東北自然歩道 新・奥の細道

熔岩流へのみち

| HOME | 次へ→ |

● はじめに

 健康保養施設いこいの村岩手を起点とし岩手山噴火で流出した焼走り熔岩流を散策するコースです。

● 調査日

2006年9月23日,10月8日

● コース概略図

いこいの村岩手→2.3km→宮沢賢治詩碑→0.8km→焼走り→3.1km→田頭北部牧野入口

● 交通アクセス

 起点のいこいの村岩手はJR盛岡駅前バスターミナルから岩手県北バス八幡平方面行きに乗車し工業団地(道の駅西根の近く)または小松川(国道282号松川に架かる橋の南、近くに酒蔵あり)下車、徒歩45分。終点の田頭北部牧野入口は大更駅から徒歩となる。

● コースを歩いて

 9月23日
 一昨年岩手山登山後焼走りコースから下山した時、自然歩道のコースの一部も歩いたことがあります。そのため当日はコースの探索をする必要が無いだろうと思って気楽に出かけました。
 JR花輪線に乗車。花輪線の車窓から最初の目的地であるいこいの村岩手がよく見えます。大更駅で下車。いこいの村岩手に行くにはバスを利用し最寄りのバス停(小松川)で下車した方が近いのですが交通費節約(JRのホリデーパス使用)と大更付近の散策を兼ね駅から徒歩でいこいの村岩手に向かうことにしました。大更駅から1時間ほどでいこいの村岩手に到着。自然歩道のコース案内板はいこいの村岩手の建物の前を通過し坂道を下り舗装道路の終端にありました。

新奥の細道
東北自然歩道 熔岩流へのみち
 このコースはいこいの村岩手から焼走り熔岩流に至る約6kmの散策コースです。いこいの村岩手は温泉大浴場を始め、温水プール、アーチェリー、テニス等、心と体のリフレッシュに最適です。
 焼走りまで雄大な岩手山を眺めながらの自然散策を楽しむことができます。

 自然歩道のコース案内板から先は林道のような細道が続きますが300m位進むと道幅の広い車道に出ます。


【写真1】いこいの村岩手から細道を抜け車道に出る

 この先は賢治詩碑まで車道を歩くことになります。観光バスなどの往来が多くカーブで見通しが悪いところは気を使います。左手(東面)の姫神山がよく見え眺めが良いコースです。

 賢治詩碑少し手前で車道から別れ遊歩道に入ります。賢治詩碑に隣接して自然歩道のコース案内板と展望台があり焼走り熔岩流を一望できます。

新奥の細道
東北自然歩道 熔岩流へのみち
 焼走り熔岩流は享保4年(1719)の岩手山噴火の際に流出したもので国の天然記念物に指定され、荒涼とした景色が広がっています。宮沢賢治もこの地を訪れこの熔岩流を「鬼人たちの棲み家」とうたっています。宮沢賢治の詩碑からの熔岩流の眺めは絶景です。

賢治詩碑
鎔岩流
喪神のしろいかがみが
薬師火口のいただきにかかり
日かげになった火山礫堆の中腹から
畏るべくかなしむべき碎塊熔岩の黒・・・

 賢治詩碑から先の車道には歩道が設置されているので歩きやすくなります。賢治詩碑〜国際交流村間の自然歩道のコースはこの歩道を通っていますが賢治詩碑から熔岩流の中を通る観察コースもあるのでこちらを歩いてみました。真っ黒でごろごろした岩の上を歩きます。所々に熔岩流を説明する案内板が掲示されています。熔岩の成分は含カンラン石シソ輝石普通安山岩。植物はほとんど育っていません。
 観察コースを通り抜けると再び車道に合流します。この場所には岩手山の登山口もあります。車道の反対側(北面)が駐車場と国際交流村でキャンプ場・バンガロー・天文台などの施設があります。


【写真2】国際交流村の天文台

 天文台の南側に焼走り温泉があります。


【写真3】焼走り温泉

 この先は緩やかに下る立派な車道を進んでいきますが自然歩道の道標は全く見かけなくなりました。牧場が広がる風景が続き観光バスが時々通り過ぎます。終点は焼走りから3kmの距離ですがそれ以上に歩いてきたような気がしてきました。どうやらコースを間違えてしまったようです。それでもあきらめきれずに車道を下っていきましたが東北自動車道の下をくぐり麓の平笠集落に到達しても自然歩道の道標は見つかりません。終点は田頭北部牧野なので持参の地図で田頭という地名を見つけその方向に進み田頭小学校前に到達。この日の歩行はここで終了とし帰路につくことにしました。
 後で地図を調べてみるとこの日歩いた焼走り熔岩流に通じる立派な車道は最近新設されたことがわかりました。一方自然歩道のコースは旧道を通っています。

 10月8日
 三連休の中日に再び本コースを訪れました。今回は先日とは逆コースです。大更駅からひたすら道を西に進むと焼走りに続く車道に出ます。小雨が降りだしたので傘を差しながら進みます。地形図を頼りに途中から旧道に入りました。この道は両側が森林のため薄暗く、牧場の中を通り見晴らしの良い新道とは対照的です。しかし旧道にも道標は見当たりません。国際交流村近くで急に道幅が広くなり左右の木も高木になります。この道はグリーンシャワーロードと呼ばれ環境整備が行き届いている地区のようです。


【写真4】グリーンシャワーロード

 雨も止み登山口前でトイレ休憩。連休ですが訪れる観光客はまばらでした。トイレ前にも自然歩道のコース案内板が立っています。


【写真5】登山口付近から岩手山

 賢治碑展望台脇のベンチで昼食をとりました。


【写真6】賢治詩碑展望台から岩手山


【写真7】賢治詩碑

 賢治詩碑からいこいの村岩手の間も旧道を歩くことにしました。賢治詩碑から300mほど進み左手に分岐する細道に入ります。最初のうちは車が通行した跡があり歩きやすいのですが次第に荒廃した道となります。かつての自然歩道の道標もいくつか残存していました。しばらく右手に白いガードレールが続きます(その直下に新道があり、旧道と新道が並行している)。


【写真8】旧道の道標

 賢治詩碑からいこいの村岩手間の中間付近からさらに悪路となり背丈まで伸びた藪を押し倒しながら進まなければならなくなり難渋します。靴とズボンは雨露でびしょ濡れになりました。新道から離れ山中に入りますが道の両側にはまだガードレールが残存しています。


【写真9】旧道

 かつて東北自然歩道は旧道を通っていましたが廃道化が進んだため車道に変更になったようです。地理的条件で維持管理が難しいのは理解できますが、車道を通るなら安全に配慮し歩道を設置して欲しいと思います。個人的にはいこいの村岩手からスキー場ゲレンデを通過し三ツ森山から賢治詩碑に至るコースがいいのではないかと考えているうちに終点いこいの村岩手に到着しました。


【写真10】いこいの村岩手

 本コースには温泉が2カ所(いこいの村岩手、焼走り温泉)あるので時間に余裕があれば温泉で休憩するのも良いと思います。

<完>

| HOME | 次へ→ |

inserted by FC2 system