陸中海岸自然遊歩道
北山崎・黒崎海岸を望むみち(南編) |
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●コース概要 田野畑村の明戸キャンプ場から北山崎を経由し普代村の黒崎漁港までを散策するコースです。そのうち本編は明戸キャンプ場〜北山崎の区間についてのレポートです。 明戸キャンプ場→2.3km→弁天駐車場→1.3km→机浜→1.7km→北山浜→3.5km→北山崎→10.2km→くろさき荘→1.2km→ネダリ浜→0.7km→黒崎漁港(延長20.9km) ●交通アクセス 起点の明戸キャンプ場は三陸鉄道田野畑駅から田野畑村民バス北山崎行きに乗車、明戸口で下車。終点の北山崎は三陸鉄道田野畑駅から田野畑村民バス北山崎行きに乗車、北山崎展望台で下車。または観光乗合タクシーを利用。
●調査日 2010年6月12日 616 JR水沢 851〜947 JR釜石 1200 三陸鉄道田野畑 1216 ひらなめ海岸 1230 明戸キャンプ場 1318 弁天崎灯台 1341 机浜 1414 最初の隧道入口 1437 北山浜 1532 遊歩道通行止め地点 1557〜1615 北山崎 1630〜1648 三陸鉄道田野畑 1731〜1811 JR宮古 2136 JR水沢 ●コースを歩いて 昨年から陸中海岸自然遊歩道を歩き始め最後に残った区間が「北山崎・黒崎海岸を望むみち」の明戸キャンプ場〜北山崎の区間である。岩手県のホームページによると、残念ながらコースのハイライトと思われる北山崎展望台〜矢放い場の600mは昨年から通行止め区間になっていて県道44号を迂回しなければならないようだ。また、昨年訪れた黒崎漁港〜北山崎の区間も土砂災害の影響で通行止めとなっている。並行する県道44号もこの区間は大型車通行止めである。 三陸鉄道に乗車し田野畑駅に向かう。途中の田老、小本から海岸線に濃霧が発生している。本日はやませだ。列車内のアナウンスではこの影響で北山崎観光船は運航していないとのこと。田野畑で下車。駅前に大型観光バスが3台待機している。三陸鉄道の団体客は普代駅でバスに乗り換える場合が多いが県道通行止めの影響で今年は田野畑駅がその代役となるのだろう。駅から県道44号を歩き始める。ホテルのある羅賀漁港を過ぎると展望の良い海岸沿いの道となる。これから向かう弁天崎の突端部も良く見えた。道路沿いの案内板によるとこの付近はひらなめ海岸と呼ばれる場所である。少し南の方にあるハイペ、コロコロペと呼ばれる岬では白亜紀(7000万〜1億3500万年前)の化石を産するとのこと(岩手県天然記念物)。また弁天崎の少し西にある石浜は戊辰戦争の舞台にもなった場所でもある。 【写真1】ひらなめ海岸から弁天崎 アカマツに囲まれた明戸キャンプ場は県道を挟んで東西に広がっている。東側の炊事場脇に遊歩道の地図入り案内板が立っていた。 【写真2】明戸キャンプ場と起点の案内板 丁字路を右折し緩い坂道を上っていく。右手に海の展望があるがホテルの建つ羅賀漁港から先は濃霧で海面が覆われている。トンネルの手前で右折すると弁天駐車場である。駐車場を過ぎ道なりに進む途中、観光バスと擦れ違う。その先に海鮮ろばたハウスという店があり観光客が店を出たところなのだろう。店の前で従業員がしばらく見送りをしていたがその後店ののれんを外した。遊歩道はその海鮮ろばたハウスの脇を通る。しかし下草が茂っている道の状況から推察すると大抵の人は海鮮ろばたハウスのベランダを通過しているのではないかと思われる。弁天崎の先端部に下る道には寄らずにまずは弁天崎灯台を目指し階段を登っていく。沿道にはヤマツツジ、アオダモ、チゴユリ、マイヅルソウの花が咲き、ヤブレガサの葉が展開している。灯台に着くが濃霧で全く展望は無かった。この場所にはドクウツギが多い。 トチノキ、アカマツ、ケヤキ、ヤマボウシ、アワブキ、ミズナラ、ハクウンボク、イタヤカエデ、ウリハダカエデ、ハリギリ、コクサギとツクバネ、キタマムシグサが咲く中を下っていくと机浜に出た。 【写真3】机浜 机浜には番屋と呼ばれる漁師の作業小屋が並ぶ。このような番屋群は全国的にも数少なくなっているとのこと。