ロゴ 東北自然歩道 新・奥の細道宮城 25

奥松島探訪のみち

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● はじめに
 日本三景東部の奥松島、松島湾の展望が良い大高森、嵯峨渓の海岸線を通るコースです。

● 調査日
2016年6月25日

● コース概略図
公式ホームページを参照ください。

(起点)野蒜海岸→大高森観光桟橋→薬師堂→大高森→嵯峨見台→乙女の浜→大浜漁港(終点) 計11.4km

● 交通アクセス
 起点はJR仙石線野蒜駅・終点はJR仙石線野蒜駅からタクシー。

● コースを歩いて
 JR野蒜駅で下車。かなりの乗客が下車した。団体旅行客だろうか。ほとんどの乗客が駅前に待機していた小型バスに乗り込んだ。他に仮設住宅行きの小型バス、タクシーも常駐している。奥松島観光の最寄り駅として乗客が多いのだろう。

image_0 【写真0】JR野蒜駅

 駅前は大規模な工事中で今のところ店舗や住宅は無い。駅前から続く車道を下っていくとこちらも道路工事中。元小学校らしい建物から先は平野が開けるが一帯は津波の被害が大きく現在でも惨憺たる状態で破壊された民家や施設が残っている。旧JR仙石線も残存していた。

image_1 【写真1】旧JR仙石線跡

 野蒜海岸沿いの車道は道幅が狭く歩道が無いので車道に並行する工事作業道を通った。車道から海岸側は工事中で立入禁止である。しかし道端に停車している釣り客を時折見かける。野蒜海岸の南端から仮設の松ヶ島橋を渡り宮戸島に入る。歩道はあるが背丈の高い草で被われているため漁港内を通る。

image_2 【写真2】松ヶ島漁港

 漁港を過ぎると右手の湾奥に沿って遊歩道が続いていて東屋やベンチもある。ここで昼食休憩とした。しかし昨日の雨で道が悪そうなので遊歩道は通らず車道(奥松島パークライン)を進んだ。

image_3 【写真3】奥松島パークライン

 峠を越えると松島湾側に出る。海岸に立つホテルへ続く道が右手に分岐する。ここに自然歩道の道標がある。観光船乗り場も近くにある。ここから薬師堂まで0.6kmである。

image_4 【写真4】大高森観光ホテル入口と道標

 ホテルの脇を抜け漁具が置いてある場所を過ぎると山の中に入る。道も登山道のような道になった。突然洞窟が現れた。案内板によると最初に薬師如来が安置された場所とのこと。

image_5 【写真5】薬師堂下の洞窟

 石段を上ると薬師堂前に着いた。洞窟の上の場所に伊達政宗が建立したと伝えられている。薬師堂および洞窟から海岸に下る道もある。

image_6 【写真6】薬師堂

 【写真4】の場所に引き返す。道路を挟んで反対側に大高森登山口がある。

image_7 【写真7】大高森登山口

 分岐点では左の道に入る。直進すると縄文村方面の登山口に出る。

image_8 【写真8】山頂はここで左折

 山頂まで階段が続く。昨日の雨で滑りやすい。コース中、最も体力を使う場所である。

image_9 【写真9】階段が続く

 山頂からは松島湾方面の展望が良い。観光パンフレットではお馴染みの風景だ。宮戸島に来た甲斐があったと思える場所である。

image_10 【写真10】大高森からの展望

image_11 【写真11】大高森展望台

 次の目的地は嵯峨見台である。地図によると道は大高森から続く尾根上を東に伸びている。しかし実際の道は小生の予想とは異なっていたためかなり迷ってしまった。一度上ってきた階段を下る。縄文村まで良好なコースが続いているのでこのまま進めば嵯峨見台まで行けるだろうと思っていたがそうではなかった。縄文村まで行ってから間違いに気づき再び大高森へ上ると尾根の南側に下る細道がある。まさかこれが自然歩道とは思えない。道幅は狭く草深く手入れもされてなさそう。道標も見当たらない。しかし他に道は無さそうなので下ってみることにした。100mほど下ると自然歩道の道標があった。そのまま進むと林道の終点に出た。

image_12 【写真12】林道に出る

 林道を進むのか、他に道はあるのか、道標は無く手がかりが見つからない。さっきの道標まで引き返し道を見落としてないか確認したが見当たらない。林道は地図上のコースと真逆の方向に進んでいるようで不安であるが林道を下ることにした。まもなくこの林道は他の林道との丁字路に突き当たった。丁字路に道標があり正しいルートであることがわかりほっとした。

image_13 【写真13】林道丁字路に出る

 民家が現れ道も舗装道路に変わる。やっと地図上のコースをたどるのが容易になった。潜ヶ浦漁港までは順調に進む。漁港は堤防工事中だったが通行禁止ではなかったのが幸いした。

