名を示すプレートは見当たらない。展望は良好だ。特に山頂広場の北端が崩落していて危険なのだが絶景ポイントでもある。直下の胆沢ダムの工事現場や石淵ダム、焼石連峰が一望できる。南西方向には媚山が間近に見え矢尽山から続く尾根をたどれば登頂可能に見える。また貞任伝説については史跡らしきものは見当たらなかった。しかし北面の急斜面下にいる敵軍を弓矢で狙い撃ちするには絶好の場所であろう。矢が尽きるという不運がなければ義家軍は苦戦し歴史は変わっていたかも知れない。
 帰路は第一リフト降り場まで往路と同じコースをたどり、その後はゲレンデ内を下った。途中から焼石クアパークひめかゆの裏(南側の山裾)を通る林道を進みひめかゆの駐車場に到達した。施設内に入ると宴会客で大盛況の一方、一般の休憩室はかなり空いていた。入浴休憩はあっという間に時間が過ぎた。ひめかゆのバス停は入口を出て国道397号を右折した場所にあった。ここで帰りのバスを待つ。

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