東北自然歩道 新・奥の細道

賢治文学散歩のみち

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【写真1】安野橋のレリーフ:賢治の童話の主人公に会う。

● はじめに

花巻は宮沢賢治の生まれた町です。花巻市内には賢治の童話や詩の舞台となったところが多くあり,それらを巡り歩きながら賢治の世界に浸るのも良いかも知れません。本コースはJR釜石線(銀河鉄道の夜),胡四王山(賢治記念館),イギリス海岸,豊沢川,賢治詩碑など賢治ゆかりの地を結んだコースです。

● 調査日

2001年6月30日

● コース概略図

矢沢バス停→0.7km→胡四王神社→2.3 km→安野橋→3.5 km→朝日橋→1.3km→桜橋→1.8 km→賢治詩碑→0.5 km→賢治詩碑前バス停 計10.1 km
 

賢治文学散歩のみち(胡四王神社入口の案内板の内容です。)

宮沢賢治は首からシャープペンシルをぶらさげ,歩きながら心象にうつる風物を手帳にスケッチとしてメモしました。このみちを歩いていくと,どこかで見たような風景が現れるかも知れません。それは賢治の詩や童話の舞台がここイーハトーブだったからです。このみちは「きれいにすきとほった風をたべ,桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます」(「注文の多い料理店」より)

● 交通アクセス

起点の矢沢バス停は,JR東北新幹線・釜石線新花巻駅下車徒歩15分
終点の賢治碑からは岩手県交通バス花巻温泉行きに乗車しJR東北本線花巻駅前で下車(運賃\210,2001.06.30現在)

● コースを歩いて

東北新幹線新花巻駅で下車。国道286号を西に向かって進む。歩いて15分程で国道沿いに矢沢バス停を見つけるが自然歩道の案内はない。さらに進んでいくと信号機のある交差点に着く。ここは国道286号と国道456号の交差点である。この交差点の南西角に自然歩道の起点を示す標柱があった。ただし最近雑草の刈払いがされたためか,作業の邪魔となる標柱は地面から抜かれ横倒しになっていた。ここから国道456号を南下すると宮沢賢治記念館に至る。小生は4,5年前の5月の連休に記念館を訪れた。この時は開館間もないこともあって大変な混雑だった。

交差点からさらに国道286号を西に200mほど進むと写真2の道標がある。ここで国道と別れ左手に分岐する道に入る。

【写真2】矢沢バス停0.3km,胡四王神社0.4km地点

建設中の国道バイパス(あるいは高速道路?)の下をくぐりJR釜石線の踏切を越えると胡四王神社の入口に着く(写真3)。この場所に自然歩道の地図入り案内板,胡四王山の案内板が立っている。ここから胡四王山(賢治記念館)に登る道がある。

【写真3】矢沢バス停0.8km,安野橋2.3km,記念館0.6km地点

胡四王山(胡四王神社入口の案内板の内容です。)

宮沢賢治記念館が建つ胡四王山は市街から指呼の距離にあり,山頂には坂上田村麻呂が薬師如来を安置したと言われる胡四王神社もあります。法華経の信者であった賢治は埋経の願いを「経埋ムベキ山」として手帳に記し,県内32ヶ所の山をあげ胡四王山はその2番目に書かれた賢治とはゆかりの深い山です。

胡四王神社入口から北上川の鉄橋までJR釜石線と並行して進む。鉄橋手前に銀河鉄道の案内板が立っている。JR釜石線の前身である岩手軽便鉄道が賢治の童話「銀河鉄道の夜」のモデルとなったことは良く知られている。

【写真4】釜石線と並行する

線路と別れ道は北上川に沿って南下する。トウモロコシ畑の脇を通り,カラスが多い薄暗い森の中を抜けると水田が広がる槻ノ木集落に出る(写真5)。最初は道が左右にカーブしていているが要所に道標が立っているので迷わずに済んだ。

