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三十三観音をめぐるみち

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● はじめに
 女川駅を起点・終点としたハイキングコースを通るコースです。

● 調査日
2015年9月21日

● コース概略図
公式ホームページを参照ください。

(起点)女川駅→三十三観音碑→女川総合運動公園→女川駅(終点) 計5.6km

● 交通アクセス
 起点・終点ともJR石巻線女川駅。

● コースを歩いて
 女川行き列車は石巻駅で30分ほど停車する。その間に途中下車し駅近くの銀行やコンビニに寄った後、駅で帰りの切符も購入。再び改札を抜け、ホームに戻ると列車には大勢の乗客がいて着席は無理だ。ドア付近に立ち車窓の風景を眺めながら時間を過ごしているうちに終点の女川駅に到着した。ホームを埋め尽くすほどの乗客が下車。今日は何かイベントがあるのだろうか。駅前広場にいくつかのテントが設営され屋台が並んでいる。

image_1 【写真1】JR女川駅

 女川には今年3月の女川復幸祭で訪れた。その時、自然歩道の道標を見かけた。震災で壊滅的な被害を受けた女川町だが自然歩道は現存しているのだろうか。大部分が山地を通るコースなので津波の影響は少ないと思うが土砂崩れはあるかもしれない。最も、復興最優先で自然歩道など構っている場合ではないから自然歩道は荒廃化しつつあるのではないか、なとど考えながら駅前広場から北に向かう車道の坂道を上る(女川運動公園に向かう)。左手の女川小学校を過ぎ、その先の交差点に自然歩道の道標があった。周辺は復興関連の宅地造成工事中だが工事の邪魔になりそうな道標は残っていた。

image_2 【写真2】自然歩道の道標(女川小学校付近)

 坂を上りきると総合体育館がある。その前の車道を通る。

image_3 【写真3】総合体育館

 体育館の車道を挟んで反対側はかつての陸上競技場だが現在は運動公園住宅という高層住宅が建っている。

image_4 【写真4】運動公園住宅

 さらに西に進むと駐車場があるがこれはかつてのテニスコートだ。テニスコートの南側に仮設住宅が立ち並んでいるのでこれらの住民のための駐車場なのだろう。北側に野球場があるがこちらは野球場のグラウンドに仮設住宅が建つ。これらを見ると被災地の中で最速の復興といわれる女川だが、現実はまだまだ先は長いと感じざるを得ない。

image_5 【写真5】駐車場(元テニスコート)

 フィールドアスレチック場と造成工事現場の間の道を進む。公式サイトから入手したコース案内図によるとかつてはこの造成工事現場付近まで宅地があったことがわかる。現在はその面影は全くない。

image_6 【写真6】造成工事現場の脇を進む

 しばらく進むと自然歩道の道標がある。この一帯はやすらぎの森と呼ばれ、学校林にもなっているとのこと。案内板の地図によると自然歩道の他にもいくつかの遊歩道がある。自然歩道はここで左折し森の中に入るのだが、同じ場所から斜め左方向に上る道を進むと展望台に至るとある。

image_7 【写真7】自然歩道はここで左折

 山に入る前に隣のフィールドアスレチック場で昼食休憩とした。眼下に女川港が良く見える。

image_8 【写真8】フィールドアスレチック場

 展望台まで0.4kmと近いので立ち寄ることにした。展望台へは周回コースの途中にある。最高標高点付近に設置されていた板が展望台の足場と思うが周囲の草が茂り展望は無い。展望が良い場所を求めて周回コースを2周してしまう。山の中腹あたりにテーブルとベンチがあり比較的良好な展望があった。

image_9 【写真9】展望台付近から女川港

 【写真7】の場所に戻り自然歩道のコースに進む。森の中の道だ。100mほど進むと東屋があり展望台方面のコースが分岐する。道標に従い三十三観音方面に進む。小沢を左手にし緩い上り坂を進む。

