Puppy Linux導入記録 QtWeb
(2013.08.18作成、2013.09.14更新)
QtWebは軽量WEBブラウザとして知られています。本家サイトからダウンロードし解凍するだけでPuppy Linux431JP2012でも使用可能でした。ページの読み込みが速く、またPuppy Linux431JP2012標準ブラウザのSeaMonkeyと比べスクリプトエラーが発生しない、レイアウトの崩れがない点が好印象です。一方、ネット上でQtWebの評価を調べると欠点が指摘されていました。主に日本語対応の部分になりますが、アドレスバーと検索ボックスに日本語入力ができない点、日本語の文字コード(Shift_ JIS)に対応していないため文字化けする点です。これらの欠点さえ克服すれば常用ブラウザとして使うことができそうなので試しに改良してみました。
1.インストール
本家サイトからQtWeb-b104.tar.gz(ソースファイル)をダウンロードしました。QtWebはその名前の通りQTライブラリを必要とします。QTライブラリはSMTubeをコンパイルするときに自作したバージョン4.8.5を使いました。QtWebはPuppy Linux431JP2012標準の開発環境でエラー無しでコンパイルできました。前述の日本語対応のためソースを一部訂正したところ、完璧ではありませんがとりあえず何とかなりそうな感じです。
完璧でない点は以下の通りです。
- 検索ボックスの日本語入力は、日本語入力中で未確定状態の時、背景の文字(例えばGoogleなど)と重なり見にくくなっています。
- QtWebはHTMLのMETAタグに記述されている文字コードを最優先して表示するため、METAタグの記述が間違っているとエンコードを変更しても無視されるため文字化けします。またMETAタグにx-jisと記述されているサイトはQtWebでは文字化けしました。
- 本家のQtWebは実行ファイルが一つで動作します(他の追加ライブラリは不要)が、今回小生が自作したのは実行ファイルとQTライブラリが必要です。Webページの読み込みは本家版の方が若干速いです。QTライブラリは他のソフトでも使っている(兼用している)のでディスク容量の節約となりますがQtWebに不要なライブラリも含んでいるので動作が重くなり実行速度に影響していると思います。
- (2013.8.25追記)本家サイトと同様、QTライブラリが不要なバージョン(スタティックライブラリと呼ばれている)を自作してみました。ファイルサイズは約30MBとなり本家バージョンと比べサイズがかなり大きくなってしまいました。ただし実行速度は上記のQTライブラリが必要なバージョンよりも速く感じます。尚、ファイルサイズはUPXというソフトで圧縮すると本家バージョンと同等のサイズになりました。圧縮バージョンは小生のPC環境では起動時間が非圧縮バージョンと比べやや遅くなります。
ANAの航空券予約のページはShift_JISで記述されているので通常のQtWebでは文字化けします。この点は今回の改良で解決されたのでしばらく使いながら少しずつ改良していきたいと思います。
Shift_JISエンコードを追加
2.QtWeb3.8.4ビルド108(2013.9.14追記)
9月初めにQtWeb3.8.5がリリースされました。Puppy Linux431JP2012にインストールしてみましたが小生のPC環境では起動しませんでした。偶然そのリリースの数日前にQtWeb3.8.4ビルド108(3.8.5ではない)のソースをダウンロード、自分でコンパイル、動作確認をしていました。3.8.4の公式リリース版はビルド104ですがその改良版がビルド108です。今回はQTライブラリをスタティックライブラリとしてコンパイルしました。動作結果ですが小生が気になっていた不具合が改善されていました。これなら常用できそうです。
3.使用した感想(2013.9.14追記)
起動が速いです。小生のPC環境ではデスクトップのアイコンをクリックして1秒未満で起動します。
google mapのズーム、スクロールが速いです。seamonkey1.1.18ではgoogle mapのようなオンライン地図は描画が遅いので、Windows用地図ソフトをWine上でオフラインで使用していました。QtWebはオフラインの地図ソフトの描画速度と変わらない速度でgoogle mapを表示します。これには驚きました。
seamonkey1.1.18ではtwitterを開くと動作が重い上に表示不能な部分が多く全く実用になりませんでした。それに対しQtWebは軽快に動作します。ビルド104ではマウスクリックで動作しない箇所が多かったのですがビルド108では改善されています。
ビルド108はウェブインスペクタが使用できます。ただしビルド104よりメモリを10Mほど多く必要とします。
flash playerやmplayerなどのプラグインはseamonkeyのものがそのまま使用できます。QtWeb用に新たにインストールする必要はありませんでした。
QtWebの動作時のリソース消費量はseamonkey1.1.18に比べメモリで約10%減、CPU負荷で約10%減です。QtWebは軽量ブラウザというものの同じく軽量なseamonkey1.1.18との比較では大差がありません。flashを多用したサイトを開くとQtWebでも大量のリソースを消費します。
またjavaスクリプトの表示不具合は多少(ビルド108はビルド104よりかなり改善されました)あります。リロード不可のサイトでは日本語表示ができないことがあります。ダウンロード時、ファイル名が日本語だとダウンロード後のファイル名が文字化けします。尚、仕様上アドオンによる機能拡張やJAVAは使用できません。
(以下2015.1.20追加)
現バージョン3.8.5と前バージョン3.8.4(ビルド108)のソースを比較したところバージョン表記以外は全く同じでした。バージョン3.8.4(ビルド108)を一年ほど使いつづけましたが特定のサイトでは日本語表示の不具合が発生します。その都度、エンコードを変更すれば大抵は正常に日本語表示できますが、日々この手間を繰り返すのは面倒です。ちょうどQtWebのWindows版で日本語表示の問題に取り組んだ方がいらっしゃいましたのでPuppy Linux版QtWebバージョン3.8.5のコンパイル時に参考にさせていただきました(Satoshi村さんのサイトです)。これで日本語表示の不具合は減少し使い勝手が向上しました。
4.PETパッケージ
QtWebビルド104の自作PETパッケージはこちらにあります。Qtライブラリが必要です。
QtWebのQTライブラリ不要PETパッケージ(非圧縮バージョン)はこちらにあります。(2013.8.30追記)このパッケージはウエブインスペクタ機能が使えないことがわかりました。小生の環境では本家バージョンもウエブインスペクタ機能が使えません。
QtWeb3.8.4(ビルド104)のソース変更箇所のパッチファイルはこちらです。
QtWeb3.8.4(ビルド108)の自作PETパッケージ(QTスタティックライブラリ版)はこちらにあります。
QtWeb3.8.5の自作PETパッケージ(QTスタティックライブラリ版)はこちらにあります。
(以下2016.1.4追加)
QtWeb3.8.5の自作PETパッケージ(QTスタティックライブラリ版)はこちらにあります。
QtWeb3.8.5のソース変更箇所のパッチファイルはこちらです。
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