東北自然歩道 新・奥の細道

リアス海岸箱崎半島のみち

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【写真0】千畳敷と三貫島

● はじめに

岩手県内の東北自然歩道のうち海岸部を通るのは2コースでどちらも釜石市内にあります。本コースが通る御箱崎半島は大槌湾、釜石湾に挟まれ東に細長く太平洋に突き出ています。半島の先端には無人の箱崎灯台、御箱崎神社があります。また波の浸食作用によって岩が敷きつめられたような景観をした「千畳敷」があります。

● 調査日

2004年12月26日

● コース概略図

箱崎白浜→3.2km→大沢遺跡前駐車場→3.9km→御箱崎灯台

● 交通アクセス

JR山田線鵜住居駅から徒歩30分で箱崎,さらに一時間で起点の箱崎白浜に至る。また釜石市街地−箱崎白浜間路線バス一日三往復あり。

● コースを歩いて

この日,県の内陸部は積雪があり非常に寒かったのですが遠野から峠を越え釜石市内に入ると快晴で積雪もなく暖かく好天に恵まれました。釜石からJR山田線に乗車し2つ目の鵜住居で下車しました。駅員に切符(この日は青春18きっぷ)を提示し駅前に出ます。駅周辺は賑やかな商店街です。国道45号に沿って北上し鵜住居川に架かる橋で右折し川の右岸堤防沿いの道を進みました。途中交差点があり右左折しますが常に川沿いの道を選んで進んでいくと突然目の前に海岸線が現れます。根浜海水浴場です。この先松林の中の車道となりますが歩道が無いので左手の海岸線に沿った防潮堤の上を歩きました。こちらの方が波の音を聞きながら大槌湾を一望でき気分良く歩くことができます。この辺は海水浴客向けの施設が建ち並びシーズン中は相当な賑わいと予想されます。


【写真1】根浜海水浴場

根浜港マリーナを通過し箱崎トンネルに入ります。往路,小生はトンネルを通らず一山越える旧道を通ってしまいました。トンネルを出ると箱崎港です。ぐるりと港を半周しその先はしばらく民家が途絶えアップダウンとカーブが連続する道になります。地元の白浜小学校の生徒が書いた「ゴミを捨てないで」という趣旨の標語が所々に立っています。


【写真2,3】箱崎港

箱崎港から一時間ほどで白浜集落に着きました。急斜面に家屋が密集していて独特な雰囲気です。半島のどんづまりの小さな集落ですが民宿が数件,立派な漁業協同組合の建物,食料品店が並んでいます。港に出ると大勢の人が各々の漁船で作業をしていました。小生のようなよそ者は目立ってしまうのでカメラ撮影はちょっと気が引けます。


【写真4,5】白浜港

道は港で行き止まりで東北自然歩道は見つかりません。しばらく行ったり来たりを繰り返しました。「津波避難所 星の宮神社境内 ←60m」という案内板に従って脇道に入ってみました。急な上り坂で漁具が道の両側に放置されています。神社前を過ぎ民家も途絶え道も未舗装の細道になり急に心細くなりました。もうこれまで引き返そうと思って前方を見ると何やら道標らしき物が見えます。それは真新しい東北自然歩道の道標でした。


【写真6】最初の道標(箱崎白浜0.6km,御箱崎灯台6.5km)

しばらく進むと蓬莱島という案内板があります。案内板の左手の木陰から大槌湾が見えますがどれが蓬莱島なのかわかりませんでした。

蓬莱島

 大槌湾に浮かぶ,赤い灯台のある島は弁財天を祀り,かつて弁天島と称していたが,南部藩主利直公により蓬莱島と命名された。  昭和27年に行われた日米加三国によるオットセイ生態調査の供養碑がある。同28年に灯台が設置され同32年に赤浜港と蓬莱島を結ぶ431mの津波防波堤が完成した。

本コースはほとんどが写真のような林道です。途中伐採作業中の箇所がありました。一般車両も通行可能です。


【写真7】林道大仮宿線

長崎展望台入口です。道標の右手奥に細道が続いています。この付近が大槌湾に突き出している長崎のようです。時間の都合で小生は立ち寄ることができませんでした。


【写真8】長崎展望台入口

箱崎白浜から徒歩一時間弱で大沢遺跡です。ここには5台ほどの駐車スペースと本コースの地図入り案内板があります。本コースの終点御箱崎灯台へは正面の赤鳥居を通ります。


【写真9】駐車場・案内板・灯台入口・大沢遺跡

新奥の細道
リアス海岸箱崎半島のみち
 このコースは,大沢遺跡から半島の先端にある御箱崎灯台までの約3.9km自然歩道です。
 尾根伝いの歩道からは,釜石湾に浮かぶ三貫島や大槌湾を望むことができます。
 半島の先端部には,御箱崎神社や御箱崎灯台があるほか,花崗岩の奇岩が連なる千畳敷があります。半島先端までは,ここから片道徒歩60分のコースです。

大沢遺跡

 大沢遺跡は,縄文中期の土器が出土し,釜石最大の遺跡として知られる。むかし,この地に海賊を本業とした朝日の長者,夕日の長者が住んでいた。ある年に,鵜住居麓山神社の御神楽がやってきたがどちらも宿を貸さなかったため,その後諸々の凶事がおき,共に滅びたという伝説の地でもある。


【写真10】灯台まで3.3km地点

赤鳥居をくぐると急な登り坂となります。坂道の区間だけコンクリートで固められた道となっています。左右に海が見えるようになり次第に半島の先端に近づいていることを実感します。途中右手に三貫島展望地がありました。

三貫島

 三貫島の名称は,「漁民達は昔から不漁の時でもこの島の沖に出漁すれば,少なくとも三貫文は漁をした」ことに由来する。島はオオミズナギドリやヒメクロウミツバメの集団繁殖地として国設の鳥獣特別保護地区及び国の天然記念物に指定されており,上陸には許可がいる。島には弁財天を祀った祠がある。

いよいよ終点が近づいてきました。千畳敷を見下ろす場所に広場とトイレがあります。広場からさらに進むと千畳敷に下る道が右手に分岐します。その先は御箱崎神社の参道で赤鳥居が連続します。小さな社殿に参拝しました。灯台も近くです。


【写真11】御箱崎神社


【写真12】灯台(注:カメラの操作ミスでフィルムが感光したため一部赤くなっています。)

千畳敷に下りてみます。最初は階段がありましたが最後の方は岩場の急斜面となり滑らないように注意が必要です。この場所で磯釣りをしている方がいました。千畳敷の岩石をよくみると白色に黒の斑点模様(ごま塩状)なので花崗岩です。波の浸食で岩石の上面が平らに削られたと思われます。波が岩石の表面に荒々しい彫刻を残したという感じです。しばらく写真を撮った後時計を見ると午後2時でした。列車と日没時刻を考え帰途につくことにしました。

<完>

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