この番屋群や本遊歩道は地元のNPO法人が維持管理しているようでたまたま番屋の前で車を止めて作業をしていたNPOの方とあいさつを交わした。 【写真4】番屋 番屋群を西に進み番屋群が途切れた地点から分岐する細道に入る。道標があるのでわかりやすい。ここから矢越岬の基部を越える上り下りとなる。しばらくは階段の上りが続く。ウラジロノキ、タカノツメ、ガマズミ、サンショウ、ミツバウツギ、エンレイソウ、ツタウルシ。マルバダケブキは咲き始め。峠を越え下り始めると前面に海が広がる。海岸近くは痩せ尾根を下る。道沿いにハマエンドウ、ニッコウキスゲが咲く。小さな砂浜に出る。しかし打ち寄せる波の音は穏やかではない。砂浜の一角にハマベンケイ、ラセイタソウ、ハマギク。ここから隧道が始まるのでヘッドランプを点け中に入る。 【写真5】最初の隧道入口 ランプ点灯でもしばらくは暗闇に目が慣れないので隧道内は暗く感じる。波が岩に砕ける轟音が次第に大きくなりやがて出口となる。 【写真6】最初の隧道出口 赤茶けた断崖の狭い湾内に打ち寄せる波は時折背丈を遙かに超える高さまで豪快にしぶきを上げる。幸い湾の奥の方は安全に通過できるスペースがある。2番目の隧道は入口に30段ほどのコンクリート製の上り階段があるが、階段の下端は宙に浮いている(階段と地盤が分離している)。ここは階段が崩れ落ちないように慎重かつ小走りで上る。隧道の長さは最初の隧道と同じ位に感じたが進むにつれて隧道の高さが低くなったので前屈みになって通過した。2番目の隧道を抜けると小さな浜に出る。濃霧で海側は白一色で全く視界がないが、波が引く時ガラガラと鳴るので石ころの浜であろう。浜の北側に設置されてあるはしごを上って岩場を下ると開けた砂浜に出た。前方に防波堤も見えるので北山浜はもう少しだ。車道が現れトンネルを抜けると北山浜に着く。南北に細長い砂浜である。等間隔にウミネコが羽を休めているのが印象的だ。ハマハタザオ、エゾオオバコ、オオヤマフスマ、ミヤコグサ、ハマエンドウ、ちょうど見頃のハマナス群落。 北山浜から先は樹林帯の中を進む。最初は階段を上っていくと一旦県道44号に出る。県道を数十m進み再び樹林帯の中に入る。この付近の県道は急勾配の上りであるが遊歩道も同様でここが最も体力を必要とするところだ。上りきってしまえば平坦で快適なコースになった。やませの影響でブナ、ヤマボウシの多い森の中は霧と幻想的な光芒が現れ、冷涼な気温は歩くにはちょうど良い。沿道にササバギンラン、クリンソウ。他の三陸沿岸と同様、深山の植物が見られる。北山崎はシロバナシャクナゲが有名でこの日もいくらか期待していたのだが見かけることはできなかった。 【写真7】やませの中を進む 沿道にベンチが10基ほどある場所(北山崎まであと0.6km地点)が現時点での本遊歩道の終点となる。その先は通行止めのローブが張ってあった。ここは予定通り迂回して北山崎を目指すことにする。 【写真8】この先、通行止め 遊歩道の本線から外れ未舗装の作業道を進む。一帯は田野畑村特産のクロモジ(茶)の栽培地である。舗装道に交差する十字路では右折(ここで直進すると自然大学校)。周辺は自然大学校の野鳥観察コースなどがあるがこの日は草刈り作業中だった。再び県道44号を歩き北山崎へ向かう。バス停で帰りの時刻を調べるとこの時間帯は観光乗合タクシーを利用することになるようだ。近くの公衆電話でタクシーの手配をしたあと、駆け足で第一展望台に向かう。北山崎は海面すら見えない濃霧で覆われていた。帰り際にソフトクリームを買いバス停前で味わっているとタクシーがやってきた。 乗車すると乗合タクシーの制度の説明をされ本日は小生のみの利用なので予定よりも早く出発、料金は通常よりも安い(\800)との事。帰路、タクシーの車窓から眺めた弁天崎、ひらなめ海岸は往路の時よりも霧の密度が増し完全に濃霧で覆われている。まるで雲上の世界だ。田野畑駅で切符といっしょにビールを買い求め三陸鉄道〜山田線経由で帰路に着いた。 <完>
参考文献 ※1「たのはたホッとナビ」岩手県田野畑村の観光パンフレット(三陸鉄道島越駅で入手) | |||||||||||||
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