東北自然歩道 新・奥の細道

毘沙門天のみち

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【写真0】毘沙門堂の狛犬

● はじめに

 東和町の名所,毘沙門天と東和町ゆかりの画家萬鉄五郎の美術館などをめぐるコースです。

● 調査日

2006年6月11日

● コース概略図

東和町役場→0.4km→舘山公園→1.6km→落合橋→1.0km→成沢寺→2.3km→天勝苑→1.2km→毘沙門山

● 交通アクセス

 起点の東和町役場はJR釜石線土沢駅から徒歩10分。またはJR花巻駅から岩手県交通バス晴山行に乗車し土沢中町バス停下車。終点の毘沙門天はJR土沢駅から市営バス上浮田行に乗車し毘沙門バス停で下車。

市営バス土沢駅入口時刻 上浮田行 1215,1721

● コースを歩いて

 起点の花巻市東和町支所(旧東和町役場)は東和町土沢の商店街の中央に位置し賑やかな場所です。自然歩道の起点は支所の裏のスーパー脇にある市場の駐車場です。この場所に自然歩道の地図入り案内板とトイレがあります。

新奥の細道
東北自然歩道 毘沙門天のみち
 このみちは東和町役場から萬鉄五郎記念美術館,舘山公園,灯籠並木を通り毘沙門山までの6.5kmのみちです。すぐ近くに萬鉄五郎記念美術館があります。舘山公園は桜といわて紫ツツジの名所であり,市街が一望できます。今から300年程前に受け継がれた手すき和紙の工芸館や,毘沙門山には木造一本造り日本一の毘沙門天立像があります。


【写真1】起点: 東和支所裏

 起点から北に向かって坂道を上り始めます。「早池峰の水」の工場前や岡田井戸を過ぎると萬鉄五郎記念美術館です。ちょうど「再考・萬鉄五郎展」が行われていました。館内に入って少年時代から晩年までの作品を見学しました。萬鉄五郎の故郷土沢は作品中にも多く描かれていました。文化財級の作品は複製が展示されていました。実物は東京や盛岡の美術館に収蔵されているので機会があったらそちらも見学したいと思います。


【写真2】萬鉄五郎記念美術館・八丁土蔵

 記念館からさらに坂道を上ると舘山公園に入ります。整備された遊歩道が続きます。最も高いところは平坦になっていて市街地の眺めが良くベンチやトイレなど休憩施設もあります。ここは江戸時代の城跡です。

土沢城跡(町指定遺跡)
 土沢城は,南部利直公(第27代)が伊達藩との藩境整備のため築城し江刺長作隆直を城主に任命し,慶長17年(1612)に1700石を与えた。その後町内の大火(正保4年)で土沢城も延焼したが再建され,寛文10年(1670)まで続いた。現在この城跡は町民に舘山と呼ばれ親しまれている。


【写真3】土沢城跡

 城跡の東端から下り,住宅地の中を抜け再び商店街の通りに出ます。通りに高村光太郎ゆかりの地という碑が建っていました。土沢駅前を通り過ぎ最初の踏切を渡ります。すぐ先の国道283号も横断した後は水田の中の素朴な道となります。


【写真4】国道横断後の自然歩道

 前郷公民館で左折,しばらく進むと猿ヶ石川に架かる落合橋です。橋を渡らずに猿ヶ石川の右岸堤防の道を西に進みます。堤防の道は車道に突き当たって終了しこの先はこの車道脇の歩道を歩きます。この道路の両側には灯籠が立ち並びこの灯籠は毘沙門堂前まで続きます。


【写真5】灯籠が続く

 小学校前を過ぎた後,浄化センター脇で左折し灯籠の道から一旦離れます。段丘を下り再び猿ヶ石川の川岸を通ります。この辺は天勝苑と呼ばれ桜や渓流の眺めが良いところらしいのですがシーズン狭間のせいか誰一人いません。少し下流に進むとやなばがありますが鮎漁もまだ始まっていません。周辺には高齢者制作館・BISHAMON DOME(緑色の大きな建物)・和紙工芸館などがあります。


【写真6】天勝苑のやなば

 再び灯籠が並ぶ道に戻ります。北面が毘沙門山で毘沙門堂に至る長い石段が始まります。

毘沙門山の由来
 この毘沙門山に古くから伝わる英雄坂上田村麻呂伝説がある。延暦20年(801)大和朝廷の命により征夷大将軍坂上田村麻呂が大軍を引きつれこの地を平定した。その後,この地の鎮護の守護神としてとばつ毘沙門天を安置したと伝えられている。毘沙門天や吉祥天の雄姿から当時の栄華が偲ばれる。

鳥居をくぐり境内に入ります。時計回りに拝観順路が指定されています。以下案内板の記述抜粋です。

三熊野神社
重要文化財 向拝流棟造
坂上田村麻呂が紀伊熊野三山に戦勝祈願したところ当地区を平定することができたためこの地に創建
康平5年(1602?)源義家が立ち寄り鏑矢を収め戦勝祈願したところ安倍氏を破ることができた
行事 泣き相撲 坂上田村麻呂が部下に相撲を取らせたのが始まり
毘沙門堂 室町後期の建物(重要文化財)
収蔵庫ができる前まで毘沙門天がこの中に保存されていた
お爺杉 神木日本最古で樹齢約1000年


【写真7】三熊野神社

 最後はこの自然歩道のタイトルにもある毘沙門天の拝観です。収蔵庫は最も小高いところにあります。急な階段を上ると受付があるので料金を支払い収蔵庫の鍵を開けてもらいました。
 毘沙門天は数年前水沢市で開催された坂上田村麻呂展で複製品(あるいは写真)を見たことがありますが実物を見ることができ感慨深い。地面から湧き出た地天女の肩に乗り,木造では日本一の大きさの毘沙門天です(国指定重要文化財)。毘沙門天は坂上田村麻呂の守護神であり,岩手県内でも坂上田村麻呂ゆかりの寺社の本尊として毘沙門天が多数祀られています。毘沙門天の向かって左隣に吉祥天(国指定重要文化財)。右隣にも木像がありましたが何の像だったか失念しました。

 収蔵庫に上る階段の途中に御味噌奉納堂があります。お堂の中に毘沙門天の足の複製が祀られていて味噌をこすりつけると御利益があるとのこと。宮沢賢治の作品中にも記述があるとのことです。


【写真8】御味噌奉納堂

 今回の自然歩道散策は萬鉄五郎の作品と毘沙門天という国の重要文化財級のものを見学することができ大変有意義だったと思います。

 帰路は参道入口にある毘沙門バス停が便利です(バス停のデザインは泣き相撲)。小生は時間に間があるので灯籠の道をたどって土沢支所まで引き返し花巻行きバスに乗車しました。

毘沙門バス停時刻 土日 歴史資料館前(土沢方面)行 752,922,1322

<完>

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