【写真5】胡四王神社0.8km,安野橋1.5km地点

国道283号に出る(写真6)。ここで右折する。安野橋はもうすぐである。

【写真6】R283 胡四王神社2km,安野橋0.3km地点

安野橋の由来が橋の東詰に記されてあった。藩政時代は渡船場で交通の要所だった。

【写真7】安野橋から猿ヶ石川上流の眺め

安野橋を渡り猿ヶ石川の土手上の道を北上する。写真8の地点にある道標に従い左折する。

【写真8】安野橋0.4km,朝日橋3.1km地点

200m位進み住宅地の中で右折する。住宅地のため見通しが良くないので道標を見逃さないように注意。そこから先はのどかな水田地帯となる。建設中の国道バイパス(あるいは高速道路?)の下をくぐり写真9の場所で右手の砂利道に入る。

【写真9】安野橋1.2km,朝日橋2.3km地点

北上川と猿ヶ石川の合流地点左岸の道となるが藪が茂り全く川の風景は見えない。途中に起点から5kmの道標がありちょうどこの場所が本コースの中間地点となる(写真10)。

【写真10】起点から5km地点

舗装道に入り住宅地の中を進む。北上川に最も近づいた地点にイギリス海岸の案内板がある(安野橋2.5km朝日橋1.0km地点)。もっともイギリス海岸は北上川を隔てた対岸にある。せっかくなので朝日橋を渡り対岸のイギリス海岸まで足を延ばしたが,残念ながらこの日は梅雨の増水でイギリス海岸は水没していた(写真11)。

イギリス海岸(イギリス海岸の案内板の内容です)

ここから見える北上川の対岸は凝灰質の泥岩が川に沿って露出しています。地質学を専攻した賢治は乾くと白くなる泥岩と青い水のあやなす風情に「イギリスあたりの白亜の海岸を歩いているような気がする」といって「イギリス海岸」と名付けました。


【写真11】イギリス海岸

再び国道283号に出る。出たところがちょうど矢沢郵便局の前だった。この付近は商店や住宅が建ち並び道幅が狭い。車が通行する時は充分な注意が必要。朝日橋にも歩道がないのでこれまた注意が必要だった。

【写真12】朝日橋

朝日橋を渡った後左折し北上川右岸の遊歩道に入る。この遊歩道はウオーキングトレイル事業として造られ,道沿いにアスレチック設備やベンチがある。ベンチで読書をしている方がいてさすがは文学の町花巻かな,と思ったりもした。遊歩道のカラーブロックは線路をイメージして配置されている。言わずもがな銀河鉄道である。

【写真13】朝日橋0.9km,桜橋0.4km地点

豊沢川に架かる桜橋を渡る。交通量の多い国道4号線を通る。最終目的地の賢治詩碑へは桜町の交差点から賢治詩碑までバス通りを通れば最も分かりやすい。しかし自然歩道は桜町交差点の手前で国道4号線と別れ左手に入る小道を進む。この辺りは古くからの住宅地で小生にとっては懐かしい風景である。狭い路地を道標に従って進むがついに迷ってしまい瀧清水神社に着く。この神社の裏手には名の通り清水が湧いている。あとは勘に頼って進む。途中に小さな食堂兼喫茶店がある。注文の多い喫茶店かなと空想しているうちに賢治詩碑近くにある桜地人館の裏手に辿り着いた。

賢治詩碑は賢治死後3年後昭和11年建立。碑文は雨ニモマケズ。高村光太郎筆。「野原ノ松ノ林ノ蔭ニ小サナ萱ブキノ小屋ヲ建テ・・・」から始まる。桜地人館には賢治の作品,高村光太郎の書,萬鉄五郎の絵画などが展示されている。

【写真14】賢治詩碑にて(1995年5月撮影)

立派に整備された遊歩道を歩きバス停に向かった。バス停の隣には旧家を利用した茶店があり自由に休憩できる。

【写真15】バス停と茶店
<完>

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