ロゴ 東北自然歩道 新・奥の細道 宮城17

奥州涌谷崑岳山唄のみち

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● はじめに
 涌谷町の崑岳を縦断するコースです。

● 調査日
2015年8月15日 及び 2019年1月13日

● コース概略図
公式ホームページを参照ください。

(起点)涌谷駅→城山公園→妙見宮→見龍寺→石仏広場→崑岳観音→崑岳中バス停(終点) 計9.2km

● 交通アクセス
 起点はJR石巻線涌谷駅。終点は涌谷町町民バス崑岳中学校バス停

● コースを歩いて
 (2015年8月15日)今回は終点から起点までコースを逆方向に歩きました。そのため以下のレポートも逆方向に進んだものになります。スタート地点の崑岳中学校へは路線バスが通じていますが当日は土曜日のため運行されていません。そのためだいぶ離れていますがJR気仙沼線「のの岳駅」から崑岳中学校を目指して歩くことにしました。
 のの岳駅で降車。お盆に入り夏の暑さは幾分和らいできたが日中の日差しは今だに強烈だ。そんな残暑厳しい中、歩き始める。一帯は水田地帯だが、前方左手に山並が連なる。これが崑岳山塊で当面の目的地は明瞭だ。直射日光を浴びながら、しかし時折涼しい風が吹く。
 途中、環境放射線測定施設という放射線をモニタリングしている建物があり、現在の値は60.0 ngy/hと表示されていた。

image_1 【写真1】崑岳(JRのの岳駅付近より)

 猪岡集落から民家や商店が並ぶ県道29号を北に進む。道幅が狭くなり民家が途切れややさびしくなったころ、崑峯寺と記された大きな看板が立つ丁字路に着く。看板の直下に自然歩道の道標もあった。おそらくこの地点が自然歩道の終点と思われる。ここで左折し崑岳方面へ上る車道を進む。

image_2 【写真2】自然歩道終点の道標

 この車道は町民バスの路線にもなっている。崑岳観音付近に集落があったので山中を縦断するバスでも需要があるのだろう。森の中なので幾分涼しさを感じる。沿道に咲く花はキツネノカミソリ。車道の最高標高点付近手前で崑岳観光センターの入口がある。看板によるとジンギスカン料理・入浴施設があるとのこと。残暑の中の運動でやや疲労を感じた所でこの施設はありがたい。ただしこの先道中が長いので寄り道をせず通過し崑岳観音に続く石段を上る。

image_3 【写真3】 崑岳観光センター入口

 階段を上り山門をくぐると本堂がある。左手にお札やお守りなどの販売、祈祷の受付をしている。自分以外誰もいないのでちょっと近づきがたい。軽く参拝した後、本堂の裏手に続く道を進んだ。

image_4 【写真4】崑岳観音堂

 スギ林の中の平坦な道を進む。いくつかの石碑が立っている。スギの巨木には太郎スギ、次郎スギ、三郎スギ、四郎スギと名づけられていていずれも樹齢900~990年と記されている。平坦な道の終端に奥の細道展望台と記された案内板、絵地図、ベンチがあった。西面の展望が良く眼下に水田地帯よく見える。この先は細道の下りとなり道標によると「かたくり園」に至るとのこと。

image_5 【写真5】展望台

 展望台のベンチで昼食休憩とした。残暑が堪えたのか予想以上に時間がかかっている。この先は下りなのでペースが上がることを期待し崑岳観音をあとにした。
 数件の宿坊と民家が続くが門前町の名残りか。「矢後利明此処ニ眠ル(農民運動)」の碑を過ぎると民家は途切れ再び山中の車道歩きになる。自然歩道の道標は車道脇に比較的短区間で設置されている。道標には次の目的地、石仏広場までの距離が記されているが思ったほど距離が縮まらない。
 疲労感が増してきたころ、左手に草原が広がり解放感のある風景に変わる。これが石仏広場(公園)で、駐車場、バス停、かつての売店らしい建物、自然歩道の地図入り案内板がある。石仏公園という名称から寺社の園地を想像していたのだが、広大な自然公園だった。名称の由来は嘉暦四年の碑があるからとのことだが、まったく気づかずに通過してしまった。

image_6 【写真6】石仏公園

 車道を下る。途中のゴルフ場を除けば市街地の平野部に出るまでほとんど薄暗い山中の道だ。やっと山中を抜け平坦な市街地を進む。涌谷高校を過ぎ国道346号を横断、自然歩道起点の涌谷駅方面に向かう道に入る。左手の小高い丘に寺院が見える。これが次の目的地、見龍寺と思って適当な所で左折した。墓参りの人が多数。見龍寺の墓地の区画を過ぎ寺に向かうと龍渕寺という別の寺だったので戸惑う。見龍寺は龍渕寺の西隣にあるのだが右往左往してしまった。
 見龍寺には伊達家の墓所があるとのことだが見あたらない。墓参りの時期で混雑しているため、本堂の写真のみ撮って次の目的地に向かった。

image_7 【写真7】見龍寺

 閑静な住宅地の中に妙見宮の参道入口があった。案内板には元禄期の建物として県の重要文化財に指定されているとある。石段を上り山門を抜けると本堂がある。伊達家の月九曜紋の飾り金具が屋根の上方にある。

image_8 【写真8】妙見宮

 住宅地を抜け江合川左岸の堤防上の車道を進む。前方に涌谷城跡(史料館)が見える。城跡は小高い丘の上にある。階段を上る。南北に細長い丘の南端に史料館とトイレ、北端に涌谷神社、その間は芝生とサクラの公園になっている。史料館は閉館時間が近づいていたので入館しなかった。後日、伊達騒動と涌谷の関係が深いことを知る。予備知識を得てから再訪したいと思う。

image_9 【写真9】城山公園

 最後の目的地、自然歩道起点の涌谷駅に向かう。昨日は祭典で賑わった反動か、本日の市街地は閑散としている。駅の待合室で椅子に座ると汗が大量に吹き出てきた。今年の夏の記憶に残る小旅行になった。

 (以下2019年1月13日調査)公式サイトに本コースの見どころとして天平ろまん館と黄金山産金遺構が掲載されている。これらの場所は自然歩道のコースから外れているため先回は訪問できなかった。この日、仙台方面からの帰り道に立ち寄ることができた。天平ろまん館は二つの建物で構成され、中央の入口の階段を上ると、右に産直・土産品の建物、左に歴史館がある。歴史館の入口で入館料を支払う。展示内容としては、産金遺構の分布・当時の人々のくらし・朝鮮から最新技術の導入・金メッキの方法など。尚、歴史館に隣接する池で砂金採りができる(ただし冬季は閉鎖)。

image_9 【写真10】天平ろまん館(歴史館)

 ろまん館の北側に産金が盛んな時代から存在している黄金山神社がある。境内の参道を進み階段を上ると本殿があった。通常なら厳冬の季節だが本日は小春日和の穏やかな天気だ。今年一年の無事を祈願し帰路に着いた。

image_9 【写真11】黄金山神社

<完>

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