image_10 【写真10】小沢沿いの道を進む

 小沢に架かる橋を渡り対岸に移る。その先に分岐があり道標が立つ(三十三観音2km、運動公園0.5km、女川駅0.8km地点)。ここでは三十三観音方向を選択する(直進する)。この付近は道が小沢から離れ分岐する道が多いので迷いやすいと思う。尚、小沢に沿ってさらに上る道は崩落のため立入禁止と記されていた。一帯はスギの植林地だが沢沿いにはモミノキが目立つ。

image_11 【写真11】橋を渡る

 スギ林の斜面を下る。小沢を2回徒渉し林道を横断する。ここにも自然歩道の道標があったのでほっとした。

image_12 【写真12】スギ林の林道を横断する

 林道を横断した後、再び上りの道が続く。つづら折の道で徐々に高度を上げていく。尾根に出ると良く整備された遊歩道が続く。

image_13 【写真13】良く整備された道が続く

 アカマツ、ヒノキなどの林業主体の木だけでなくレンゲツツジ、ヤマツツジ、サクラが植林され季節を選べば楽しく歩けそうなコースだ。イヌツゲの間の階段を上ると本コースの最高標高点のピークに到達する。東屋があって休憩にちょうど良い。道標によると、ここから運動公園には別ルートが通じている。

image_14 【写真14】最高標高地点にある東屋

 緩やかな下り坂を進む。沿道にはイヌガヤ、ツリバナが続くが植樹したものと思われる。いくつかの木にプレートが付けられ名称が記されている。一方、自生ではモミノキの巨木が多く圧倒される。植樹の木々の選定とモミノキの巨木の存在はかなり計画的・意識的に森林整備が行われたと見受けられる。
 下っていくと照源寺に下る分岐と三角点があった。その先にも三十三観音方向に続く分岐がある。この付近にはいくつかの観音(観音像を刻んだ石碑)がある。

image_15 【写真15】二十九番観音・合掌観音

 三十三観音の分岐には進まず、直進すると町天然記念物の三十三観音大杉がある。その先は次第に荒れた道になり倒木やササを避けながら進むが、バリケードが行く手を阻んでいた。発破作業中のため立入禁止とのことである。三十三観音の分岐まで引き返すことにした。

image_16 【写真16】発破作業中のため立入禁止

 三十三観音の分岐コースに入る。各観音には案内板があり観音の名称と謂れが記されている。そこで小生は観音の名称をメモしながら進んだ。それらは以下の通りです。

32.持蓮/31.不仁/30.一如/29.合掌/28.馬朗婦/27.普悲/26.六時/25.蛤翔/24.多羅寺/23.瑠璃/22.葉衣/21.阿麼堤/20.阿耨/19.能静/18.岩戸/17.衆宝/16.延命/15.威徳/14.青頚/13.一葉/12.水月/11.徳王/10.魚濫/9.施薬/8.滝見/7.蓮臥/6.白衣/5.遊戯/4.円光/3.持経/2.龍頭/33番と1番は見つけられなかった

 第二番観音から先はバリケードで道が塞がれ、こちらも発破作業中のため立入禁止である。思いがけずこの場所に展望台がある。白色のコンクリート建造物だ。階段を上ると女川港方面の展望が良い。

image_17 【写真17】展望台から女川港

 展望台の直下まで造成工事が行われている。幸い工事現場では作業が行われてなく人もいない。重機が走り回った道をたどれは下山できそうである。適当に重機のあとをトレースしながら下る。最後は地域医療センターの西側の車道に出た。列車の時刻まで少し時間があるので津波で倒された女川交番を見学した。女川駅で列車に乗車しようとしたが往路と同様の混雑だ。ここまで歩き通してこの混雑はきつい。次発の列車に乗車することにした。
 駅前の屋台でツブ串、牛串を調達。復幸祭で訪れたとき地元で有名なこの店の存在を知っていたので迷いはない。当然、飲み物も欲しくなり再び同じ屋台からビールを調達した。もう充分満足だ。

image_18 【写真18】ツブ串、牛串

 駅舎内の温泉にも入り、湯上がりに再びビール。再訪を誓い列車に乗車、帰路に着いた。
<完>

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