image_14 【写真14】潜ヶ浦漁港

 漁港入口から東の斜面に上る細道に入る。そのまままっすぐ進むとトンネルを抜け大鮫漁港に着いた。まさかのトンネルで驚く。大鮫漁港は漁船が一艘もなく岸壁のコンクリートはひび割れ廃墟に見えた。なぜか焚き火の残り煙が立ち上がっていて不気味である。そして嵯峨見台への道を間違えたことに気づいた。

image_15 【写真15】大鮫漁港に抜けるトンネル

 再びトンネルに引き返す。トンネルを出るとすぐ道脇に鳥居がある。ここが嵯峨見台の入口である。この入口は最初気づかずに通り過ぎてしまったのだった。

image_16 【写真16】嵯峨見台入口の鳥居

 石段を上っていくと鐘楼がある。また崖の中腹の岩窟に収まっている建物は神社と思われる。

image_17 【写真17】神社と鐘楼

 神社から先は一気に上る。今までの薄暗いじめじめした場所から一転して空が開け解放感のあるコースに変わる。次第に嵯峨見台に近づき期待が高まる。頂上地点に東屋がある。そこが嵯峨見台である。手前の木々に遮られ直下の海岸線が見えないのが残念。近くの島々と牡鹿半島が見える。双眼鏡持参なら満足できる場所と思う。

image_18 【写真18】嵯峨見台から奇岩

 嵯峨見台を後にし先に進む。途中で道が左右に分岐する。道標があるが倒れていてどっちに行けばいいのが不明瞭である。左は急勾配の下りなので右の道を進む。この道はマツクイムシの処理の作業道で進んでいくと室浜漁港が望める場所まで行けるがその先道は消失するし崖になっていて進めそうにない。引き返し左の道に入る。どんどん下っていくと眼下の海岸線を望む見晴らしの良い場所に出た。岩場にカワラマツバが咲く。細道が所々で分岐するので地図上では名もない岬や浜に下りることができるようだ。今日はあいにく大雨の翌日で海に泥が流れ込み茶色く濁っているのが残念だ。

image_19 【写真19】カワラマツバ

 室浜漁港に下る。自然歩道の入口(出口)には道標が無いので逆方向にコースを進む場合は入口を探すのに迷うだろう。ここでは岸壁で釣りを楽しむファミリーが多い。

image_20 【写真20】室浜漁港

 漁港を過ぎ海岸沿いに車道を進む。砂浜が美しい海水浴場に着いた。

image_21 【写真21】室浜海水浴場

 海水浴場に面する陸地は室浜集落があった場所だが津波の被害で更地が広がっている。現在は復興工事の真っ最中で道路と住宅の整備が進められている。

image_22 【写真22】室浜集落復興工事現場

 室浜から唐船見晴台を経由し嵯峨渓までの自然歩道の入口は室浜集落が壊滅し道路も消失しているので探し出すのは困難と判断した。このため車道を大浜まで進み大浜から嵯峨渓、嵯峨渓から唐船見晴台を目指すことにした。大浜も集落が壊滅し復興工事の真っ最中だった。ただし室浜では見かけなかった観光客が大勢訪れている。観光と言っても砂浜散策くらいしかない。現状、観光客向けの店舗は無いしトイレも建設中である。

image_23 【写真23】大浜

 復興工事中の大浜集落の東端から嵯峨渓方面に上る舗装道が分岐している。入口に車輌通行禁止のバリケードがある。その道を上っていく。急勾配で路面は荒れている。坂を上りきると乙女の浜・嵯峨渓方面と唐船見晴台・室浜方面の分岐点に着く。ここにムロノキと呼ばれる大木が祀られているが枯死状態だ。ここでは乙女の浜に向う。左右が海に切れ落ち細い岬の上を進んでいることを実感する。オカトラノオ、ウツボグサなど夏の季節を感じさせる花が咲く。嵯峨渓東端の乙女の浜に着いた。昨日の雨がなければ美しい浜なのだろう。浜の岩壁にトベラが咲く。

image_24 【写真24】乙女の浜

image_25 【写真25】トベラ

 ムロノキの分岐点まで戻り唐船見晴台に向う。道迷いで時間を費やし疲労した体でジメジメした薄暗い森の中、階段を上るのは辛い。しかしこれが最後の我慢だ。以外にも早く明るい展望の良い場所に出た。唐船見晴台は嵯峨見台よりもはるかに広く展望が良い。やはりここも双眼鏡があるとさらに満足度が高いと思う。今日の様な梅雨空の日は浜辺より展望に優れる山の方が気持ちがいい。
 室浜方面に進む。途中から遊歩道はコンクリートで舗装されていた。遊歩道は室浜集落南端の(といってもほとんど更地)神社脇に出た。ちょうど午後5時を知らせる防災無線の音楽が流れた。既に薄暗い。パークラインを引き返し野蒜駅まで歩き通した。

<完>

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