前田山
岩手県奥州市江刺区
標高453.6m
奥州市営バス伊手線岩明下車
【写真】前田山三角点
2011年4月30日
1044 国道397号前田入口
1154〜1220 前田山頂三角点
1320〜1350 牧草地管理棟前
1439〜1457 岩明バス停
1515〜1535 江刺バスセンター
1555 水沢駅前

 銚子山に登頂後、前田山に向かった。江刺南中学校入口のある岩明の交差点から国道397号を南下する。この付近の国道は山地を切り開いて新設されたもので旧道沿いの集落のバイパス道になっている。伊手川手前から前田集落に向かう細道に入る。道沿いに神社がありふと神社前面の草原を見るとキクザキイチリンソウ、エゾエンゴサク、ヤマエンゴサクが咲く。また湧き水が流れワサビが咲いていた。伊手川に架かる木橋を渡る。ここは十字交差点となっているが直進の未舗装道が前田山に続く道である。当初ここで左折し舗装道を東に向かってしまった。迷っていると軽トラックが小生の脇に停まり助手席の人から声を掛けられた。何とその方は知人でなぜこんな所で遭遇したのか互いに驚いた。小生は知らなかったのだが知人の実家はこの近くにあり今朝山菜採りに出かけたとのこと。前田山へ行くつもりだが道はあるのかと尋ねると道はあるとのこと。話の様子から特に苦労なく登れそうなので安心した。
 木橋まで戻り未舗装道に入る。沿道の山側斜面には春の山野草が咲き誇る。カタクリ、キクザキイチリンソウ(白花、紫花)、アズマイチゲ、湿地にネコノメソウ。途中の丁字分岐で左折しS字カーブで坂を上ると牧草地に出た。沿道は桜並木になっていてちょうど満開だ。牧場の管理棟で道は左にカーブし桜並木の道を進んでいくと道は二手に分かれる。ここでは直進方向は道が荒れているので右折した。分岐点には前田山作業道と記された標柱があった。これは銚子山にあった標柱と同一形式である。作業道を進むと一帯は高木が無く数年前に皆伐されたと思われる。そのせいかクロモジ(開花中)が非常に多い。右手の谷を隔てた対岸の山は椀を伏せた形状が2つ並んでいる。その対岸の山の位置を基準にして前田山に取り付く適当な道、またはポイントを探りながら進む。この辺かなと思ったところは伐採地と樹林帯の境界である。この境界付近は雨で地肌が洗われたせいか草木が生えて無く通りやすそうだ。その斜面に取り付くとすぐに石ころだらけの作業道に出た。つづら折りに上る。皆伐地なので見晴らしが利き藤里方面の展望が良い。尚、この伐採跡地は水沢市街からでも肉眼で良く見える。一方、森林が無い殺伐とした風景は険悪で癒される空間とはとても言えない。一帯は土壌が流出し岩石が剥きだしなっているので植物の再生は困難だろう。伐採地の北端側にも作業道が見えるがそちらのルートの方が前田山への近道と思われる。
 作業道の末端まで行き着きアカマツ林に入る。道は無いが赤テープが目印となる。一直線に登っていくとちょうど山頂三角点に到達した。紅白のポールも立っている。アカマツに囲まれ展望は全くない。南北に連なる尾根上に土塁が築かれている。小生は山頂から西に延びる尾根から登ってきたことになる。山頂を示すプレート類は見当たらない。三角点より少し南にある土塁上がやや標高が高い。この土塁直下にも不明な標石があり東に下る赤テープが続いていた。ここで昼食休憩とした。
 帰路は土塁に沿って南に下ることにした。時間に余裕があるので前田山の東方から戸隠神社に回ってみようと思ったからである。土塁上は幅50cmほどしかなく枝が障害となるので土塁の脇を下った。赤テープも目印となる。下り坂のため靴擦れで左足が痛み何度か靴ひもを締め直す。この状態がどこまで続くのか不安になるが、一転して平坦で広々とした場所に出た。木々は疎らで光線が届き明るい。林床にエゾユズリハの株とカタクリ、スミレサイシン、ショウジョウバカマの花が点在する。ニリンソウはまだつぼみである。この中を幅30cm程の沢がゆっくりと流れている。
 この癒される空間を楽しみながら進む。土塁は沢の反対側の山の斜面を登っていくのでここで土塁と別れ沢沿いの道を進んだ。次第に沢の水量は増えるが歩行困難な場所はなかった。途中、沢から山側に上る道(のように見えた)があったのでそれを契機に沢を離れた。枯れて横倒しになった茅の上を進む。これは道なのか?と不安が増すが幸いにも作業道に突き当たった。作業道の左右どちらに進んでも上り坂だが左を選択した。この作業道は泥でぬかるんでいる。木に取り付けられたプレートを見ると間伐作業現場らしい。作業道だけではなく間伐した現場一帯がぬかるみ地帯になっていた。
 間伐作業道を進んでいくと作業道の本線に突き当たった。ここでは下り勾配の左折を選択した。ぬかるみから抜け出し快適な道になったのでほっとする。前方に麓の景色が見えゴールは近い。牧草地と満開のコブシと桜。前田山の反対側にもいいところがあるんだなと感慨に浸りながら進んでいく。いやこれはどこかで見たような景色だぞ、何だか不思議な感覚だ。牧場の管理棟を見て往路で通った場所だと気づいた。雨がぽつぽつ降り始めたが桜見物と方向音痴の頭を冷やすためここでしばらく休憩する。
 岩明バス停から市営バスに乗り江刺バスセンターで下車。時刻表を見ると次の水沢駅行きは5分後で接続が良い。しかし待ってもバスは来なかった。不審に思った乗客が係員に尋ねると北上の展勝地の渋滞のため遅れているとのこと。地震の影響で行楽地の客足は鈍いと伝えられていたが展勝地の人出は多いようだ。バスは15分遅れて発車した。

参考文献
※1「再発見 胆江地方から見える山々」及川慶志著 胆江日々新聞社2000年4月発行

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