東北自然歩道 新奥の細道

桜とツツジのみち <2>

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● 珊瑚橋

自然歩道の起点は珊瑚橋である。JR北上駅東口(市街地の反対側の出口)から出て珊瑚橋に向かう。東口は夏油高原スキー場へのバス発着場となっているが現在はシーズンオフで運行されていない。駅前の通りを直進しパチンコ店で左折。広い通りを北上する。進んでいくと国道107号との交差点にでる。交差点の角にローソンがある。ここで右折し107号を進んでいくと間もなく北上川に架かる珊瑚橋が見えてくる。

橋のたもとに案内板があり珊瑚橋の由来が書かれている。これによると現在の橋が完成したのは昭和8年である。当時はその近代的なデザインから県下1,2の名橋と言われたそうである。この辺りの北上川の川幅は約200m。下流の水沢付近と比べると川幅は狭いが雪解け水を満々と湛えた流れは雄大である。夏の花火大会ではこの珊瑚橋に架かるナイヤガラの花火が見物客を魅了する。


▲珊瑚橋

● 展勝地

珊瑚橋の歩道を歩き北上川を渡り終えると歩道の右側から河川敷へ下る階段がある。河川敷は広い公園となっている。北上川沿いの道は桜並木の中を通る歩行者・自転車専用道路となっている。その道を下流に向かって歩く。北上川を眺めながら進んでいくとやがて展勝地のレストハウスが見えてくる。近くに蒸気機関車C58342や北上川舟運で活躍したひらた船が展示されている。レストハウスの裏手がちょうど北上川と和賀川の合流地点となっており早瀬・激流となっている。

この付近の北上川には河童伝説があるようで北上川沿いの自転車道と男山に次のような案内板が立っている。
 

河童の手形伝説

昔北上川の巻淵に住んでいる河童が寺の厩にかくれているのを住職がみつけました。「お前はよく悪事をはたらき人間に迷惑をかけるからころしてやりたい。しかし,今度だけは見逃してやるからこれからは絶対悪いことをするなよ」と言って手形を押させて逃がしてやりました。この手形は今でも川向かいの染黒寺に残っています。 

展勝地は言わずとしれた県内最大規模の桜の名所である。東北地方では青森県弘前市の弘前城・秋田県角館町と北上展勝地が3大名所と言われているらしいが花見客の数では展勝地より弘前や角館の方が圧倒的に多いようである。いつかこの3つの名所を見比べてみたいと思う。

サトウハチロー記念館の駐車場前に自然歩道の案内板が立っている。


▲サトウハチロー記念館と案内板

● ひらた

ひらたは漢字ではふねへんに帯と書く。案内板によれば,

「江戸時代の初め南部領では米を江戸へ安い費用で大量輸送できる北上川舟運を開発した。領内一の穀倉地帯を控えている黒沢尻(北上市の旧町名)には盛岡〜石巻間最大の港を造り,年貢米を納める御倉・御蔵奉行・御ひらた奉行などの建物や役所が置かれた。」という。

盛岡−黒沢尻間は小舟,黒沢尻−石巻間は350俵積みのひらた,石巻−江戸間は千石船で米を輸送したとのこと。多い年で十万俵を輸送し藩の貴重な財源であった。


▲ひらた

● 男山

展勝地から県道北上−一関線を南下する。南部藩・伊達藩の藩境を過ぎしばらく歩くと左側に男山へ分岐する道がある。「男山」と書かれた大きな看板があるのでわかりやすい。この道に入ってすぐのところに自然歩道の案内板が立っている。隣接して展勝地公園内の遊歩道の案内図もある。多くの遊歩道があるため小生は道を間違え迷ってしまった。

男山へはグラススキー場・売店・キャンプ場を経由して上り坂を進む。男山直下の駐車場からは急な階段を上る。山頂にはやすらぎの像という観音様が立っている。標高は161.8m。4等三角点がある。山頂からは北上川・和賀川の大河とそれらの川の間にある北上市街地,奥羽山脈が見渡せる。特に男山の西側斜面は北上川への断崖になっていて標高が低い山ではあるが険しさを感じる。山頂付近は黒褐色の岩石が露出している。これは2500万年前にできた稲瀬火山層と呼ばれている。展勝地・国見山一帯は北上山系では珍しい火山地帯とのことである。


▲男山からの展望

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